文献詳細
文献概要
特集 “行為”の回復のための理学療法
行為のニューラルネットワークとリハビリテーション戦略
著者: 園田義顕1
所属機関: 1高知医療学院
ページ範囲:P.519 - P.527
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●創発される行為のニューラルネットワークは,行為を外部環境(他者や社会を含む)と身体の相互作用(知覚運動円環)として観察し,運動を認知(知ること)と捉えることで理解される
●行為は絶え間のない問題解決(予測・知覚・比較)の連続であり,うまく行為ができないことはこの問題解決過程の連続性に不具合があると言え,すなわち適切な情報構築ができないことを意味する
●リハビリテーションは行為の学習であり,意図と記憶に基づく予測との多様な比較(一致/不一致)を通してその誤差を自律的に最小化していくプロセスである
●創発される行為のニューラルネットワークは,行為を外部環境(他者や社会を含む)と身体の相互作用(知覚運動円環)として観察し,運動を認知(知ること)と捉えることで理解される
●行為は絶え間のない問題解決(予測・知覚・比較)の連続であり,うまく行為ができないことはこの問題解決過程の連続性に不具合があると言え,すなわち適切な情報構築ができないことを意味する
●リハビリテーションは行為の学習であり,意図と記憶に基づく予測との多様な比較(一致/不一致)を通してその誤差を自律的に最小化していくプロセスである
参考文献
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