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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル58巻8号

2024年08月発行

文献概要

Close-up 精神疾患における運動の意義を考える

運動が精神疾患患者に与える影響と効果

著者: 中村恭子1

所属機関: 1順天堂大学スポーツ健康科学部(舞踊教育学,応用健康科学)

ページ範囲:P.926 - P.932

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はじめに

 筆者の専門はダンスで,精神科デイケア通所の患者を対象にダンスを用いた運動介入を20年ほど継続している.ダンスは自己表現や他者との交流を目的としており,音楽を伴うことから陶酔感や気分高揚効果がある.また,運動強度や難度が多様で,体力や技能に合わせて老若男女が楽しめる運動である.そのため,高齢者などへの身体的・認知的リハビリテーションとしての有効性も報告されている1〜4)

 本稿では,精神疾患患者に対する運動介入の意義について概説するとともに,筆者のデイケアでの実践経験から,ダンス運動が精神疾患患者に与える影響と効果についても報告する.

参考文献

1)由利禄巳,他:足指ダンスが地域在住高齢者のバランス機能に与える即時効果.保健医療学雑誌2023;14:108-113
2)笹野弘美,他:フラダンスの運動効果の検証と介護予防プログラムとしての有効性の検討(第1報).名古屋学院大論集医・健康科・スポーツ科2018;6:21-27
3)甲斐久実代:ダンスのバランス,認知機能向上に関する文献的検討.名古屋女大紀家政・自然,人文・社2016;62:51-58
4)阿部康二,他:ダンス療法の認知機能に対する長期効果.Brain Suppl 2023;5:8-12
5)内閣府:障害を理由とする差別の解消の推進.https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html(2024年6月25日閲覧)
6)厚生労働省:令和5年障害者雇用状況の集計結果.2023.https://www.mhlw.go.jp/content/001186355.pdf(2024年6月25日閲覧)
7)早野禎二:精神障害者における就労の意義と就労支援の課題.東海学園大研紀B人文健科2005;10:29-43
8)中村恭子,他:精神科リハビリテーションにおけるスポーツ活動の有効性の検討—生理的ストレス指標の活用の試み.病・地域精医2012;54:299-301
9)中村恭子,他:精神科リハビリテーションとしてのスポーツ活動の有効性—体力・運動能力向上のための運動プログラムの検討.病・地域精医2017;60:70-73
10)細井 匠,他:我が国の統合失調症患者に対する運動介入効果に関する文献的考察.理学療法学2020;47:354-362
11)吉本好延,他:精神疾患患者に対する行動科学を応用した運動療法導入の試み.理学療法学2009;36:287-294
12)泉水宏臣,他:精神疾患患者への運動療法—デイケア施設における実践からの提言.体力研究2011;109:9-16
13)中村恭子,他:精神科リハビリテーションとしてのスポーツ活動の有効性—歩行運動時におけるBGMや他者との交流の有無が心理的・生理的ストレス反応に及ぼす影響.病・地域精医2014;57:81-84
14)中村恭子,他:精神科リハビリテーションとしてのスポーツ活動の有効性—運動強度や難度が心理的・生理的ストレス反応に及ぼす影響.病・地域精医2015;57:179-182
15)中村恭子,他:精神科リハビリテーションにおける歩行動作改善のための運動プログラムの検討—スクワット動作とジョギング動作を中心としたダンス・プログラムの効果比較.順天堂スポーツ健科研2023;13:20-26

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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