文献詳細
文献概要
Close-up ウィメンズヘルス 産前産後
妊産婦の身体変化とリスク管理
著者: 吉田志朗1
所属機関: 1長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科
ページ範囲:P.450 - P.454
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妊娠に伴い,子宮は前上方に向かって増大する.子宮内容(胎児,臍帯,胎盤,羊水)の総量は約5kgに達し,体重は妊娠前に比べ10kg程度増加する.この変化により身体重心が移動し,姿勢の保持や動作時の重心移動などにおいて,妊娠前とは異なる調節がなされる.この結果,関節や骨格筋の疼痛が現れることがある1,2).
本稿では,産婦人科医の立場から,外見に表れにくい妊娠による血液や臓器の変化について概説し,妊娠中の運動について述べる.妊娠・分娩・産褥管理上の問題として,静脈血栓塞栓症予防の観点から,切迫流産・切迫早産,帝王切開周術期の管理について説明する.なお,「妊婦・産婦・褥婦」の代わりに,いずれの時期にも共通し,胎児と対照をなす「母体」という用語で記述する.
妊娠に伴い,子宮は前上方に向かって増大する.子宮内容(胎児,臍帯,胎盤,羊水)の総量は約5kgに達し,体重は妊娠前に比べ10kg程度増加する.この変化により身体重心が移動し,姿勢の保持や動作時の重心移動などにおいて,妊娠前とは異なる調節がなされる.この結果,関節や骨格筋の疼痛が現れることがある1,2).
本稿では,産婦人科医の立場から,外見に表れにくい妊娠による血液や臓器の変化について概説し,妊娠中の運動について述べる.妊娠・分娩・産褥管理上の問題として,静脈血栓塞栓症予防の観点から,切迫流産・切迫早産,帝王切開周術期の管理について説明する.なお,「妊婦・産婦・褥婦」の代わりに,いずれの時期にも共通し,胎児と対照をなす「母体」という用語で記述する.
参考文献
1)須永康代:妊娠・出産にかかわる姿勢変化.上杉雅之(監):理学療法士のためのウィメンズ・ヘルス運動療法.pp38-45,医歯薬出版,2017
2)武田 要:妊娠・出産にかかわる動作の変容.上杉雅之(監):理学療法士のためのウィメンズ・ヘルス運動療法.pp46-53,医歯薬出版,2017
3)武谷雄二,他(監):プリンシプル産科婦人科学2 産科編,第3版.pp90-110,メジカルビュー社,2014
4)日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会(編・監):産婦人科診療ガイドライン産科編2020.CQ005-2妊娠糖尿病(GDM),妊娠中の明らかな糖尿病.ならびに糖尿病(DM)合併妊娠の管理・分娩は? pp25-28,2020
5)日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会(編・監):産婦人科診療ガイドライン産科編2020.CQ107妊娠中の運動(スポーツ)について尋ねられたら? pp99-101,2020
6)Davies GAL, et al:No-129-Exercise in pregnancy and the postpartum period. J Obstet Gynaecol Can 2018;40:e58-e65
7)亀井良政:Q35安静は有効ですか? 日本早産学会(編):早産のすべて.pp132-133.メジカルビュー社,2020
8)中西恵美,他:胎胞膨隆症例における安静度の検討—床上安静で妊娠予後は改善するか?関東産婦誌2019;56:1-8
9)日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会(編・監):産婦人科診療ガイドライン産科編2020.CQ004-2分娩後の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防は? pp13-17,2020
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