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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル56巻3号

2022年03月発行

文献概要

症例報告

外傷性肩関節後方不安定症に対する後方Bankart修復術後のリハビリテーション

著者: 辰田明紀12 平本真知子12 松井知之12 東善一1 小林靖典1 三木茂樹1 宮崎哲哉1 横田祥吾1 畑林大貴1 岩崎一真1 古川龍平3 森原徹12

所属機関: 1丸太町リハビリテーションクリニック 2洛和会京都スポーツ医科学研究所 3洛和会丸太町病院整形外科

ページ範囲:P.364 - P.370

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要旨 症例はアメリカンフットボールのブロックで受傷し,外傷性肩関節後方脱臼と診断され肩関節後方Bankart修復術(arthroscopic posterior Bankart repair:APBR)を施行した2例であった.APBR後のリハビリテーションでは,術後プロトコルを作成し実施した.ポイントは修復した後方関節唇へのストレスを考慮した関節可動域練習(range of motion exercise:ROM ex)と,再脱臼の予防を目的とした動的安定機構を高めるための筋力強化練習の2つとした.ROM exでは修復部へのストレスが少ない外転運動や外旋運動から開始し,6週以降から修復部へストレスが生じる屈曲運動や内旋運動を実施した.筋力強化練習では,術後早期から等尺性収縮を利用した運動を実施し術後の廃用予防を図った.また,前鋸筋や棘下筋などの腱板の作用による再脱臼の予防に着目して筋力強化練習を実施した.その結果,2例ともにROMと徒手筋力テストについて,リハビリテーション終了時に左右差は消失した.2例とも再発なく競技復帰できた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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