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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル58巻5号

2024年05月発行

雑誌目次

特集 “行為”の回復のための理学療法

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.510 - P.511

 臨床場面においては「動ける」という事実と,患者のめざす回復には乖離があることを実感する場面があります.読者の皆さんは,リハビリテーションにおける回復をどのように定義するでしょうか.「運動学的に,解剖学的に可動性を有し,合目的的に運動ができる」というのは患者の望む回復の条件を満たすのでしょうか.本号では“行為の回復”に焦点を当て,理学療法のアイデンティティに対する問いを共有し,視点を拡張すべくそれぞれの視点から論じていただきました.本号がわれわれの考える回復を問い直す一助となれば幸いです.

理学療法の治療対象としての“行為”—行為の構造と身体の関係

著者: 藤澤宏幸

ページ範囲:P.512 - P.518

Point

●理学療法士は運動行動(運動,動作,行為)を主な治療対象とする

●行為を生活や人生における目的を有する行動と解せば,物理的作用としての目的を有する動作との差異を明確にできる

●行為を射程に入れることで,理学療法は対象者の生活や人生に寄り添ったものになる

行為のニューラルネットワークとリハビリテーション戦略

著者: 園田義顕

ページ範囲:P.519 - P.527

Point

●創発される行為のニューラルネットワークは,行為を外部環境(他者や社会を含む)と身体の相互作用(知覚運動円環)として観察し,運動を認知(知ること)と捉えることで理解される

●行為は絶え間のない問題解決(予測・知覚・比較)の連続であり,うまく行為ができないことはこの問題解決過程の連続性に不具合があると言え,すなわち適切な情報構築ができないことを意味する

●リハビリテーションは行為の学習であり,意図と記憶に基づく予測との多様な比較(一致/不一致)を通してその誤差を自律的に最小化していくプロセスである

行為を獲得するプロセス—運動学習の視点から

著者: 川崎翼 ,   浅野大喜

ページ範囲:P.528 - P.533

Point

●運動学習は行為を獲得するための肝要な要素である

●各種の運動学習理論は運動学習を理解するための礎である

●認知処理過程の理解と心理・社会的な側面を含む目標の設定を理解することが,行為獲得の過程を捉えるうえで重要となる

行為を獲得するプロセス—メタラーニングの視点から

著者: 安田真章

ページ範囲:P.534 - P.539

Point

●メタラーニングとは「学習の仕方を学習する」という意味であり,これまでリハビリテーションの領域ではあまり議論されてきていない

●メタラーニングは心理学領域,コンピューターサイエンス領域,サイバネティクス領域で議論されてきた

●行為の獲得を図るためにメタラーニングの視点を応用することで,理学療法中だけでなく理学療法終了後の自律的な学習にもよい影響を与える

行為の質を捉える試み

著者: 濵田裕幸

ページ範囲:P.540 - P.545

Point

●行為の能力を定量化するための多様な動作解析手法が存在する

●多様な動作解析手法の特徴を理解し,メリットとデメリットを考慮のうえで手法の選択をすることが重要である

●効果判定にとどまらず行為の学習プロセスを理解する試みも必要である

標準的理学療法を行為の観点から捉え直す—運動器疾患

著者: 奥埜博之

ページ範囲:P.546 - P.552

Point

●標準的理学療法で主に実践されている要素還元的な視点のみでは,行為の回復をめざすには不十分な可能性がある

●行為の改善にはシステムアプローチの視点が重要である可能性がある

●いわゆる国際生活機能分類(ICF)におけるimpairment(機能障害)の視点を捉え直す試みも必要である

標準的理学療法を行為の観点から捉え直す—神経疾患

著者: 菊地豊

ページ範囲:P.553 - P.566

Point

●行為は,単なる運動や動作ではなく,意図をもって行われる行動を指すもので,行為者の運動と意図との関係性が問題になる.神経疾患では行為における帰属感の変調を伺わせるナラティブが聞かれることが少なくない

