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雑誌目次

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理学療法ジャーナル58巻2号

2024年02月発行

雑誌目次

特集 総合理学療法

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.130 - P.131

 プライマリ・ケア,地域医療,大学病院での役割を踏まえて,総合的にみることについて医師と看護師に求められる役割とコンピテンシーについてご解説いただいた.合わせて,理学療法領域での専門性の水準についてお示しいただき,現在,求められている「総合的にみることを専門」とすることを通じて総合理学療法について考える機会としたい.

—エディトリアル—総合理学療法—総合的にみる専門性と専門的にみる総合性

著者: 内山靖

ページ範囲:P.132 - P.143

「総合」とは何を意味するのか

 理学療法では,リハビリテーションの理念とともにperson with disabilities(PWD)として,疾病や障害ではなく“人”を対象としている.この点から,理学療法は元来から総合的なもので今さら何をと思われるかもしれない.

 これまで,医学的な側面に加えて教育,職業,社会的視点を包含した概念や,理学療法/作業療法/言語聴覚療法を複合的に提供することを総合リハビリテーションと称することがある.これらは,理念やチームとしての形態を表現しているものとも言える.

プライマリ・ケア医は何を総合的にみているのか

著者: 草場鉄周

ページ範囲:P.144 - P.149

Point

●少子高齢化と人口偏在が進む日本ではプライマリ・ケアに対する期待が高まっている

●プライマリ・ケア医のモデルとしての総合診療専門医が地域連携で果たす役割は大きい

●総合診療は世界中の国で重視されているが,専門領域としての認知度が低いなど課題もある

総合診療医は何を総合的にみているのか

著者: 野村英樹

ページ範囲:P.150 - P.155

Point

●総合診療医は,日本の医療におけるアンメットニーズに取り組む医師であり,その取り組む対象は狭い意味での医学にとどまらない

●総合診療医は幅広い課題に取り組むことから,医療職はもちろん,福祉職や行政職,教育職などを含む幅広い多職種と連携することが必然である

●総合診療医は,地域という視点をもつことと教育への関与が特徴である

家庭医は何を総合的にみているのか

著者: 竹村洋典

ページ範囲:P.156 - P.160

Point

●患者の思いや期待,または心理・社会・経済的な患者のバックグラウンドを勘案した医療も,疾病の診断や治療と同様に重要と思われる

●家族のライフスタイルにおいてステージが変わるときに疾病が認識されやすい

●家族構成によっては,他の構成員に比べてストレスが多くなる構成員が発生し得る

●特に高齢者には,リハビリテーションや栄養のみならず,社会的処方を提供することも重要である

●ある特定の地域に住む住民に疾患の発生率が多くなることがあり,それを発見することも重要となる

プライマリ・ケア領域の診療看護師は何を総合的にみているのか

著者: 小野美喜

ページ範囲:P.161 - P.165

Point

●診療看護師は医師や理学療法士などの専門職と連携協働しながら,患者の病態を臨床推論し生活モデルの視点で医療的介入をする看護師である

●診療看護師が理学療法士などと協働してリハビリテーション時の全身管理を担うことで,安全に効果的な機能回復が期待できる

●高齢化や疾病構造の変化からプライマリ・ケア領域の患者の増加が想定される社会において,理学療法士と診療看護師の協働は患者の健康回復を担う重要な介入となり得る

総合的に患者・生活者をみる姿勢と多職種連携能力—モデル・コア・カリキュラムから紐解く

著者: 春田淳志

ページ範囲:P.166 - P.171

Point

●2022(令和4)年度改訂版の医学・歯学・薬学のモデル・コア・カリキュラムに「総合的に患者・生活者をみる姿勢」が加わった

●総合的な視点とアプローチを学ぶには,視点をずらす方法や視点の揺らぎをもたらす多職種連携教育が有用である

