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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル56巻8号

2022年08月発行

文献概要

症例報告

精神心理学的評価が左腓骨遠位端骨折保存療法後の複合性局所疼痛症候群の遷延する疼痛の訴えに有効であった理学療法の経験

著者: 上山淳1 佐藤浩之1 佐藤文哉1 平野弘之1

所属機関: 1医療法人社団北町整形外科医院

ページ範囲:P.973 - P.978

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要旨 【目的】左腓骨遠位端骨折の保存的治療中に複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)を続発し,CRPSで観察される徴候が改善したのにもかかわらず,受傷後半年にわたり疼痛だけが遷延した症例を経験した.疼痛遷延の原因に心因性素因があると考え,精神心理的評価を行い,その結果を踏まえた介入が有効だった.【症例】62歳女性.左腓骨遠位端骨折にCRPSが続発した.【経過】理学療法後も荷重時の疼痛が遷延し,精神心理的評価と精神心理側面に配慮したリハビリテーションアプローチを行った.【考察】CRPSには精神心理的側面や心理社会的側面が関与するといわれている.患者が自分の痛みを客観的に捉えるようにすることが大事である.そのために理学療法評価と精神心理的評価の結果を伝える一方で,医師やセラピストが痛みの改善の保証を与えるように心がけたことが有効だった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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