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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻7号

2021年07月発行

文献概要

Close-up PEW

PEWと栄養療法

著者: 宮島功1

所属機関: 1社会医療法人近森会近森病院臨床栄養部

ページ範囲:P.792 - P.795

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はじめに

 腎不全患者は,尿毒症症状や炎症,体たんぱくの異化亢進,栄養摂取不良などが重なり,低栄養状態に陥るリスクが高い.体たんぱくである骨格筋やエネルギー源の体脂肪の貯蔵量が減少する状態をprotein-energy wasting(PEW)と呼ぶ.PEWの診断基準には,「低アルブミン血症などの血液生化学検査」,「体格」,「筋肉量」,「食事摂取量」がある1).また,透析患者のPEWは,単なる低栄養だけではなく,慢性炎症・動脈硬化を合併したMIA症候群(malnutrition inflammation atherosclerosis:MIA)の状態となっている.慢性炎症は食欲不振,異化亢進の原因となり,食事摂取量の低下や内臓蛋白や骨格筋量の減少を引き起こす.PEWが重篤化し悪液質に進行することで予後が不良となる.

 PEWの栄養療法では,基礎疾患である慢性腎臓病や透析療法に対する食事療法に加えて,適切なエネルギーとたんぱく質の補充が重要となる.

参考文献

1)Fouque D, et al:A proposed nomenclature and diagnostic criteria for protein-energy wasting in acute and chronic kidney disease. Kidney Int 2008;73:391-398
2)日本腎臓学会(編):慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版.東京医学社,2014
3)鈴木芳樹:サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言.日腎会誌2019;61:525-555
4)Kalantar-Zadeh K, et al:Nutritional management of chronic kidney disease. N Engl J Med 2017;377:1765-1776

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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