icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル58巻8号

2024年08月発行

文献概要

原著

理学療法士が経験する患者やその家族・同僚・関連職者の感情から受けるストレス—語りをベースにした質的事例研究

著者: 喜多一馬1 池田耕二2

所属機関: 1株式会社PLAST 2奈良学園大学保健医療学部リハビリーテンション学科

ページ範囲:P.957 - P.963

文献購入ページに移動
要旨 【目的】理学療法士が経験する患者やその家族・同僚・関連職者の感情から受けるストレスの質を質的事例研究で探究すること.【方法】医療職としてキャリアが熟達した19名の理学療法士を対象とし,「患者やその家族・同僚・関連職者の感情に巻き込まれたり,傷ついたりしたことがあるか」についてインタビュー調査した.分析は,特徴的な語りを抽出して概念化した.【結果】概念は,① 対応が困難と感じる患者の言動や行動からくるストレス,② 患者の理不尽さからくるストレス,③ 患者の病状進行や死に直面することからくるストレス,④ 後輩(部下)の行動や上司批判からくるストレス,⑤ 自分より経験のある他職種や経営者との考えの相違からくるストレス,⑥ 他職種とのミスコミュニケーションからくるストレスの6つが抽出された.【考察】理学療法士が経験するストレスには特有の質や特性があることが示唆された.

参考文献

1)厚生労働省:ストレスチェック制度導入マニュアル.2015.https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf(2023年10月6日閲覧)
2)厚生労働省:「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html(2023年10月6日閲覧)
3)瀬藤乃理子:バーンアウトや共感疲労を防ぐ組織の工夫.こころの科学2022;(222):32-38
4)池田耕二,他:理学療法臨床実習・現場教育を支援する教育的工夫と配慮.奈良学園大学紀要2020;13:1-8
5)Zapf D:Emotion work and psychological well-being a review of the literature and some conceptual considerations. Hum Resour Manag Rev 2002;12:237-268
6)山上実紀:感情と労働—医師の感情に焦点をあてる意義.日プライマリケア連会誌2012;35:306-310
7)Figley CR:Treating compassion fatigue. pp1-14, Routledge, NewYork, 2002
8)松田美智子,他:高齢者福祉施設で従事する対人援助職者が共感疲労に陥らないためのサポートシステムの解明.天理大学報2016;68:79-105
9)Palombaro KM, et al:High civic-mindedness reduces compassion fatigue in the first 3 years of professional physical therapist practice:a pilot study, J Patient Exp 2020;7:771-777
10)Sorenson C, et al:Understanding compassion fatigue in healthcare providers:a review of current literature. J Nurs Scholarsh 2016;48:456-465
11)松尾 睦:医療プロフェッショナルの経験学習.pp1-10,同文館出版,2018
12)サトウタツヤ,他:質的研究法マッピング.pp72-79,新曜社,2019
13)西村祥子,他:対応の難しい終末期患者に対する看護師の葛藤とストレスコーピング.日看会論集:精看2015;45:35-38
14)柴田真紀:精神科病棟における患者の語りを聴く看護師の感情体験—共感疲労の視点から.日看研会誌2016;39:529-545
15)柳田香織:一般病院外来における患者等からのクレームとそれに対する看護師の感情—看護師の陰性感情と診療ルール順守への思いに焦点をあてて.東京女医大看会誌2017;12:6-11
16)南山愛子,他:大学病院一般病棟看護師の共感疲労と労働遂行能力の関連.日看科会誌2022;42:160-167
17)宮﨑至恵:がんのリハビリテーションに携わるセラピストの葛藤—終末期の一例.理学療法科学2015;30:421-427
18)内藤千春,他:ターミナルケアにおけるデスカンファレンスの効果—POMSを利用したストレス軽減の評価.日看会論集:看管理2008;39:330-332
19)秋元美穂,他:デスカンファレンスがもたらした効果と進め方.臨看2011;37:1110-1114
20)日本理学療法士協会:統計情報 会員の分布.2023.https://www.japanpt.or.jp/activity/data/(2023年10月6日閲覧)
21)松本友一郞,他:看護師の上司—部下関係に対する評価,コーピングとストレス反応の関連.実験社会心理研2009;48:167-173
22)須藤 誠,喜多一馬,他:コロナ禍以前の文献レビューから学び得た多職種連携教育の課題.保健医療福祉連携2021;14:153-163

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?