●総合的な学習の指導には,学習理論の活用,信頼関係の構築,ファシリテーターの貢献が重要となる

―理学療法士が総合的に捉える視点(水準と領域のマトリックス)―循環器

著者: 高橋哲也

ページ範囲:P.172 - P.178

Point

●循環をみることは理学療法の最も基本である

●自覚症状と身体所見が循環器リスク管理の基本である

●疾病によるものか,加齢によるものかの判断が重要である

●酸素搬送系の理解こそ総合的に捉える視点のカギである

―理学療法士が総合的に捉える視点(水準と領域のマトリックス)―呼吸器

著者: 間瀬教史

ページ範囲:P.179 - P.184

Point

●呼吸器の構造・機能がどのように障害(病態との関連から)されているかを理解する

●障害されている呼吸機能・構造を評価できる

●治療に使用される医療機器の管理や使用方法を理解する

●シームレスなリハビリテーションを提供する視点をもつ

―理学療法士が総合的に捉える視点(水準と領域のマトリックス)―運動器

著者: 福井勉

ページ範囲:P.185 - P.190

Point

●評価を集約する

●因果関係を考察する

●高い技術を知覚する

―理学療法士が総合的に捉える視点(水準と領域のマトリックス)―高次脳機能―半側空間無視とpusher現象合併例

著者: 網本和

ページ範囲:P.191 - P.195

Point

●半側空間無視とpusher現象合併例に対する理学療法の総合的視点について概説した

●急性期では画像情報を基盤として,リスク管理に留意して進める

●回復期では半側空間無視とpusher現象の症状特性に応じた評価と治療法を選択する

●維持期では社会資源の活用を考慮した対応が必要となる

―理学療法士が総合的に捉える視点(水準と領域のマトリックス)―代謝

著者: 野村卓生 ,   井垣誠

ページ範囲:P.196 - P.200

Point

●理学療法の対象者に糖尿病を合併する患者は多いが,人口の高齢化も伴い,糖尿病を合併する患者はますます増加する

●糖尿病性合併症には,急性合併症と慢性合併症があり,これらの有無と重症度を評価し,リスク管理する必要がある

●適切な臨床推論のもとに理学療法を行うため,すべての理学療法士が身につけておくべき糖尿病理学療法の知識と技能がある

―理学療法士が総合的に捉える視点(水準と領域のマトリックス)―疼痛

著者: 服部貴文 ,   松原貴子

ページ範囲:P.201 - P.206

Point

●疼痛は“痛い”という感覚的側面だけでなく,認知的・情動的・身体的・社会的側面といった多面性を有する

●疼痛を総合的に捉えるためには,疼痛の機序・病期分類の理解が重要である

●これらを基盤として,初学者では多面的な評価,専門家ではより詳細な評価に基づき,病態に応じた基本的または応用的な対応が必要となる

●罹患部(有痛部)のみならず遠隔部を含む全身の運動は,急性痛と慢性疼痛を問わず有効性が示されている

●認知・情動的側面の影響が強い患者に対しては,運動に加えて教育的介入を併用することが推奨されている

―理学療法士が総合的に捉える視点(水準と領域のマトリックス)―認知・情緒

著者: 金谷さとみ

ページ範囲:P.207 - P.211

Point

●認知症は複雑で対応が難しいと考えられているが,総合的に捉えることで容易になる

●認知症では残存する認知機能を正確に把握して自信をもたせながら実施する

●認知症を発症すると精神的に不安定になるため,心情に配慮して理学療法を実施する

Close-up ナラティヴ

ナラティヴと医療とのかかわり

著者: 宮坂道夫

ページ範囲:P.214 - P.218

ナラティヴとは何か

 最初に,そもそも「ナラティヴ(narrative)」とは何かという説明をする必要があるのだが,これはきわめて文系的な話になる.本誌の読者は,「ナラティヴ」という言葉から,おそらく患者との対話をイメージするように思うのだが,ナラティヴの研究は,主には小説,演劇,詩のような文学作品を対象として始まった.しかもその起源は,紀元前4世紀の古代ギリシャのアリストテレスの『詩学』にまで遡る長い歴史をもっている.理学療法の世界とはおよそ縁遠いように思われてしまうかもしれないが,アリストテレスの理論について,ごく簡単に触れておく.

