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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル56巻7号

2022年07月発行

文献概要

症例報告

長下肢装具による介入に難渋し,恐怖心に配慮したチルトテーブルによる介入への変更が,座位バランス戦略の改善に奏効した左前大脳動脈塞栓症の1症例

著者: 森公佑12 髙田勇34 冨田昌夫5 遠松哲志6 和田陽介6 辻村享7

所属機関: 1医療法人社団浅ノ川浅ノ川総合病院リハビリテーションセンター 2旧 医療法人明和会辻村外科病院リハビリテーション部 3金沢大学附属病院リハビリテーション部 4東京農工大学大学院工学府材料健康科学寄附講座 5藤田医科大学保健衛生学部リハビリテーション学科 6医療法人明和会辻村外科病院リハビリテーション部 7医療法人明和会辻村外科病院

ページ範囲:P.861 - P.865

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要旨 【まえがき】左前大脳動脈塞栓症の症例に対し,長下肢装具を導入したが恐怖心が強く,それに配慮したチルトテーブルでの頭部の立ち直りを促す介入に変更した.介入変更が本症例の座位バランス戦略の改善に奏効したと考えられたため報告する.【方法】10病日おきに計6回,座圧計測および姿勢分析を行い,バランス戦略を評価した.計測2〜4回目のチルトテーブルでの介入では,努力的にならず頭部が鉛直になるように支持面となる傾斜角度を調整して立ち直り反応を促した.その他の期間は,長下肢装具で介入した.【経過および結果】Center of pressureの総軌跡長が減少,単位面積軌跡長が増加した.姿勢や座圧分布では,筋緊張を高めた座位バランス戦略から動的な姿勢制御の戦略への変化が観察され,端座位や移乗動作能力が改善した.【考察】恐怖心によって姿勢を固定する傾向であった本症例に対し,チルトテーブルでの介入が動的な姿勢制御を促すのに有効であると示唆された.

参考文献

1)ガイドライン特別委員会 理学療法診療ガイドライン部会:理学療法診療ガイドライン,第1版.pp409-412,公益社団法人日本理学療法士協会,2011
2)吉尾雅春:装具療法.原 寛美,他(編):脳卒中理学療法の理論と技術,第3版.pp328-340,メジカルビュー社,2019
3)Adkin AL, et al:New insight on emotional contributions to human postural control. front Neurol 2018;9:1-8
4)大川 剛,他:重心動揺検査—単位面積軌跡長の意義—健常者における検討.Equilibrium Res 1995;54:296-306
5)大川 剛,他:重心動揺検査—単位面積軌跡長の意義—臨床例における検討.Equilibrium Res 1996;55:283-293

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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