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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル57巻1号

2023年01月発行

文献概要

報告

腰痛患者のドローイン動作における腹横筋と内腹斜筋の筋厚変化率

著者: 池田俊史1 吉川優樹2

所属機関: 1医療法人社団智里会洋光台中央整形外科クリニック 2医療法人社団智里会やそだ整形外科リウマチクリニック

ページ範囲:P.103 - P.107

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要旨 【目的】超音波画像診断装置を使用し,腰痛患者のドローイン動作における腹横筋・内腹斜筋の動態を検討することを目的とした.【方法】対象は腰痛群18名,健常群17名で,腰痛群は3か月以上腰部に痛みが持続している,もしくは軽減と増悪を繰り返している状態とした.測定筋は腹横筋と内腹斜筋とし,測定には超音波画像診断装置を使用した.プローブの位置は前腋窩線における肋骨縁と腸骨稜の中央部とし,安静吸気終息時とドローイン時の腹横筋と内腹斜筋の左右の筋厚を計測した.運動課題は ① 安静吸気,② ドローインとし,ドローインは「息を吐きながらお腹を凹ませてください」と指示した.【結果】両群で安静時およびドローイン時の筋厚に有意差はみられなかった.腰痛群では腹横筋の筋厚変化率が有意に小さく(p<0.05),内腹斜筋の筋厚変化率が有意に大きかった(p<0.05).【結論】慢性腰痛患者のドローインでは腹横筋の筋活動が低下し,内腹斜筋が優位に働いており,腹横筋の選択的収縮は十分に行えていないと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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