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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル57巻5号

2023年05月発行

文献概要

連載 臨床研究のススメ—エビデンスを創ろう・第5回

無作為化比較試験

著者: 牧野圭太郎12 島田裕之1

所属機関: 1国立長寿医療研究センター研究所老年学・社会科学研究センター 2

ページ範囲:P.589 - P.592

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無作為化比較試験とは

 無作為化比較試験(randomized controlled trial)は,治療法などの有効性を検証するために,研究対象者を複数のグループにランダム(無作為)に分類し,グループ間でアウトカムを比較する介入研究のことを指す.ある治療法の効果を証明したいとき,治療を行う場合と行わない場合(もしくは従来の治療法など)との間で効果の大きさを比較する必要がある.そのため,研究対象者は治療を受けるグループ(介入群)と治療を受けない(もしくは従来の治療法を受ける)グループ(対照群)とに振り分けられることになり,この作業を割り付けと呼ぶ.この作業においてグループ間で対象者の属性が偏っていた場合,比較した結果が本当に治療法に起因する差なのか,それとも対象者属性の偏りに起因する差なのかを結論づけることが困難になってしまう.このような偏りの影響(選択バイアス)を取り除くため,ランダム割り付け(random assignment)と呼ばれる方法で対象者を無作為にグループ分けした研究が無作為化比較試験である(図1).ランダム割り付けは未測定さらには未認知の交絡因子の影響を最小化することができるため,これを用いた無作為化比較試験は質の高いエビデンスが得られる研究手法として知られている1)

参考文献

1)Katz, MH(著),木原雅子,他(訳):医学的介入の研究デザインと統計—ランダム化/非ランダム化研究から傾向スコア,操作変数法まで.pp47-48,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2013
2)Hulley SB, et al(著),木原雅子,他(訳):医学的研究のデザイン—研究の質を高める疫学的アプローチ,第4版.pp159-182,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2014
3)川村 孝:臨床研究の教科書—研究デザインとデータ処理のポイント,第2版.pp46-47,医学書院,2020
4)津谷喜一郎,他:CONSORT 2010声明—ランダム化並行群間比較試験報告のための最新版ガイドライン.薬理と治療2010;38:939-947
5)酒井良子:レジストリとその利活用 その1.社会薬学2018;37:156-158

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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