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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル56巻2号

2022年02月発行

文献概要

症例報告

骨転移キャンサーボードと疼痛回避動作指導によりADLが拡大できた乳癌脊椎多発転移性骨腫瘍の1例

著者: 深田亮1 赤坂朋代1 古矢丈雄2 田口奈津子3 渡辺未歩4 藤澤陽子5 金勤東1 竹内弥彦1 村田淳1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院リハビリテーション部 2千葉大学医学部附属病院整形外科 3千葉大学医学部附属病院麻酔・疼痛・緩和医療科 4千葉大学医学部附属病院放射線科 5千葉大学医学部附属病院看護部

ページ範囲:P.255 - P.259

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要旨 【目的】転移性骨腫瘍により脊椎の不安定性が高い症例に対し,骨転移キャンサーボード後に疼痛回避動作指導を中心とした理学療法が効果的であった症例について報告する.【対象】乳癌,脊椎多発転移を呈した52歳女性である.Spinal Instability Neoplastic Scoreによる脊椎の不安定性は16点であった.腰背部の疼痛が増悪し,ADLが困難となった.【方法】骨転移キャンサーボードで多職種連携し,疼痛回避動作指導を中心とした理学療法を施行した.【結果】骨転移キャンサーボードから23日間,骨関連事象が増悪せずにADLの拡大が図れた.【結語】脊椎の不安定性が高い症例に対し,骨転移キャンサーボードで多職種間の連携を強化し疼痛回避動作を中心とした理学療法を施行することで,疼痛を増悪させずにADLの拡大につなげた.

参考文献

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9)Schünke M,他(著),坂井建雄,他(監訳):プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系,第3版.p127,医学書院,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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