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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル58巻12号

2024年12月発行

文献概要

症例報告

全身の動脈硬化性疾患から経年的帰結として心不全に至り,運動耐容能向上に難渋した1例

著者: 五月女宗史1

所属機関: 1社会医療法人中山会宇都宮記念病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.1401 - P.1406

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要旨 動脈硬化は全身的および経時的変化をもたらす疾患であり,全身の重要臓器と関連した合併症をもたらす.今回,冠動脈および下肢血管の閉塞を繰り返し,左下肢閉塞性動脈硬化症に血行再建術を施行した術後理学療法と,その1年3か月後に心不全にて再入院となり理学療法を行った経験を得た.下肢血行再建術後の理学療法では,下肢血行動態および下肢運動機能は改善したが,虚血を有する低心機能が露呈した.運動療法および患者教育を行い自宅退院となったが,アドヒアランスが低下していたため,経年的帰結として心不全となり再入院となった.理学療法を再開しADLは改善したが,運動耐容能の低下を認め,心血管系だけでなく骨格筋系と呼吸器系の重度機能低下が考えられた.重度の動脈硬化に起因する心血管疾患患者の場合,全身の臓器で経時的に病態が進行することを踏まえ,患者の状況を考慮した包括的な理学療法が重要であると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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