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Close-up メカノセラピー—メカノバイオロジーと理学療法
物理的外力のコントロール—メカノバイオロジー・メカノセラピーと理学療法
著者: 小川令1
所属機関: 1日本医科大学形成外科
ページ範囲:P.79 - P.83
文献購入ページに移動メカノバイオロジーとは,張力や浸透圧といった力学的刺激が,細胞,組織,臓器あるいは生体にどのような影響を与えるかを解析する生物物理学の研究領域である1,2).メカノバイオロジーの概念をもとにした医療,すなわち人体に力学的刺激を加えたり取り除いたりと,力学的環境をコントロールする医療をメカノセラピーという2).広義には,臓器・組織・細胞・分子レベルにおいても物理的環境をコントロールし,細胞に影響を与える医療であると言える2)(図1).近年では細胞に力を感じるしくみ,すなわちメカノセンサーがあることが判明しつつある3).一方,理学療法は運動・温熱・電気・水・光線などの物理的手段を人体に加えるフィジカルセラピーであるが,特に器具を用いた理学療法をメカノセラピーと表現することがある.
メカノバイオロジーの概念に基づいた広義のメカノセラピーと,器具を用いた理学療法である狭義のメカノセラピーは定義が異なるが,「細胞がいかに力を感じて反応するか?」という命題,そして力学的刺激の感知機構は共通である.
本稿では,メカノバイオロジーの現状と未来について記述する.
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