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書評
—西田 修(監),中村謙介(編)—「ICUが変わる! PICS診療実践マニュアル—入院時から退院後まで,予後改善のためのスタンダード」
著者: 篠原史都1
所属機関: 1藤田医科大学病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.797 - P.797
文献購入ページに移動 集中治療医学の発展により,集中治療を受けた患者の救命率は飛躍的に改善しています.故に,集中治療は救命のその先にある社会生活への復帰を目標とすべきものへと変化しています.こういった背景があるなか,本書のテーマでもある,集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)が新たな課題として顕在化しました.PICSは集中治療室(intensive care unit:ICU)に入室中あるいは退室後に生じる身体,認知,精神の障害であり,長期に及ぶこれらの症状は,患者の社会生活への復帰を困難にします.加えて,患者家族に対して,精神的な影響のみならず介護負担の問題や経済的な問題を生じさせます.
このようにPICSは社会問題になりつつあり,これまで数多くの書籍が発刊されてきましたが,本書の最大の特徴は啓発用のパンフレットやポスター,勉強会スライドがダウンロードできること,臨床現場で活用できるさまざまなチェックシート,申し送りやICU日記のフォーマットが収載されていることです.これらは,これまでの書籍とは一線を画す点であると思います.また,PICS対策には回避・介入できる因子にリソースを割くことが重要です.これらの因子に対する評価の意義や手順・ポイントについて明示されている点に加えて,ICUでの療養環境,患者の記憶を補完・是正する手段として期待されるICU日記について言及されていることも特徴と言えます.これまで,PICS診療は各施設で手探りに行われてきましたが,本書により,どの施設でも一定の水準で啓発・診療が行えるようになることは本書が発刊された大きな功績とも言えます.
このようにPICSは社会問題になりつつあり,これまで数多くの書籍が発刊されてきましたが,本書の最大の特徴は啓発用のパンフレットやポスター,勉強会スライドがダウンロードできること,臨床現場で活用できるさまざまなチェックシート,申し送りやICU日記のフォーマットが収載されていることです.これらは,これまでの書籍とは一線を画す点であると思います.また,PICS対策には回避・介入できる因子にリソースを割くことが重要です.これらの因子に対する評価の意義や手順・ポイントについて明示されている点に加えて,ICUでの療養環境,患者の記憶を補完・是正する手段として期待されるICU日記について言及されていることも特徴と言えます.これまで,PICS診療は各施設で手探りに行われてきましたが,本書により,どの施設でも一定の水準で啓発・診療が行えるようになることは本書が発刊された大きな功績とも言えます.
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