●行為の構成要素である自己は,最小の自己としてのミニマルセルフ,過去と未来といった時間構造を含めたナラティブセルフへと発展する.事例を通して,行為の回復は,現在のミニマルセルフが過去や未来のナラティブセルフとの一貫性をもつことであると提案した

●行為は人の認識に由来する構築論的な諸課題を潜在的に有している.標準的理学療法として行為の回復を捉えるには,構築論的ヘルスケアから実在論的ヘルスケアへの橋渡しについての検討が,今後の課題となろう

“行為”と“わたし”が結びつくまで—生活者の視点からみた回復過程

著者: 大島埴生

ページ範囲:P.567 - P.572

Point

●脳卒中などの中途障害者では,単に運動機能の喪失だけでなく,アイデンティティの変容を迫られる

●アイデンティティは身体に根差し,他者や社会との関係のなかで意味づけられる

●中途障害を抱えた患者の身体は行為において,必ずしも否定的な価値づけがなされるわけでなく,時には行為の資源となる可能性がある

Close-up 階段昇降

階段昇段と矢状面膝関節運動力学動態

著者: 古本太希 ,   友成健 ,   泊綾音 ,   川村由佳 ,   岡久哲也 ,   山田めぐみ ,   松浦哲也

ページ範囲:P.574 - P.579

はじめに

 階段昇降は,理学療法士が臨床でかかわる機会の多い動作である.一般的に,歩行と比較して大きな膝関節可動域と膝関節モーメントが必要になる.本稿では,階段昇段(以下,昇段)動作時の膝関節の運動力学動態に着目し,階段昇段に要求される膝関節機能や人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)患者の動作特性を中心に概説する.また,階段の昇段と降段の力学的負荷の違いについても一部触れたい.

階段昇降動作の時間的定量評価の考案に向けた取り組み—Scale for Stepping the Stairway

著者: 五月女宗史

ページ範囲:P.580 - P.584

はじめに

 歩行動作やバランス能力の評価は,定量的・定性的評価ともに多く存在する.時間的定量評価に関しては,10m歩行テスト,6分間歩行テスト,Timed Up and Go Testが代表的であり,臨床現場において積極的に評価がなされているだろう.

 では,階段昇降動作はどうだろうか.例えば,Functional Independence MeasureやDynamic Gait Indexにおける階段昇降評価があるが,いずれも段階づけを行い点数化する評価である.歩行動作では対象者の運動機能に応じ,歩行補助具や近監視を含む介助を検討し,既述した時間的定量評価を行うが,階段昇降に関しては,筆者が渉猟した限り,本邦において時間的定量評価が存在しない.歩行動作は可及的に評価するのに対して,階段昇降はその限りではない.筆書はその現状に疑問を抱いてきた.

 また,数多の歩行動作やバランステストは,平面に限局して遂行されるものであり,階段昇降動作のように重心の大きな上下動を条件とするテストバッテリーはない.そのような現状において,新しい階段昇降動作の評価スケールを考案する意義があるのではないかと考えた.

階段使用頻度と骨量の関係

著者: 谷口善昭

ページ範囲:P.585 - P.587

はじめに

 わが国における65歳以上の人口は,2043年に3953万人とピークを迎え,特に75歳以上の人口は2055年まで増加傾向が続くことが見込まれている1).それに伴い,骨粗鬆症患者も増加する可能性が高く,骨粗鬆症に起因する大腿骨近位部骨折も2040〜2050年頃まで増加することが推測されている2).骨粗鬆症による骨折は,生活機能の低下や要介護をもたらすだけでなく,生命予後にも影響を与える.そのため,骨粗鬆症を早期から予防することが重要である.

 骨粗鬆症の予防に対して,運動指導や栄養指導が推奨されている.運動においては,レジスタンストレーニングや複数の種類を組み合わせた運動などが「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」3)でも推奨されているが,特に骨には体重を負荷した状態での運動や日常生活における身体活動が重要である.生活の場面における骨に負荷がかかる動作として,階段昇降が挙げられる.本稿では,階段の使用頻度と骨量との関連性について解説する.

