文献詳細
文献概要
Close-up PEW
PEWと栄養療法
著者: 宮島功1
所属機関: 1社会医療法人近森会近森病院臨床栄養部
ページ範囲:P.792 - P.795
文献購入ページに移動腎不全患者は,尿毒症症状や炎症,体たんぱくの異化亢進,栄養摂取不良などが重なり,低栄養状態に陥るリスクが高い.体たんぱくである骨格筋やエネルギー源の体脂肪の貯蔵量が減少する状態をprotein-energy wasting(PEW)と呼ぶ.PEWの診断基準には,「低アルブミン血症などの血液生化学検査」,「体格」,「筋肉量」,「食事摂取量」がある1).また,透析患者のPEWは,単なる低栄養だけではなく,慢性炎症・動脈硬化を合併したMIA症候群(malnutrition inflammation atherosclerosis:MIA)の状態となっている.慢性炎症は食欲不振,異化亢進の原因となり,食事摂取量の低下や内臓蛋白や骨格筋量の減少を引き起こす.PEWが重篤化し悪液質に進行することで予後が不良となる.
PEWの栄養療法では,基礎疾患である慢性腎臓病や透析療法に対する食事療法に加えて,適切なエネルギーとたんぱく質の補充が重要となる.
参考文献
掲載誌情報