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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻9号

2021年09月発行

文献概要

報告

高齢腰椎疾患患者における6分間歩行テストによる手術前後歩行能力の経時的変化

著者: 米花沙代1 岩﨑素之2 長畑啓太1 遠藤智康1 佐藤耕司1 新谷好正2 馬渕正二2

所属機関: 1小樽市立病院リハビリテーション科 2小樽市立病院脳神経外科

ページ範囲:P.1025 - P.1029

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要旨 【目的】高齢腰椎疾患患者の術前から術後1年までの歩行能力の変化を捉え,歩行能力の経時的変化について検討する.【方法】対象は2014年11月〜2015年8月に,小樽市立病院において腰椎変性疾患で手術を施行した21例(平均年齢75.3±9.5歳,男:女=12:9).歩行能力の評価は6-minute walk test(6MWT)を使用し,評価時期は術前,術後2週,3か月,6か月,12か月とし,歩行中断距離(6-minute intermittent distance:6MID),総歩行距離(6-minute walk distance:6MWD),歩行速度について統計学的に検討した.【結果】6MID,6MWDともに術後3か月まではその直前の計測値と比較しても有意に距離が上昇していた.歩行速度は術後2週と術前の比較では上昇の傾向を認め,3か月と2週の間で有意な上昇を認めた.【結語】高齢であっても,術後3か月までは歩行距離の上昇が期待されるため,術前からの廃用性筋力低下,筋持久力の低下を呈している患者には,運動療法を継続していくことで歩行能力の向上が期待できる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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