連載 とびら

母の最期が教えてくれたこと

著者: 横山仁志

ページ範囲:P.507 - P.507

 大学病院で28年間,うち集中治療室(intensive care unit:ICU)専従理学療法士として13年間勤務している私は,数多くの最期の場面に遭遇してきた.そんな私の母が,昨年8月,享年82歳で自宅にて最期を迎えた.自らの最期を通じて,人として,医に携わるものとして未熟な私に多くの学びの機会を与えてくれた.

 母は,ハンセン病療養所に定年まで看護師として勤務し,その後も近所のデイサービスのスタッフのアドバイザー兼サポーターをしていた.辛抱強い性格で,人とのかかわりを大切にし,周囲から厚い信頼を得ていた.そんな母が骨髄異形成症候群を患い,コロナ禍のなか治療のために入退院を繰り返し,汎血球数と感染とのにらみ合いで,4年余りの闘病生活を過ごしていた.いつ肺炎を併発してもおかしくない検査値で,田舎で独居をする母を,遠方から気にかけながらの生活であった.

視覚ベースの動作分析・評価・第1回【新連載】

腰部—伸展型腰痛症の理学療法

著者: 杉浦史郎

ページ範囲:P.501 - P.504

症例紹介

現病歴 28歳男性.職業:理学療法士.主訴は腰痛で伸展時の腰痛が強い.また長時間の立位後は体幹回旋の痛みも出現する.スポーツ活動歴は5〜22歳まで体操競技を行っていた.

既往歴 腰椎分離症.内科疾患などは特になし.


*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年5月31日).

今月の深めたい理学療法周辺用語・第5回

がんサバイバー

著者: 入江将考

ページ範囲:P.591 - P.593

がんサバイバーおよびサバイバーシップとは?

 がんサバイバーという概念は,Mullan F1)が1985年に発表した「Seasons of survival(生存の季節)」と題する論文のなかで初めて用いられた.“サバイバー”というと,治療を終えてがんを克服できた人のような印象を受けるが,それだけでなく,一度でもがんと診断されれば,原因が何であれ亡くなるまでの間,その人は“がんサバイバー”である2).この背景には,医療技術の進歩により長期生存が可能になってきたことが挙げられる.

 その一方でがんサバイバーは,身体的,精神的,社会的,および経済的問題といったさまざまな面で生涯にわたって困難に直面することになる.そのためにサバイバー本人だけでなく周囲の関係者や環境を含めて,長く生きることだけではなく,よりよい人生を送れるように取り組むことが重要になり,それをサバイバーシップと呼ぶ.

中間管理職の悩み・第11回

人を評価する人事考課には,いつもプレッシャーを感じます

著者: 篠周平 ,   松山太士

ページ範囲:P.594 - P.595

はじめに

 「昨日までオーケストラでフルートを吹いていた人や手術室でメスを振るっていた人が,次の日からは,昨日までの自分と同じことをしている人たちを管理する立場になるのだ.すべてがガラリと変わる」1)——プレイヤーから管理職への転身を表現した言葉です.平均年齢が若い私たちの業種は,プレイヤーとして評価され,管理職になる準備が不十分なままに昇進することも多いと思われます.しかし管理職となってからも,現場の忙しさからマネジメントを十分に学ぶことがないまま管理を行う必要がある方も多いのではないでしょうか.

 今回のテーマである人事考課も,ほかの管理業務と同様に学ぶ機会が少なく,苦手意識をもちやすい業務だとされています2).そのため本稿では,人事考課について概説したうえでプレッシャーがかかる要因について考察し,その対応策について検討したいと思います.

理学療法士のための「money」講座・第5回

求人広告を読み解く—基本給? ボーナス? 福利厚生? どれを見て決めているの?

著者: 細川智也

ページ範囲:P.597 - P.600

はじめに

 理学療法士の平均年収が上がっていないことは本連載第1回(本誌2024年1月号)・第2回(同2月号)で述べてきたとおりで,それに伴い転職も増えてきているようです.転職は働く環境や人間関係などがそれまでと大きく変わることになり,人生の大きな変化につながることもあります.

 この記事が皆さんの転職の際のお役に立てることを願っています.

