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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル57巻5号

2023年05月発行

文献概要

症例報告

人工膝関節全置換術後に脆弱性踵骨骨折を呈した1例

著者: 濵澪1 田中創1 三栖翔吾2 宮城哲3 松田秀策3 徳永真巳3 吉本隆昌3

所属機関: 1福岡整形外科病院リハビリテーション科 2甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科 3福岡整形外科病院整形外科

ページ範囲:P.603 - P.606

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要旨 【目的】人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)後の合併症として脆弱性踵骨骨折を呈す頻度は0.5%と報告されている.今回,TKA後に踵骨の脆弱性骨折を呈した症例を経験し,その発生要因について検討した.【症例】70歳台女性,左大腿内側顆骨壊死に対してTKAを施行した.術後の経過は良好であったが,術後約1か月時のステッキ歩行時に左外果下方に荷重時痛が出現し,magnetic resonance imagingで脆弱性踵骨骨折が認められた.【方法】歩行時の踵骨への負荷について対照群を抽出して比較した.【結果】立脚初期時の踵部への負荷は術前よりも増加していた.【結論】術後の歩行時の踵骨への過負荷,使用していた靴のサイズや素材が影響していると考えられた.これらより,TKA後の脆弱性踵骨骨折を予防するためには術前の活動性や術後の歩行速度に応じた踵骨を保護する足底挿板の作製や,適切な靴の選択が重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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