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連載 臨床実習サブノート 臨床実習で技術のステップアップをめざそう・第9回
治療技術③ バランス練習
著者: 高橋拓真1
所属機関: 1市立札幌病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.1483 - P.1490
文献購入ページに移動バランスという用語ほど“便利”な表現はないのかもしれません.「バランスが悪いから転倒しやすい」という表現は臨床において頻繁に用いられ,患者・家族にとって理解しやすい表現です.
一方,バランスという用語ほど“曖昧”な表現もないのかもしれません.バランスとは,「重力をはじめとする環境に対する生体の情報処理機能の帰結・現象を指すと定義され,支持基底面に重心を投影するために必要な平衡にかかわる神経機構に加えて,骨のアライメント,関節機能,筋力“など”の要素が含まれる」(“”は筆者による)とされています1).定義中の“など”を含むバランスを構成する複雑な要素に加え,症例により異なる病態や生活環境が加わることで,実習生にとって難渋する課題になることが推測されます.
本稿のテーマである「バランス練習」に至る前に,曖昧で複雑なバランスの「構成要素を実習生とともに紐解く」ことが,バランス練習の技術習得に必要不可欠であると考えます.本稿が,臨床実習生の疑問を解決する一助になることを期待しています.
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