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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻8号

2021年08月発行

文献概要

連載 臨床実習サブノート 診療参加型臨床実習—「ただ見ているだけ」にならないように!・5

パーキンソン病

著者: 奥埜博之1

所属機関: 1摂南総合病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.916 - P.920

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指導者は何をみていて,学生に何をみてもらいたいのか

1.初期評価時

 パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)は高齢者に多く発症する緩徐進行性の神経変性疾患です.有病率は10万人あたり150人前後と推定されており,高齢化の急激な進行に伴い,患者数は増加傾向にあります.よって,神経変性疾患の専門病院ではなくても,理学療法士として担当する機会は増えていくことが想定されます.本稿では臨床実習においてPD患者さんに接する機会を得たときに,指導者として学生に学んでほしい点を中心に解説していきます.

 PD患者さんの初期評価時には,今までどのような経過を経てきた方なのか,現在の日常生活活動(activity of daily Living:ADL)の困っていること,解決したいことは何なのか,カルテと問診から丁寧に情報収集を行うことが重要です.初回の身体機能の評価としては,まずは4大症状の確認から行いましょう.PDの4大症状は,静止時振戦,筋固縮,動作緩慢・無動,姿勢反射障害です.それぞれを丁寧に評価することは重要ですが,私たち理学療法士の仕事は診断ではありません.4大症状のどの要素がADLの制限につながっているのか,つまり,患者さんの実際の生活場面での不自由さをより詳細に把握する必要があります.PDの評価については,Movement Disorder Society Unified Parkinson's Disease Rating Scale1)(MDS-UPDRS)が最も標準的な機能障害の評価尺度です(表1).MDS-UPDRSはHoehn & Yahrの重症度分類(表2)と比較して詳細な評価が可能で,症状の変化を捉えやすいことが特徴で,日本語版も公開されています.

参考文献

1)Goetz CG, et al:Movement Disorder Society-Sponsored Revision of the UnifiedParkinson's Disease Rating Scale(MDS-UPDRS):Process, format, and clinimetric testing plan. Mov Disord 2007;22:41-47
2)Giladi N, et al:Freezing of gait in patients with advanced Parkinson's disease. J Neural Tramsm 2001;108:53-61
3)奥埜博之,他:パーキンソン病の歩行障害を定量的に評価する方法.理学療法学2016;43:241-246

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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