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連載 臨床実習サブノート 「どれくらい運動させていいかわからない」をどう克服するか・第8回
—神経・筋疾患—パーキンソン病患者に対する協調性改善運動
著者: 中山恭秀1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
ページ範囲:P.1285 - P.1289
文献購入ページに移動パーキンソン病(Parkinson disease:PD)は,50〜70歳台に多く発症する国が指定する難病であり,進行性の変性疾患です.中脳黒質緻密層のメラニン含有神経細胞の変性・脱落を主な病変とし,神経伝達物質であるドーパミンの分泌不足をもたらすことにより情動と運動の調整に影響が生じます.同じく神経伝達物質であるアセチルコリンとの相反的な調整機能が破綻し,さまざまな症状が認められます.一般的にドーパミン製剤の投与はこのドーパミンの不足を補う治療であり,これに合わせる形で運動療法が処方されます.
運動や身体活動について,現在のところ普遍的に推奨されているにとどまり,適切な運動様式,頻度,強度については不明な点が多いです1).世界保健機関(World Health Organization:WHO)がPDを障害をもつ人数の観点から最も急速に増加している神経疾患であると認識しているなか,理学療法士が行う専門的な運動療法がどのような作用をもたらすか,症例に即した実践とその報告を積み重ねることについて,国内外ともに期待が集まっています.
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