 アリストテレスは,ギリシャで盛んにつくられていた多様な物語を分析し,物語が物語として成り立つ条件として,およそ次のような共通点を見出した.

ナラティヴを理学療法に活かす

著者: 森下昇

ページ範囲:P.219 - P.223

はじめに

 Narrative-based medicine(NBM)は,1998年に英国のGreenhalghらによって提唱された医学/医療の概念である1,2).NBMは,evidence-based medicine(EBM)を補完する概念として一定の関心を集め,本邦では,EBMとNBMは「患者中心の医療を実現するための車の両輪」と理解されている3)

 近年,医療構造の急激な変化に伴い,NBMの重要性があらためて注目されている現在,地域共生社会の実現には,障がい者や難病患者をはじめ,あらゆる人々が地域コミュニティの諸活動に参加し,さまざまな役割をもって自分らしく活躍できる条件整備が必要不可欠である.しかし,障がい者などの当事者の多くはコミュニティのなかで孤立し「共生」とは呼びがたい状況にある.真に「地域共生社会」を実現するには,多くの住民が「わがこと」としてこうした現実と向き合えるよう,従来以上に当事者と地域住民との相互理解を深める地域福祉実践や福祉学習が求められる.

 そこで本稿では,鳥取大学・八頭町連携事業「語り・学び・de 愛プロジェクト」(以下,本プロジェクト)の一環として,当事者が抱えるさまざまな課題に対して,地域住民の理解促進を試みた研究を紹介する.それを踏まえ,対象者をエンパワメントし,社会参加をめざすために,ナラティヴ・アプローチを理学療法に活かす方法について概説したい.

連載 とびら

タッチ

著者: 小野田英也

ページ範囲:P.127 - P.127

 理学療法士になっていつの間にか40年以上が経過しました.前半の25年間は病院に勤務し,後半16年間は日本理学療法士協会,日本理学療法学会連合事務局にてお世話になっています.私が理学療法士になった頃は慢性関節リウマチの特効薬はなく,重度の関節変形により人工関節置換術を受ける方が多くいました.私が勤務していた病院でも進行をコントロールできず,四肢や脊柱,顎関節に至るまで軟骨がすり減り,ADLが制限されているリウマチの患者さんが手術目的で入院していました.

 重度のリウマチ患者さんを術前後の理学療法のため担当することがありましたが,当時の私はリウマチ患者さんが得意ではありませんでした.「得意ではない」とは患者さんに対して失礼な話であり,プロとして好き嫌いを述べることが不謹慎であることは重々承知していますが,正直に申し上げて40年前の私はリウマチ患者さんに対して苦手意識がありました.

単純X線写真 読影達人への第一歩・第11回

腰部脊柱管狭窄症

著者: 古谷英孝

ページ範囲:P.117 - P.124

症例情報

●基本情報:70歳台,男性.

●診断名:腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal canal stenosis:LCS).

●主訴:右側下肢のしびれ,長時間歩行困難.

●現病歴:約3か月前から15分程度歩行すると右側殿部から下肢にかけてしびれが出現し,長距離歩行困難となる.しびれが強くなり歩行距離が短くなってきたため整形外科を受診したところ,LCSの診断を受ける.

●理学療法評価

 神経性間欠性跛行(+),Kemp test(+),腱反射正常,右下肢殿部から下腿前面にかけてのしびれ,右長母趾伸筋徒手筋力テスト(Manual Muscle Testing:MMT)3,下肢痛Visual Analogue Scale(VAS)78mm,膀胱直腸障害(−).