臨床実習サブノート 「どれくらい運動させていいかわからない」をどう克服するか・第2回

—運動器疾患—人工膝関節全置換術後の筋力増強運動

著者: 田中友也

ページ範囲:P.603 - P.608

人工膝関節全置換術(TKA)後患者と筋力低下の関係

 変形性膝関節症[膝osteoarthritis(OA)]は,関節変形や関節痛が主症状とされており,この症状は,下肢筋力の低下とも関連しています.そのため,人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)の適応となる膝OA患者の下肢筋力(特に大腿四頭筋の筋力)は術前から低下していることが多いです.

 TKA術後の筋力低下は,日常生活活動能力や歩行速度などの動作に影響するため,術後急性期より継続的に筋力増強運動を行う必要があります.しかし,術後急性期での筋力増強運動は,過剰な負荷量で実施すると痛みや腫脹などの炎症症状が増悪する可能性があります.そのため,患者の状況を考えながら筋力増強運動を行います.また,実施に伴う禁忌事項や合併症などのリスク(循環器疾患など)を確認し,運動中に転倒が生じない安全な体勢で運動を実施しましょう.


*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年5月31日).

私のターニングポイント・第52回

一人の住民として地域とともに成長する

著者: 草別拓郎

ページ範囲:P.590 - P.590

 東日本大震災は,私の大きなターニングポイントでした.震災が起こる前,私は秋田市のリハビリテーション専門病院で約3年間働いた後に,リハビリテーション科専門医である元副院長が開業するリハビリテーションクリニックに転職しました.クリニックでは通所,訪問などさまざまなリハビリテーション関連の事業を展開していきました.当初は一人職場でもあり,リハビリテーションの知識や技術のみならず,組織運営や経営についても経験を重ねました.

 クリニックの事業が拡大し始めた頃,東日本大震災が発生しました.被災地支援のボランティアの募集があり,参加して少しでもお役に立ちたいと思っていましたが,医療法人での立場や責任などの事情で参加を見送りました.そのようななか,震災から3か月ほど経過してから岩手県沿岸に足を運ぶ機会がありました.被災地を直接目の当たりにして衝撃を受け,何か自分できることはないのかと,さらに考えるようになりました.ある時,陸前高田市の復興特区で全国から療法士(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が集まって,訪問リハビリテーション事業を運営していた現職場のロッツ株式会社をsocial networking service(SNS)で発見し,人として,理学療法士として,使命感を感じて入社を決意しました.

My Current Favorite・25

医工連携に必要なこと

著者: 久保田勝徳

ページ範囲:P.602 - P.602

現在関心のあるトピックス

 最近の関心事は,医工連携を実践できるリハビリテーションスタッフの人材育成です.医工連携とは医学分野と工学分野が連携し,新しいモノ(機器や技術,事業など)をつくっていく取り組みです.自分は目の前の患者さんに全力投球しているので,医工連携は関係ないと思っている方もいるかもしれません.実は,そのような熱心な方にこそ必要となる連携だと感じています.

報告

超音波診断装置を用いた健常成人における膝関節屈曲伸展運動に伴う脛骨神経の動態観察

著者: 田中紀輝 ,   古田亮介 ,   古田誠也 ,   佐々木達也 ,   岸田敏嗣 ,   吉田眞一

ページ範囲:P.609 - P.613

要旨 【目的】健常成人を対象に,超音波診断装置を用いて膝関節屈曲伸展時における脛骨神経の短軸動態を明らかにする.【対象・方法】対象は膝関節に症状のない健常成人12名12肢とし,腹臥位にて大腿骨顆部より近位に位置する大腿骨後面の脛骨神経を描出した.その後,大腿骨後面から脛骨神経下端までの距離を計測し,膝関節屈曲0°,45°,90°にてそれぞれで比較した.【結果】各肢位における大腿骨後面から脛骨神経下端までの距離は,45〜90°にかけて膝関節屈曲角度の増加に伴い減少した.【考察】膝関節屈曲角度の増加に伴う大腿骨後面から脛骨神経下端までの距離の減少は,脛骨神経自体の張力の低下と周囲組織の緊張の変化に伴い生じたと考えた.

