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Close-up 短下肢装具・下腿義足の現在の課題
理解しておこう 短下肢装具の現在の課題
著者: 中野克己1
所属機関: 1日本保健医療大学保健医療学部理学療法学科
ページ範囲:P.450 - P.454
文献購入ページに移動はじめに
装具は,四肢や体幹に機能障害を負った場合に,これらの軽減を目的として使用する補助器具である.特に下肢装具は,術後療法での安静・固定,骨折や足底潰瘍への免荷,痛みを伴う疾患への圧力分散,変形した足部の収納,立位歩行の部分的な代償や援助など多岐にわたっている1).
一方,(一社)日本支援工学理学療法学会(以下,支援工学学会)が,2017年に理学療法士に必要とされる装具に関する知識・能力の20項目についてアンケート調査した結果,すべての項目で半数以上の理学療法士が「大いに持つべき」と答え,ほぼ全員が「持つべき」と回答している.しかし,実際に「大いに持っている」と回答した者は3割未満であり,「持っている」と回答した者を合わせても半数にとどまっていた2).
本稿では,屋外での歩行がなんとか可能で,活動度レベルが低〜中程度の脳卒中片麻痺者のレベルを想定した場合の短下肢装具(ankle foot orthosis:AFO)が抱える現状と今後の課題について考察する.
装具は,四肢や体幹に機能障害を負った場合に,これらの軽減を目的として使用する補助器具である.特に下肢装具は,術後療法での安静・固定,骨折や足底潰瘍への免荷,痛みを伴う疾患への圧力分散,変形した足部の収納,立位歩行の部分的な代償や援助など多岐にわたっている1).
一方,(一社)日本支援工学理学療法学会(以下,支援工学学会)が,2017年に理学療法士に必要とされる装具に関する知識・能力の20項目についてアンケート調査した結果,すべての項目で半数以上の理学療法士が「大いに持つべき」と答え,ほぼ全員が「持つべき」と回答している.しかし,実際に「大いに持っている」と回答した者は3割未満であり,「持っている」と回答した者を合わせても半数にとどまっていた2).
本稿では,屋外での歩行がなんとか可能で,活動度レベルが低〜中程度の脳卒中片麻痺者のレベルを想定した場合の短下肢装具(ankle foot orthosis:AFO)が抱える現状と今後の課題について考察する.
参考文献
1)日本整形外科学会,他(監):義肢装具のチェックポイント,第9版.p170,医学書院,2021
2)日本理学療法士学会,他:福祉用具・義肢・装具支援に関する啓発と実態調査—装具編 調査対象会員 報告書.2018.https://www.jspt.or.jp/upload/branch/jptsat/obj/files/sougu_h29_04.pdf(2024年2月29日閲覧)
3)渡邉英夫,他:脳卒中の下肢装具—病態に対応した装具の選択法,第4版.pp130-189,医学書院,2022
4)平山史朗,他:脳卒中発症後,初回に処方される短下肢装具の2017年全国アンケート調査.日義肢装具会誌2020;36:57-61
5)中野克己:下肢装具の三次元的アライメントとバイオメカニクス.理学療法臨研教2012;19:6-13
6)市村真紀,他:脳卒中片麻痺者の入浴用下肢装具作製における訪問リハビリテーションの重要性.静岡理学療法士会学術誌2008;(17):14-18
7)吉川大志,他: 脳卒中片麻痺者2例に対する短下肢装具の装着改善に向けた工夫と実践.支援工理学療法会誌2023;3:55-61
8)日本褥瘡学会(編):ベストプラクティス—医療関連機器圧迫創傷の予防と管理.pp6-22,照林社,2016
9)村山 稔,他: Tストラップ付きシューホーン型短下肢装具の試作および評価.日義肢装具会誌2023;39:326-329
10)松岡瑞雄,他:下肢装具の処方からフォローアップにおける課題—理学療法士の視点から.支援工理学療法会誌2021;1:21-30
11)澤入彩佳,他:埼玉県脳卒中下肢装具対応施設一覧の作成に向けて—県内の医療施設における装具対応の実態調査報告.第12回日本支援工学理学療法学会学術大会抄録集,2023
12)小川秀幸,他:装具難民解消に向けた下肢装具チェックシートの開発—内容的妥当性および使用感の検証.支援工理学療法会誌2023;2:72-79
13)中野克己,他:(公社)埼玉県理学療法士会における装具療法地域連携対策委員会の活動報告と今後の課題について.支援工理学療法会誌2023;2:80-85
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