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Close-up 運動制御
筋シナジーと運動制御
著者: 神﨑素樹12
所属機関: 1京都大学大学院人間・環境学研究科(神経生理学) 2京都大学宇宙総合学研究ユニット
ページ範囲:P.188 - P.193
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われわれが何気なく行っているさまざまな身体活動は,実はきわめて複雑な運動制御の結果達成されている.ヒトは身体活動を形成するために必要な空間自由度よりも多い関節自由度をもち,関節運動を生む筋はさらに膨大な自由度を有している.このような冗長多自由度がわれわれの多様かつ柔軟な身体活動に必要であることは言うまでもない.
では,ヒトはいかにしてこのように膨大な自由度を制御し,多様な環境にも適応できる運動を生成しているのであろうか.このベルンシュタイン問題下で中枢神経系が個々の筋に逐一指令を送っていると,処理すべき情報量が膨大となる.そこで,いくつかの筋をまとめて支配する神経制御機構である筋シナジーという概念が提唱された1).中枢神経系は個々の骨格筋に対して直接骨格筋ではなく,複数の筋をまとめた少数の筋シナジーに運動指令を送ることにより制御を簡略化しているのだ.
われわれが何気なく行っているさまざまな身体活動は,実はきわめて複雑な運動制御の結果達成されている.ヒトは身体活動を形成するために必要な空間自由度よりも多い関節自由度をもち,関節運動を生む筋はさらに膨大な自由度を有している.このような冗長多自由度がわれわれの多様かつ柔軟な身体活動に必要であることは言うまでもない.
では,ヒトはいかにしてこのように膨大な自由度を制御し,多様な環境にも適応できる運動を生成しているのであろうか.このベルンシュタイン問題下で中枢神経系が個々の筋に逐一指令を送っていると,処理すべき情報量が膨大となる.そこで,いくつかの筋をまとめて支配する神経制御機構である筋シナジーという概念が提唱された1).中枢神経系は個々の骨格筋に対して直接骨格筋ではなく,複数の筋をまとめた少数の筋シナジーに運動指令を送ることにより制御を簡略化しているのだ.
参考文献
1)Bernstein N:The co-ordination and regulation of movements. Pergamon Press, New York, 1967
2)Tresch MC, et al:The construction of movement by the spinal cord. Nat Neurosci 1999;2:162-167
3)Lee DD, et al:Learning the parts of objects by non-negative matrix factorization. Nature 1999;401:788-791
4)Imagawa H, et al:Synergistic co-activation in multi-directional postural control in humans. J Electromyogr Kinesiol 2013;23:430-437
5)Kubo A, et al:Action direction of muscle synergies in voluntary multi-directional postural control. Front Hum Neurosci 2017;11:434. doi:10.3389/fnhum.2017.00434
6)Hagio S, Kouzaki M, et al:The flexible recruitment of muscle synergies depends on the required force-generating capability. J Neurophysiol 2014;112:316-327
7)Hagio S, et al:Identification of muscle synergies associated with gait transition in humans. Front Hum Neurosci 2015;9:48. doi:10.3389/fnhum.2015.00048
8)Hagio S, Kouzaki M:Modularity speeds up motor learning by overcoming mechanical bias in musculoskeletal geometry. J R Soc Interface 2018;5:20180249. doi:10.1098/rsif.2018.0249
9)Wenger M, et al:Spatiotemporal neuromodulation therapies engaging muscle synergies improve motor control after spinal cord injury. Nat Med 2016;22:138-145
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