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特集 システムとしての姿勢制御—メカニズムの解明から臨床応用まで
—エディトリアル—システムとしての姿勢制御—メカニズムの解明から臨床応用まで
著者: 森岡周1
所属機関: 1畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
ページ範囲:P.258 - P.259
文献購入ページに移動他方,姿勢動揺が減少し,見かけ上安定しているようにみえても,それだけでは姿勢制御が正常化しているとは言えない.例えば,パーキンソン病では健康な若年者よりも姿勢動揺が減少することが報告されている1).一方で,パーキンソン病では動揺周波数が高周波化するといった質的な変化がみられることがわかっている2).動揺周波数の高周波化は姿勢制御における関節の剛直化を示すと言われており3),最近では,このような関節の剛直化は,過度な意識に基づく姿勢制御によって起こると言われ,むしろ柔軟的な制御を奪ってしまうと問題視されている.こうした問題を捉えるために,姿勢制御評価においては,動揺の増大/減少といった量的指標のみならず,動揺速度や周波数といった質的指標も捉えるべきであると言われるようになってきた.そして,姿勢動揺の減少のみを目的としたステレオタイプな理学療法の呪縛を解く必要もあると言えるであろう.
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