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特集 関節間トレードオフ
—エディトリアル—協調性とトレードオフ
著者: 福井勉1
所属機関: 1文京学院大学
ページ範囲:P.512 - P.514
文献購入ページに移動 運動器疾患の治療では治療対象を要素還元的に捉える方法と身体他部位との連続性を考える方法論があり,互いに相容れない印象がある.しかしながら,この両者は本来背反するものではなく,互いを補完するものである.後者の例に挙げられる,投球肩障害と股関節など障害部位と身体他部位との関連性立証の試みは広範に行われている一方で,診断学的には連続性が言及されていないと言ったほうが正確である.外傷に関しては傷害部位の治療を行うことは当然であるが,変性疾患や使い過ぎ症候群においては,他部位からの影響を受けるという認識が理学療法士にとっては必要である.その大きな理由を2つ挙げる.1つは「運動は単関節では行われない」からであり,いま1つは「人体が常に重力場の影響を受ける」からである.この身体他部位との連続性を,具体的な動作を通して考えていく.
参考文献
1)Lewis CL, et al:Walking with increased ankle pushoff decreases hip muscle moments. J Biomech 2008;41:2082-2089
2)Perry J,他(著),武田 功,他(監訳):ペリー歩行分析—正常歩行と異常歩行,原著第2版.pp9-30,医歯薬出版,2012
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