プラクティカル・メモ

スクワット運動の運動負荷量の段階づけができる傾斜台を用いた環境設定の工夫

著者: 岡徳之 ,   樋口明伸

ページ範囲:P.614 - P.615

序論

 立ち上がりを伴う生活行為の自立度の向上には,下肢筋力の向上が求められる.レール上を可動する板を備えたスライド式傾斜機器は,部分荷重でのスクワット運動が可能である1).スライド式傾斜機器は,運動負荷量を調整した下肢筋力強化練習に活用できると考えたが,当院は所有していない.そこで,傾斜台の機構に着目し,スライド式傾斜機器を擬似再現した環境を構築した.その結果,膝関節伸展筋力が徒手筋力テストで2(poor)の対象者でも,反復してスクワット運動が可能であったため,その環境設定を共有する.

学会印象記

—第28回日本基礎理学療法学会学術大会—理学療法におけるテクノロジーの発展とこころの重要性

著者: 竹中悠真

ページ範囲:P.596 - P.596

 2023年12月2日と3日に,第28回日本基礎理学療法学会学術大会が,「理学療法を切り開くテクノロジーとこころの科学」という大会テーマのもと,広島国際会議場で開催されました.本学術大会では,特別講演が3つ,シンポジウムが10セッション,U39若手シンポジウムが5セッション,教育講演が3セッション,さらに300を超える一般演題がありました.

—第12回日本支援工学理学療法学会学術大会—理学療法士としての広がり

著者: 東條明徳

ページ範囲:P.601 - P.601

学術大会概要

 第12回日本支援工学理学療法学術大会は「環境支援の力をつける」という大会テーマのもと,多くの人に参加してほしいという考えからwebにて開催されました.

 2つのweb会場から構成されていた本大会は,大会長の田治秀彦先生(横浜市総合リハビリテーションセンター)の開会挨拶から始まり,教育講演6演題,シンポジウム1セッション,演題発表に加えて,企業プレゼンテーションセッションという内容で行われました.

書評

—澤田 辰徳(著)—「覗いてみたい!? 先輩OTの頭の中—臨床のリアルに触れる」

著者: 高橋哲也

ページ範囲:P.588 - P.588

 「先輩OTの頭の中」というタイトルから,後輩作業療法士に向けた指南書と思い読み進めると,リハビリテーション業界全体を鼓舞するエールでもあることに気づく.

 「澤田辰徳」といえば,若くして技士長や学会理事長,大学教授となった作業療法業界のビッグネームであるが,いかに成功してきたかをかっこよく論述しているのでなく,成功の10倍は失敗していることを曝け出している.自虐的にも見えるこの論述手法は,著者と読者の距離をぐっと近づけ,失敗が人間を成長させること,そして大切なのは失敗から学ぶことであると説いている.

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目次

ページ範囲:P.508 - P.509

動画配信のお知らせ

ページ範囲:P.539 - P.539

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

ページ範囲:P.593 - P.593

バックナンバー・次号予告

ページ範囲:P.618 - P.619

編集後記

著者: 白谷智子

ページ範囲:P.620 - P.620

 今年の春の訪れは春の嵐の日が多く,桜の開花は予想よりも遅れています.しかしそれでも久しぶりの「入学式で桜」を楽しむことができる素晴らしい春となっています.この季節になると,人々が活発に動き出す様子が感じられます.

 本号の特集は「“行為”の回復のための理学療法」というテーマで,ゲストエディターに江草典政先生をお迎えし,「行為の回復」という視点で理学療法に取り組むことで,理学療法士の考え方を新たな次元に広げることができる企画を立ていただきました.理学療法士の役割は患者が動けるように回復させることですが,皆様にもご経験があるように,臨床場面では患者の目標と実際の回復度には時に乖離が生じるという江草先生の実感からこの企画が生まれました.日々の業務では,患者の動きを常に観察していますが,行為の視点で再考する機会につながれば有益です.

読者の声募集

ページ範囲:P. - P.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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