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書評
—山口 美和(著)—「—PT・OT・STのための—これで安心コミュニケーション実践ガイド 第3版」 フリーアクセス
著者: 菅原憲一1
所属機関: 1神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部
ページ範囲:P.938 - P.938
医療職種は,専門的な技術を対象者に的確に提供することが必要です.技術は自らの不断の努力や成功,失敗を繰り返して向上していくものであり,コミュニケーションもきっとそのような経験が重要なものであることは論をまたないでしょう.対象者を前にしたとき,医療職種としての技術は十分とは言えないまでも,少なくとも卒前の実習その他で学習したものを持ち合わせています.一方でコミュニケーションはというと,それを体系的に学ぶ機会は少なく,何が正しくて何が間違いなのかということは,経験的なものに頼らざるを得ない状況にあります.対象者との関係のなかで,その医療者の人格そのものが試されるのがコミュニケーションであると思います.人が人に対して行うのが治療と考えると,コミュニケーションはまさに人格と人格が相対する際の重要なツールであり,人の温もりが伝わる場面と言えます.それはマニュアル化されたものではなく,真に人が求めるものであり,その核心は忘れてはならないものだと思います.さらにそのうえで,医療者として備えていなければならない重要なコミュニケーションの能力,そしてそれを医療技術とともに切磋琢磨し鍛えあげていく考え方やその道筋は,実践の上に必要な「規範」と呼べるものです.
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