今月の深めたい理学療法周辺用語・第2回

ナッジ理論

著者: 小野裕介

ページ範囲:P.224 - P.225

ナッジとは

 ナッジとは,「自由には行動できます.しかし,できればよりよい,あなたのためになることを選びやすくさせてあげましょう」という考え方1)に基づく,さまざまな工夫のことです.例えば,ビュッフェ方式のレストランにおいて,野菜や果物などの健康的な食べ物をほかの料理よりも先に,あるいは目につきやすい,取りやすい場所に置くことによって,健康的な食の選択や摂取につなげる2)といった,本人や社会にとってよりよい選択を促進するのための工夫のことです.

中間管理職の悩み・第8回

職員のモチベーションをどのように向上させればよいのでしょうか?

著者: 西郡亨

ページ範囲:P.226 - P.227

はじめに

 「学会や研修会へ参加する職員が少ない」,「モチベーションが低い」など,職員のモチベーションの低さに悩む管理職の皆さんの声を聞きます.このような問題に対して,「医療専門職である以上,自己研鑽することが当たり前だ」と,個人の責任とする考えもあるかもしれません.しかし,職員のモチベーションの向上には,個人の問題のみではなく,組織的な要因にも着目することが重要です.

 本稿では,職員のモチベーション向上につなげるための組織や上司としてのかかわりについて説明します.

理学療法士のための「money」講座・第2回

理学療法士はいったいどのくらい稼ぐのか—“自分らしさ”を追求した真のライフプランニング

著者: 細川智也

ページ範囲:P.229 - P.231

はじめに

 筆者は千葉県の整形外科病院で理学療法士として15年間勤務し,現在はソニー生命保険株式会社にてライフプランナーとして活動しています.クライアントの7〜8割は理学療法士であり,筆者は理学療法士としての専門知識を活かして彼らのライフプランをサポートしています.ほぼ「理学療法士専門ライフプランナー」と言っても過言ではないでしょう.

 理学療法士としての15年間は職務に誇りと自信をもち,医師やほかの医療従事者と協力しながら,患者さんの治療に真摯に取り組んできました.しかしながら,給与面の課題が多くの理学療法士を悩ませています(図)1).お金に関する不安はストレスを引き起こし,仕事と家庭のバランスに悪影響を及ぼす可能性があります.筆者は,お金の問題を解決することはきわめて重要だと感じています.筆者の現在の役割は,お金の専門家としてこの問題に対処することです.筆者は,お金に対する不安を解消させ,理学療法士の皆さんが仕事と家庭に専念できるようにバックアップする使命を担っています.

 さて,2024年には税制改革が予定されており,皆さんにも大きな影響を及ぼすでしょう.主に「新NISA」の導入や「相続・贈与関連の税制」の変更が行われます.本連載では1年間,皆さんに知っておいていただきたいお金に関する情報をわかりやすくお伝えしたいと思います.

臨床実習サブノート 臨床実習で技術のステップアップをめざそう・第11回

治療技術⑤ 歩行動作練習

著者: 田崎秀一郎

ページ範囲:P.233 - P.239

はじめに

 歩行動作練習は,日々のリハビリテーション場面において理学療法士が最も多く経験し,治療技術の基盤となると言えます.一方で,修得するには難易度が高い治療技術の一つでもあります.理学療法士側による「経験」や「思考プロセス」の違いや,対象者側による「症例」,「環境」,「目的」といったさまざまな複合的な要素を統合し,考える必要があります.MacGinlyらの報告によると,基本的な観察の能力には理学療法士の経験による差がないとあります1)

 本稿では,臨床実習生(以下,実習生)および実習指導者(以下,指導者)が共通認識として押さえておきたい点,説明すべき点は何かという着眼点で述べていき,実習生や指導者などの臨床力の一助となればと思います.

私のターニングポイント・第49回

あのときがあるから,今がある

著者: 山本喜文

ページ範囲:P.213 - P.213

 私のターニングポイントは,多くの日本人がそうであるように,3.11東日本大震災です.

