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特集 脳卒中の予後予測と目標設定
—エディトリアル—脳卒中における予後予測と目標設定の重要性
著者: 野添匡史1
所属機関: 1関西医科大学リハビリテーション学部
ページ範囲:P.636 - P.641
文献購入ページに移動はじめに
理学療法を対象者に提供する際には,通常何らかの目標が設定される.しかし,筆者自身が学生だった頃のレポートを思い返すと,ステレオタイプに「歩行自立」,「自宅復帰」といった目標を記載し,対象者の希望(hope)と寸分狂わぬ目標を設定していたことが思い出される.臨床実習が終わる頃,もしくは理学療法士として現場で働き始めた頃,これらの目標設定が机上の空論であり,私自身の勝手な妄想であることを思い知ったのはついこの前のように感じる.筆者ほどのことはないにしても,読者の皆さんにも似たような経験があるのではなかろうか.
本特集では従来重要視されながらも依然として臨床現場での応用が難しい脳卒中における機能予後予測について,脳卒中理学療法に精通した専門家より多面的に情報提供していただく.特に,一般的な医学モデルにおける予後の中心は生命予後であるが,われわれ理学療法士は健康寿命に対して注力することが多い.本特集では脳卒中における健康寿命延伸に必要な機能予後の予測と,それらの予測を用いた目標設定の実際についてご紹介いただく.その導入として,本稿では脳卒中者に対する予後予測と目標設定の意義や重要性について解説する.
理学療法を対象者に提供する際には,通常何らかの目標が設定される.しかし,筆者自身が学生だった頃のレポートを思い返すと,ステレオタイプに「歩行自立」,「自宅復帰」といった目標を記載し,対象者の希望(hope)と寸分狂わぬ目標を設定していたことが思い出される.臨床実習が終わる頃,もしくは理学療法士として現場で働き始めた頃,これらの目標設定が机上の空論であり,私自身の勝手な妄想であることを思い知ったのはついこの前のように感じる.筆者ほどのことはないにしても,読者の皆さんにも似たような経験があるのではなかろうか.
本特集では従来重要視されながらも依然として臨床現場での応用が難しい脳卒中における機能予後予測について,脳卒中理学療法に精通した専門家より多面的に情報提供していただく.特に,一般的な医学モデルにおける予後の中心は生命予後であるが,われわれ理学療法士は健康寿命に対して注力することが多い.本特集では脳卒中における健康寿命延伸に必要な機能予後の予測と,それらの予測を用いた目標設定の実際についてご紹介いただく.その導入として,本稿では脳卒中者に対する予後予測と目標設定の意義や重要性について解説する.
参考文献
1)内閣府:2健康・福祉,令和4年版高齢社会白書(全体版).https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_2_2.html(2023年1月17日閲覧)
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3)Arafa A, et al:Developing a stroke risk prediction model using cardiovascular risk factors:the Suita Study. Cerebrovasc Dis 2022;51:323-330
4)厚生労働省:令和2年(2020)患者調査の概況.2020.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/heikin.pdf(2023年2月1日閲覧)
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6)Burton JK, et al:Prevalence and implications of frailty in acute stroke:systematic review & meta-analysis. Age Ageing 2022;51:afac064. doi:10.1093/ageing/afac064
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8)Yoshimura Y, et al:Sarcopenia is associated with worse recovery of physical function and dysphagia and a lower rate of home discharge in Japanese hospitalized adults undergoing convalescent rehabilitation. Nutrition 2019;61:111-118
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