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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル56巻2号

2022年02月発行

文献概要

症例報告

急性心筋梗塞を発症したBecker型筋ジストロフィー患者における体重免荷トレッドミルの有効性

著者: 山守健太1 島添裕史1 藤島慎一郎2

所属機関: 1製鉄記念八幡病院リハビリテーション部 2製鉄記念八幡病院高血圧・循環器内科

ページ範囲:P.250 - P.254

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要旨 【はじめに】急性心筋梗塞(acute myocardial infarction:AMI)を発症したBecker型筋ジストロフィー(Becker's muscular dystrophy:BMD)患者1名に対し,体重免荷トレッドミル(body weight supported treadmill:BWST)を用いた理学療法を実施し,運動機能改善があるかを検討した.【症例および経過】症例は62歳男性,ST上昇型AMIで入院した.既往にBMDがあった.2病日目に理学療法を開始したが,通常の運動療法が困難であり,7病日目にBWSTでの有酸素運動を施行した.16病日目に退院後,外来で継続し253病日目に理学療法を終了した.理学療法実施中に胸部症状や脱力感の増悪,クレアチニンキナーゼ値の上昇は認めなかった.6分間歩行距離は15病日目220mから退院時290m,10m歩行テストは19.23秒から11.25秒,大腿四頭筋筋力は0.1Nm/kgから0.3Nm/kgに向上し,運動機能の改善を認めた.【結語】BMDにより通常の運動療法が実施困難であったAMI患者1名に対し,BWSTを用いることで歩行能力,運動耐容能など運動機能の改善を認め,有害事象なく安全に理学療法が実施可能であった.

参考文献

1)Visintin M, et al:A new approach to retrain gait in stroke patients through body weight support and treadmill stimulation. Stroke 1998;29:1122-1128
2)岩崎孝俊,他:運動器疾患を合併した高齢心疾患患者に対する心臓リハビリテーションの新しい試み.心臓リハ2016;22:142-148
3)上出直人,他:非外傷性不全脊髄損傷患者に対する体重免荷トレッドミルトレーニング(BWSTT)が歩行能力に及ぼす影響.理学療法学2006;33:7-13
4)目谷浩通,他:血中乳酸値を指標とした筋ジストロフィーに対する運動プログラム作成の経験.臨床リハ2003;12:1034-1037
5)位髙駿夫,他:反重力トレッドミルによる体重負荷の違いの検討—乳酸値・心拍数・酸素摂取量の分析.東海大スポーツ医誌2014;26:127-131
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7)Sveen ML, et al:Endurance training improves fitness and strength in patients with Becker muscular dystrophy. Brain 2008;131:2824-2831
8)Brightwell CR, et al:Moderate-intensity aerobic exercise improves skeletal muscle quality in older adults. Transl Sports Med 2019;2:109-119

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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