 震災当日は,千葉県の総合病院に勤務していました.千葉県でも震度4であり,歩行練習していた患者様を転倒させないために,片膝をつきその上に座らせたのを覚えています.その後,16時頃だったと思います.テレビの画面に仙台空港に黒い津波が押し寄せてくる映像が流れました.私は出身が岩手県盛岡市であり,実家は内陸であるため津波の心配がないことはわかっていましたが,それでも,大変衝撃的な映像でした.

My Current Favorite・23

障害児・者のよりよい生活を思い描いて

著者: 齋藤武

ページ範囲:P.232 - P.232

現在の関心事

 私は現在,障害福祉サービスを運営しています.障害をもつ子ども,大人とかかわっています.幅はとても広くなりますが,障害児・者の生活,日中活動というところに興味・関心をもっています.障害福祉分野で働く理学療法士を含むリハビリテーション専門職はまだ少ないため,われわれがかかわることでどのような変化・特色をもたらすことができるのか探りながら働いています.

学会印象記

—第10回日本小児理学療法学会学術大会—子どもと家族の健康と幸福について考える

著者: 仲山玖未

ページ範囲:P.240 - P.240

 第10回日本小児理学療法学会学術大会が北海道小樽市で開催されました.第10回という節目でもあり,本大会では日本小児理学療法学会理事長の小塚直樹先生を大会長とし,テーマは「子どもと家族の健康と幸福のための理学療法学」でした.2019年の学術大会以来の対面での開催となり,一般演題は144と昨年度を大きく上回るものとなりました.大会長の小塚先生をはじめ,準備委員の皆さんの尽力により素晴らしい会になったことを,この場を借りてお礼申し上げます.

症例報告

同側大腿骨三重骨折(転子下・骨幹部・顆部)1例における観血的骨接合術後の理学療法経験

著者: 山本洋司

ページ範囲:P.241 - P.245

要旨 【目的】同側大腿骨三重骨折1例の理学療法経過ならびに治療成績を報告する.【方法】40歳台男性,診断名は左同側大腿骨三重骨折(青柳分類:G Ⅳ)であった.受傷後5日目に左大腿骨転子下骨折,左大腿骨骨幹部骨折に対し観血的骨接合術が施行され,受傷後6日目より拘縮予防目的に理学療法を開始した.受傷後19日目に左大腿骨顆上骨折に対し観血的骨接合術が施行され,受傷後20日目より理学療法を再開した.受傷後8週目より1/3部分荷重歩行,受傷後13週目より1/2部分荷重歩行,受傷後18週目より全荷重歩行を開始した.【結果】受傷後21週目に股関節屈曲120°,外旋50°,膝関節屈曲155°,膝関節伸展不全0°を獲得した.また,Karlströmの評価基準はGoodであった.受傷後23週目に職業復帰に至った.【結論】同側大腿骨三重骨折1例に対する観血的骨接合術後の理学療法を経験し,治療成績はおおむね良好であった.

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目次

ページ範囲:P.128 - P.129

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

ページ範囲:P.239 - P.239

バックナンバー・次号予告

ページ範囲:P.248 - P.249

編集後記

著者: 内山靖

ページ範囲:P.250 - P.250

 第58巻第2号をお届けします.

 今月の特集は「総合理学療法」です.ジェネラリストかスペシャリストかの議論は古くからあり,前者は多くの対象者数のアクセスビリティとして高いニーズがあり,後者には正確な評価・診断や高度の治療を求めてグローバルかつ個別・集中的な対応が求められます.高齢社会に伴い疾病構造が変化し,地域・在宅での生活に立脚した保健医療福祉の提供体制が大きく変革しているなかで,「総合的にみることを専門とする」ことのニーズが高くなっています.これには,かつての議論の揺り戻し(振り子)ではなく,つづら坂を登る過程で水平方向には近似にみえても高度(水準)が異なっていることへの認識と対応が不可欠です.特集「理学療法の2040年」(第57巻第4号),close-up「2040年問題と高等教育改革」(第55巻第12号)と合わせてお読みいただければ,さらに深い理解に結びつくものと思います.

読者の声募集

ページ範囲:P. - P.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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