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編集後記 フリーアクセス
著者: 福井勉
所属機関:
ページ範囲:P.622 - P.622
一方,ヒトの動きを扱う学問分野では,脳などによる制御を考えてきましたし,その臨床応用も発展してきています.しかしながら,臨床効果が十分だと思っている理学療法士はいないと思います.臨床はその不明事象の集合にもなっていますので,「理解不能」領域に閉じ込めるだけでは,未来がありません.われわれに重要なのは理論の飛躍を少なくして,積み上げていくことです.ミクロ,マクロの視点どちらも大事と言えば正論で面白くありませんが,その境界は五感での理解ではないかと思います.関節が一つずつ別々に動いているわけではないことは臨床を少し経験すれば感じます.その一つが協調性です.われわれは拮抗関係,中枢と末梢,近位と遠位などの分け方をして理解を高める努力をしてきたのだと思います.そしてそれは運動器疾患のように比較的局所で扱われがちな疾患であっても,「感じる」わけです.そこが不十分な現状の目標は,阿南論文で述べられているように,「運動協調性を高める理学療法プログラムの確立」であることまでは明確なように思います.
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