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特集 “行為”の回復のための理学療法
“行為”と“わたし”が結びつくまで—生活者の視点からみた回復過程
著者: 大島埴生1
所属機関: 1岡山リハビリテーション病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.567 - P.572
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●脳卒中などの中途障害者では,単に運動機能の喪失だけでなく,アイデンティティの変容を迫られる
●アイデンティティは身体に根差し,他者や社会との関係のなかで意味づけられる
●中途障害を抱えた患者の身体は行為において,必ずしも否定的な価値づけがなされるわけでなく,時には行為の資源となる可能性がある
●脳卒中などの中途障害者では,単に運動機能の喪失だけでなく,アイデンティティの変容を迫られる
●アイデンティティは身体に根差し,他者や社会との関係のなかで意味づけられる
●中途障害を抱えた患者の身体は行為において,必ずしも否定的な価値づけがなされるわけでなく,時には行為の資源となる可能性がある
参考文献
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