icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル56巻9号

2022年09月発行

文献概要

ひろば

言語学と理学療法(学・士)

著者: 奈良勲1 山本大誠2

所属機関: 1広島大学 2東京国際大学医療健康学部

ページ範囲:P.1115 - P.1115

文献購入ページに移動
 言語は世界各地域の文明とともに生まれ,変遷しながら発展した.現在,その数は使用頻度と関係なく国の数以上の6,000あまりに上る.人類誕生時に言語はなく,主に意思疎通は叫び声,ボディランゲージなどが使われ,壁画は文字に代わる記録の方法であった.言語は人類の進化の過程で突然に表れたとの仮説と,一般的に符号化された事象による文化的で社会的な交流を通じて習得された体系だとの仮説がある.

 言語学者ノーム・チョムスキーは,不連続性理論の提唱者だが,このテーマに関して彼は同僚たちのなかで孤立していた.彼は,約10万年前に言語機能が瞬間的に人間の普遍的特性によって発現したという生物学的な言語生得説を唱え,言語をヒトの生物学的な器官によるものと捉えた.そして,その仮説とは別に彼は「生成文法」について研究した.これは演繹的な方法論であり,① 人間の言葉の本質とは何か,② 人間が生まれてから短期間で言葉を覚えるのはなぜか,③ 言語使用の特色は何か,④ 人間の言葉をつかさどる生物学的基盤は何か,の問いを追究した.これらは,それまでの言語学に比べて飛躍的に言語研究の質と精密さを高めたと言われている.

参考文献

1)奈良 勲:臨床におけることば<のリスク>—哲学的リハビリテーション人間学の観点から.理療と作療1977;11:751-758
2)奈良 勲:プロフェショナル・コミュニケーション論.PTジャーナル2009;43:735-747

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら