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症例報告
イラストやオノマトペを活用した運動学習により片麻痺機能と自立度の改善を認めた慢性期失語症患者の1症例
著者: 村部義哉1
所属機関: 1訪問看護リハビリステーション満月
ページ範囲:P.241 - P.245
文献購入ページに移動要旨 【はじめに】運動学習の第一段階は,言語的情報処理を中心とした認知段階であるが,言語機能が障害される失語症患者では,言語的情報処理の認知的負荷の軽減が必要であると考えた.【症例】左脳出血発症後約5年が経過した70歳台女性.失語症と右上下肢の不全麻痺により,移乗・移動の安全性が低下していた.【介入と結果】運動学習を促進する手段として,発症前の運動感覚の想起と,それに該当するイラストやオノマトペを設定した.2回/週,60分/回の頻度で5か月間介入を実施し,移乗・移動の介助量の軽減を認めた.【結語】失語症患者の運動学習を援助する方法として,イラストやオノマトペを用いた運動感覚の簡略化による認知的負荷の軽減が有効となることが示唆された.
参考文献
1)Taylor JA, et al:The role of strategies in motor learning. Ann N Y Acad Sci 2012;1251:1-12. doi:10.1111/j.1749-6632.2011.06430.x
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