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臨床のコツ・私の裏ワザ
肩こりに関係する筋肉に対するセルフケアのコツ
著者: 上田泰久1
所属機関: 1文京学院大学保健医療技術学部理学療法学科
ページ範囲:P.1116 - P.1117
文献購入ページに移動肩こりに関係する筋肉には,僧帽筋・肩甲挙筋・頭板状筋・頸板状筋・菱形筋・棘上筋が挙げられる1).このなかでも,特に僧帽筋上部線維(以下,僧帽筋)と肩甲挙筋の滑走障害は,肩こりを有する症例で問題になることが多い.
僧帽筋は後頭骨の上項線・外後頭隆起・項靱帯から鎖骨外側1/3に付着し,肩甲骨の挙上・上方回旋に作用する.肩甲挙筋は第1〜4頸椎横突起から肩甲骨内側縁の上部1/3に付着し,肩甲骨の挙上・下方回旋に作用する2).僧帽筋は頸筋膜浅葉,肩甲挙筋は椎前葉と別々の頸筋膜に包まれている.そのため,僧帽筋と肩甲挙筋は別々に触診することができ,この筋間を意識した触診で各筋の滑走性を評価することが重要になる.特に僧帽筋と肩甲挙筋の間には,第XI脳神経の副神経外枝が走行する3)ため,僧帽筋と肩甲挙筋の滑走障害は末梢神経の絞扼性神経障害を引き起こすと推察される.この滑走障害に伴う肩こりでは,筋間の触診が難しいことが多く,セルフケアでは僧帽筋と肩甲挙筋を選択的に収縮させて筋間の滑走性を促すことが重要と考える4).
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