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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル57巻4号

2023年04月発行

文献概要

連載 臨床研究のススメ—エビデンスを創ろう・第4回

コホート研究

著者: 木村朗1

所属機関: 1群馬パース大学大学院医療科学領域・生体機能分野

ページ範囲:P.465 - P.468

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研究以前に分数の思想をマスターしよう

 臨床研究の基礎をなすのは疫学です.疫学とは特定の地域において,健康問題の発生を調べること,その発生頻度や地理・時間の条件,気になる要因による分布,それらによる発症率などの頻度から原因を特定し,因果関係を明らかにすることを担う科学です.臨床研究は,この疫学を臨床場面に適応して,治療方法の方針に確率的な見方を加えて,判断するための材料を得ることを目的として発展した分野であると言えるでしょう.

 疫学を武器に臨床課題に取り掛かる際に,重要な考え方の枠組み(フレームワーク)を持ち合わせると,後が楽になります.それは,病気や障害をもつ人に焦点を当てるのが医療であり,医療の研究における分数の分母は,必ず健康な人と病気の人を合わせたものであり,分子はそのなかで病気の人の数を対象として行われる,という考え方です.臨床研究には疫学的発想が加わることから,この分数で言えば,分母の健康な人と病気の人の両者とも対象にして分析を行うことに特徴をもつ,と考えてみてください.

参考文献

1)Morris JN, et al:Coronary heart-disease and physical activity of work. Lancet 1953;262:1053-1057
2)中村好一:基礎から学ぶ楽しい疫学,第4版.医学書院,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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