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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル58巻7号

2024年07月発行

文献概要

症例報告

左視床出血によるhypesthetic ataxic hemiparesisを呈した症例に対して急性期よりエルゴメーターを実施した1例

著者: 吉津智晃1 川口正二郎2

所属機関: 1医療法人社団総生会麻生総合病院リハビリテーション科 2医療法人社団総生会麻生総合病院脳神経外科

ページ範囲:P.841 - P.844

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要旨 左視床出血によるhypesthetic ataxic hemiparesisを呈した症例に対して急性期よりエルゴメーターを実施した結果,身体機能の変化がみられたため報告する.症例は40歳台の男性であり,右半身の運動麻痺,感覚障害,運動失調,バランス能力の低下を認め,移乗動作能力および歩行能力の低下が生じていた.また入院後に糖尿病と診断されたため,糖尿病に対する運動療法の効果も期待し,入院7日よりエルゴメーターを実施した.その結果,血糖コントロールや運動失調,バランス能力の改善がみられ,歩行能力や日常生活動作能力が向上した.本症例において急性期からのエルゴメーターの実施は運動失調や日常生活動作の改善の一助となった可能性が示された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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