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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル58巻9号

2024年09月発行

文献概要

症例報告

高度肥満を伴う両側人工膝関節全置換術後症例に対し吊り下げ型体重免荷式歩行器を用いた理学療法を実施した1例

著者: 髙瀬慶太12 深田亮1 村田淳1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院リハビリテーション部 2面野医院リハビリテーション部門

ページ範囲:P.1065 - P.1069

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要旨 人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)の術後成績の不良因子として肥満がある.高度肥満を伴う両側TKA術後症例に対し,吊り下げ型体重免荷式歩行器(以下,免荷式歩行器)を用いて理学療法を実施した1例を報告する.症例は,末期破壊性両側変形性膝関節症に対し両側TKAが施行された40歳台の女性である.術後は荷重時痛および下肢筋力低下のため歩行が困難であった.また,高度肥満により従来の一般的な理学療法で用いられる前腕支持型歩行器の使用が困難であったため,転倒予防および疼痛増悪の予防を目的に術後早期から,免荷式歩行器を用いた歩行練習を中心に実施した.その結果,転倒および疼痛増悪を認めずに連日歩行練習を実施することができ,転院時に両側にロフストランド杖を用いた歩行が自立した.本症例は免荷式歩行器を用いることで,有害事象なく術後早期から十分な歩行練習が実施可能となり,歩行機能を再獲得できた.

参考文献

1)日本理学療法士協会(監),日本理学療法学会連合理学療法標準化検討委員会ガイドライン部会(編):理学療法ガイドライン,第2版.pp427-428,医学書院,2021
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3)Steinhaus ME, et al:Total knee arthroplasty for knee osteoarthritis:support for a foregone conclusion? HSS J 2017;13:207-210
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5)Xu S, et al:The influence of obesity on functional outcome and quality of life after total knee arthroplasty:a ten-year follow-up study. Bone Joint J 2018;100-B:579-583
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7)山口 健,他:脳梗塞片麻痺と両側変形性膝関節症の合併例に対する両側人工膝関節置換術(TKA)の効果.Jpn J Rehabil Med 2009;46:577-582
8)中村立一:体重免荷トレッドミル歩行訓練は人工膝関節置換術後のリハビリテーションに有効か? JOSKAS 2012;37:474-479
9)谷口佳奈子,他:体重免荷式歩行器(POPO)による歩行.PTジャーナル2015;49:905-912
10)上出直人:重力と体重免荷トレッドミル歩行トレーニング.理学療法2009;26:713-721

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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