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特集 医療現場におけるサルコペニア・フレイル
—エディトリアル—医療現場におけるサルコペニア・フレイル
著者: 神谷健太郎1
所属機関: 1北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
ページ範囲:P.626 - P.629
文献購入ページに移動はじめに
サルコペニアやフレイルは,初期の段階では地域在住高齢者を対象とした疫学研究から多くの知見が提供されてきたが,近年では医療現場における重要な問題としてクローズアップされている.
サルコペニアやフレイルを合併した患者では,近い将来に要介護状態に移行しやすいだけでなく,転倒や骨折,術後合併症,出血や血栓塞栓症,再発・死亡のリスクが高く,さまざまな診療領域において最もハイリスクな患者群に分類される.このことから,最近の多くの診療領域のガイドラインにおいてサルコペニア・フレイルに関する記載が盛り込まれるようになっている.しかしながら,サルコペニア・フレイルを合併した患者は今までの薬物療法や手術療法,リハビリテーション領域の介入研究では除外されてきた患者群であり,いわゆるエビデンスレベルの高い研究に基づく治療指針が示されていないのが現状である.
上述のように医療現場におけるサルコペニア・フレイルは注目度の高い分野ではあるが,新たな研究成果が報告される頻度も高く,さまざまな疾患を有する患者を対象とする理学療法士が最新の情報をキャッチアップするのは容易ではない.
本特集では,各分野のトップランナーの先生方に各領域において現在までにわかっていること,実臨床における取り組み,今後の課題などについてご紹介いただいた.これらの記事に目を通すにあたり,サルコペニア・フレイルの定義と基準をこのエディトリアルで紹介する.
サルコペニアやフレイルは,初期の段階では地域在住高齢者を対象とした疫学研究から多くの知見が提供されてきたが,近年では医療現場における重要な問題としてクローズアップされている.
サルコペニアやフレイルを合併した患者では,近い将来に要介護状態に移行しやすいだけでなく,転倒や骨折,術後合併症,出血や血栓塞栓症,再発・死亡のリスクが高く,さまざまな診療領域において最もハイリスクな患者群に分類される.このことから,最近の多くの診療領域のガイドラインにおいてサルコペニア・フレイルに関する記載が盛り込まれるようになっている.しかしながら,サルコペニア・フレイルを合併した患者は今までの薬物療法や手術療法,リハビリテーション領域の介入研究では除外されてきた患者群であり,いわゆるエビデンスレベルの高い研究に基づく治療指針が示されていないのが現状である.
上述のように医療現場におけるサルコペニア・フレイルは注目度の高い分野ではあるが,新たな研究成果が報告される頻度も高く,さまざまな疾患を有する患者を対象とする理学療法士が最新の情報をキャッチアップするのは容易ではない.
本特集では,各分野のトップランナーの先生方に各領域において現在までにわかっていること,実臨床における取り組み,今後の課題などについてご紹介いただいた.これらの記事に目を通すにあたり,サルコペニア・フレイルの定義と基準をこのエディトリアルで紹介する.
参考文献
1)Rosenberg IH:Summary comments. Am J Clin Nutr 1989;50:1231-1233
2)Cruz-Jentoft AJ, et al:European consensus on definition and diagnosis:report of the European Working Group on Sarcopenia in Older People. Age Ageing 2010;39:412-423
3)Chen LK, et al:Sarcopenia in Asia:consensus report of the Asian Working Group for Sarcopenia. J Am Med Dir Assoc 2014;15:95-101
4)Chen LK, et al:Asian Working Group for Sarcopenia:2019 consensus update on sarcopenia diagnosis and treatment. J Am Med Dir Assoc 2020;21:300-307.e2. doi:10.1016/j.jamda.2019.12.012
5)Cruz-Jentoft AJ,et al;Writing Group for the European Working Group on Sarcopenia in Older People 2(EWGSOP 2), and the Extended Group for EWGSOP 2:Sarcopenia:revised European consensus on definition and diagnosis. Age Ageing 2019;48:16-31
6)Fried LP,et al;Cardiovascular Health Study Collaborative Research Group:Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001;56:M146-M156. doi:10.1093/gerona/56.3.m146
7)佐竹昭介,他:長寿医療研究開発費 平成26年度 総括報告書 フレイルの進行に関わる要因に関する研究.https://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/25-11.pdf(2022年5月閲覧)
8)Satake S,et al:The revised Japanese version of the Cardiovascular Health Study criteria(revised J-CHS criteria).Geriatr Gerontol Int 2020;20:992-993
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