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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル56巻9号

2022年09月発行

文献概要

症例報告

理学療法と適切なフットウェア使用が有効であった多発性糖尿病性足潰瘍の1例

著者: 平井勝1 大熊克信1 渡邉亜紀2 宮田聡子3

所属機関: 1さいたま市民医療センター診療技術部リハビリテーション科 2さいたま市民医療センター看護部 3さいたま市民医療センター皮膚科

ページ範囲:P.1103 - P.1108

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要旨 糖尿病は,末梢閉塞性動脈疾患の危険因子の1つであり,動脈硬化や動脈閉塞を有する糖尿病患者では,皮膚潰瘍や壊疽から切断に至る症例も少なくない.今回筆者らは,右足の壊疽によりすでに右下腿を切断し,義足を装着している糖尿病患者に生じた難治性の潰瘍症例を経験した.本症例は,左第1,5趾,左踵の3か所に潰瘍を形成し,血管内手術に加えて,理学療法士による靴の選択や調整と右義足を健側として使用する歩行方法に改善を図ることで,歩行能力とQOLを維持したまま下肢救済ができた.理学療法士の役割は,運動療法に主眼が置かれる傾向にあるが,患者の病状に合ったフットウェアの選択は,社会生活をサポートする点で非常に重要である.当院では,理学療法士が外来診療に加わっている.そのメリットは,通常の診療では気づかれない患者個々の生活上の問題点を明確にし,それらを解決に導ける点であると考えている.

参考文献

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3)Narres M, et al:Incidence of lower extremity amputations in the diabetic compared with the non-diabetic population:a systematic review. PLOS ONE 2017;28:e0182081. doi:10.1371/journal.pone.0182081.eCollection 2017.
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11)寺師浩人:糖尿病患者の歩行を守る—神戸分類の先にあるもの.脈管学2018;58:187-193

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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