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特集 進歩する低侵襲手術に応じた理学療法—治療プログラム,目標設定,リスク管理
肺の低侵襲手術と理学療法
著者: 馬庭春樹1 武部晃平2 佐々木順一2 多々納善広2 窪内康晃3
所属機関: 1学校法人澤田学園松江総合医療専門学校理学療法士科 2松江赤十字病院リハビリテーション課 3鳥取大学医学部器官制御外科学講座呼吸器・乳腺内分泌外科学分野
ページ範囲:P.197 - P.200
文献購入ページに移動呼吸器外科手術における低侵襲手術では,胸腔鏡補助下手術(video-assisted thoracic surgery:VATS)が実施されることが多い(図1).VATSの具体的な定義は定まっていないが,多くは8cmまでの小開胸と数か所のポート孔で行う手術とされている.ポートのサイズは症例に応じて異なるが,ポート留置のためには0.5〜1.5cmの皮膚切開が必要となる.部分切除などの切除肺が小さい場合にはポート留置のみでよいが,肺葉切除や区域切除の場合には手術器械の使用や切除肺の取り出しのために3〜8cmの小開胸が必要となる.
VATSのメリットとして,手術においては内視鏡により拡大視野で鮮明に構造物を観察することができ,直視では観察できない範囲も内視鏡で観察可能となることが挙げられる.そのため繊細な手術操作が可能となり,出血量,術後ドレーン留置期間,術後在院日数は開胸よりも少ない1).また開胸と比較して皮膚切開が小さいため,審美面で優れており,術後疼痛も軽度となる.そのため術後の回復が早く,QOLの上昇につながる2).
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