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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル57巻10号

2023年10月発行

文献概要

症例報告

成長期の陸上選手に生じた両側第4腰椎椎弓根部疲労骨折の1例

著者: 竹内章悟12 成田崇矢3 和泉俊平1 今井咲来1 福井慶太1 高桑昌幸4

所属機関: 1医療法人社団健幸会高桑整形外科永山クリニックリハビリテーション科 2医療法人徳洲会札幌徳洲会病院リハビリテーション科 3桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部スポーツテクノロジー学科 4医療法人社団健幸会

ページ範囲:P.1256 - P.1260

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要旨 【目的】本邦での報告がきわめてまれである両側第4腰椎椎弓根部疲労骨折を来した症例に対し,競技復帰,再発予防を目的とした運動療法を行った結果を報告する.【方法】症例は,短距離走における腰部痛が主訴の16歳男性であった.胸椎右凸側彎の既往があり,立位にて矢状面上での胸椎後彎,腰椎過前彎,水平面上での骨盤左回旋を認めた.また,走行時に左脚接地期の体幹左側屈,骨盤左回旋が生じ,腰部痛を訴えた.機能評価から脊柱可動性低下や側彎症によるマルアライメント,体幹深部筋機能低下を来しており,走行時に椎弓根部への負荷が繰り返されたことで疲労骨折が生じたと推測し,疼痛軽減に向けた運動療法を行った.【結果】3か月後,走行時の腰部痛は消失し,競技復帰可能となった.【結論】成長期のスポーツ選手における両側性の椎弓根部疲労骨折に対して,安静期間中においても骨折部位への負荷を配慮したうえで再発予防に向けた運動療法を行うことが重要と考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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