理学療法ジャーナル58巻3号

2024年03月発行

Close-up 高齢者とのコミュニケーション

高齢者とのコミュニケーション—想いを推察する

著者： 山口美和¹

所属機関： ¹バリアフリー倶楽部

ページ範囲：P.331 - P.336

はじめに

　日本は「察しの文化」に代表されるように，多くを語らずとも相手がわかってくれることを期待する「高コンテキスト文化」^註1）であると言われている．何も話さなくても自分の気持ちを理解してくれる人の存在はありがたいものであるが，高齢者の気持ちを理解することは実際には難しいことが多い．本論では，高齢者を理解するために，彼らの人生史とその多様性に想いを馳せながら，言葉や行動の背景となる個々の高齢者が有する「事情や理由」を推察することを通して，理学療法士として高齢者にかかわる際のポイントについて解説する．

参考文献

1）石井　敏，他（編）：異文化コミュニケーション事典．春風社，2013

2）小澤竹俊：死を前にした人にあなたは何ができますか？　医学書院，2017

3）辰野千寿：系統看護学講座心理学，第6版．医学書院，2017

4）デジタル大辞泉．小学館，2007

5）日本交流分析協会：交流分析士1級テキスト．日本交流分析協会，2007

6）服部祥子：生涯人間発達論—人間への深い理解と愛情を育むために，第3版．医学書院，2020

7）福井圀彦（原著），前田真治，他：老人のリハビリテーション，第9版．医学書院，2022

8）山口美和：PT・OT・STのためのこれで安心 コミュニケーション実践ガイド，第3版．医学書院，2024