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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル57巻3号

2023年03月発行

文献概要

Close-up リウマチ今昔物語

関節リウマチの作業療法—変わったことと変わらないこと

著者: 田口真哉1 佐浦隆一2

所属機関: 1社会医療法人抱生会丸の内病院リハビリテーション部 2大阪医科薬科大学医学部総合医療講座リハビリテーション医学教室

ページ範囲:P.329 - P.334

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はじめに

 2000年代初めからの薬物治療の劇的な進歩は,関節リウマチ(rheumatoid arthritis)のリハビリテーション治療の目的や目標を大きく変えた.作業療法も例外ではなく,従前の疼痛緩和や変形など二次障害の予防に加えて,低疾患活動性,あるいは寛解をめざす薬物治療中の機能維持や向上,そして,健常者と同じような日常生活の享受,社会活動への参加のための関節リウマチ患者の包括的支援が目的となった.

 と言っても,薬物治療が奏効しない,あるいは長期罹患により障害をもつ関節リウマチ患者の身体機能と日常生活活動の維持を目的とする作業療法の必要性が失われたわけではない.寛解あるいは低疾患活動性をめざす薬物治療が主流となっても,生活に密着し動作にこだわる作業療法士が関節リウマチのリハビリテーション治療のなかで担う役割は,ライフステージへの支援も加わり,その重要性は増し,そして,関節リウマチ患者のみならず,関節リウマチ医療チームに加わっている多職種からの作業療法への期待も大きくなっている.

 そこで,本稿では,筆者らが経験してきた関節リウマチの作業療法の変わらないこと,変わったことを紹介したい.

参考文献

1)日本リウマチ学会(編):関節リウマチ診療ガイドライン 2020.pp16-19,診断と治療社,2021
2)やさききよし:手のスプリントのすべて,第4版.pp93-96,三輪書店,2015
3)Sadura-Sieklucka T, et al:Benefits of wrist splinting in patients with rheumatoid arthritis. Reumatologia 2018;56:362-367
4)Zijlstra TR, et al:Silver ring splints improve dexterity in patients with rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum 2004;51:947-951
5)佐浦隆一,他:関節リウマチのリハビリテーション医学・医療.Jpn J Rehabil Med 2020;57:693-698
6)小嶋俊久:関節リウマチ治療における非薬物療法のアルゴリズム—運動療法,作業療法,関節内注射.LOCO CURE 2021;7:303-306
7)Lamb S, et al:Exercises to improve function of the rheumatoid hand(SARAH):a randomised controlled trial. Lancet 2015;385:421-429
8)SARAH研究会:関節リウマチのための手と上肢のエクササイズ SARAHエクササイズガイド.
9)中村めぐみ,他:関節リウマチの手に効果的なハンドエクササイズプログラムStrengthening and Stretching for Rheumatoid Arthritis of the Hand(SARAH)の紹介—セラピストによる活用にむけて.森ノ宮医療大紀2019;13:45-62
10)厚生労働科学研究費補助金 免疫・アレルギー疾患政策研究事業「ライフステージに応じた関節リウマチ患者支援に関する研究」研究班(編):メディカルスタッフのためのライフステージに応じた関節リウマチ患者支援ガイド.羊土社,2021.https://www.ryumachi-jp.com/jcr_wp/media/2022/03/life_all.pdf(2023年1月24日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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