文献詳細
文献概要
Close-up 短下肢装具・下腿義足の現在の課題
理解しておこう 下腿義足の現在の課題
著者: 山本一樹1
所属機関: 1公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンター付属診療所
ページ範囲:P.455 - P.460
文献購入ページに移動はじめに
筆者が切断患者を初めて見たのは学生のときだった.一度は歩行能力を失った患者が理学療法士と義肢装具士の適切な介入により,再び歩行能力を取り戻し自宅復帰を果たしたときの感動を今でも覚えている.それから国家資格を取得し,義足のリハビリテーションにかかわるようになり10年以上が経った.
その間,身体と義足をつなぐソケットテクノロジーや人体の関節の役割を担う膝継手や足部は進化を続け,確実に義足ユーザーのパフォーマンスが向上してきたと実感している.テレビやsocial networking service(SNS),動画配信サービスにおいても外傷や腫瘍で下肢切断となったアクティブな義足ユーザーが多く取り上げられ,「義足ユーザー=アクティブ」といったイメージが世間にも浸透しているのではないだろうか.実際,筆者が在籍している義肢装具サポートセンター(以下,義肢装具SC)でも義足のアスリートがメディアに取り上げられる機会が多いため,活動度の高い切断者ばかり利用しているイメージをもたれていることをよく耳にする.
しかし,義肢装具SCへの入所者の属性としては高齢化,低活動化が以前より進んでおり義肢製作に至らない症例が存在し,アクティブな義足ユーザーとの差が大きくなっていることも事実である.
本稿では臨床で比較的目にする機会の多い下腿義足を中心に,義肢のリハビリテーションを専門に行っている理学療法士の視点から臨床で今なおある課題を挙げ,今後への期待を述べていく.
筆者が切断患者を初めて見たのは学生のときだった.一度は歩行能力を失った患者が理学療法士と義肢装具士の適切な介入により,再び歩行能力を取り戻し自宅復帰を果たしたときの感動を今でも覚えている.それから国家資格を取得し,義足のリハビリテーションにかかわるようになり10年以上が経った.
その間,身体と義足をつなぐソケットテクノロジーや人体の関節の役割を担う膝継手や足部は進化を続け,確実に義足ユーザーのパフォーマンスが向上してきたと実感している.テレビやsocial networking service(SNS),動画配信サービスにおいても外傷や腫瘍で下肢切断となったアクティブな義足ユーザーが多く取り上げられ,「義足ユーザー=アクティブ」といったイメージが世間にも浸透しているのではないだろうか.実際,筆者が在籍している義肢装具サポートセンター(以下,義肢装具SC)でも義足のアスリートがメディアに取り上げられる機会が多いため,活動度の高い切断者ばかり利用しているイメージをもたれていることをよく耳にする.
しかし,義肢装具SCへの入所者の属性としては高齢化,低活動化が以前より進んでおり義肢製作に至らない症例が存在し,アクティブな義足ユーザーとの差が大きくなっていることも事実である.
本稿では臨床で比較的目にする機会の多い下腿義足を中心に,義肢のリハビリテーションを専門に行っている理学療法士の視点から臨床で今なおある課題を挙げ,今後への期待を述べていく.
参考文献
1)Sansam K, et al:Predicting walking ability following lower limb amputation:a systematic review of the literature. J Rehabil Med 2009;41:593-603
2)厚生労働省NDBオープンデータ.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html(2024年1月20日閲覧)
3)西嶋一智:切断者の疫学データからみる更生用義足の支給状況.総合リハ2023;51:1069-1076
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