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連載 今月の深めたい理学療法周辺用語・第10回
ハイドロリリース
著者: 斉藤究1 田島嘉人2
所属機関: 1医療法人名古屋究佳会さいとう整形外科リウマチ科 2平成医療短期大学リハビリテーション学科理学療法専攻
ページ範囲:P.1154 - P.1155
文献購入ページに移動ハイドロリリースとは,生理食塩水などの麻酔効果のない点滴溶液を患者の発痛源に注射することで,疼痛の軽減または消失を図る治療である.ハイドロリリースにより痛みの改善だけでなく,関節可動域の改善,筋出力の向上,しびれや知覚異常の改善など,リリースする組織によってさまざまな効果が得られる.
1980年にFrostら1)は筋筋膜性疼痛に対して注射を行ったところ,生理食塩水でも麻酔薬と同等の鎮痛効果を示し,麻酔効果がないぶん,神経ブロックなどの副作用も少なかったと報告した.これが現在のハイドロリリースへと発展した.ハイドロリリースには麻酔効果がないため,除痛が得られた際にはその効果が注射部位の組織間滑走や機能異常,血流障害などによって得られたと解釈できる.このように,病態理解に役立つこともハイドロリリースの利点の一つである.
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