はじめに
従来,孤発性筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は,下位運動ニューロン障害のみを示す脊髄性進行性筋萎縮症,球麻痺症状のみを示す進行性球麻痺,上位運動ニューロン障害のみを示す原発性側索硬化症,およびそれらのすべてがみられる古典型ALSに分類されることが多かった。いずれの亜型で発病しても数年後にはすべての症状が出そろい,古典型ALSになることが多いとされてきた。しかし,近年,病変が運動系を超えて感覚系を含めた広範な部位に及ぶ多系統病変型,dementiaを伴うALS,両上肢近位部および肩甲帯に筋萎縮が限局するflail arm syndromeなど,種々の非典型的なALSが報告されるようになり,ALSはheterogeneousな疾患単位から成ることから,ALS syndromeと呼称されることもある。今回は,古典型ALSおよびそれ以外の,種々の亜型の臨床および病理について,特徴を概説したい。
雑誌目次
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩59巻10号
2007年10月発行
雑誌目次
増大特集 ALS―研究と診療の進歩
ALSの病型―臨床と病理
著者: 佐々木彰一
ページ範囲:P.1013 - P.1021
新しいALSの診断基(Awaji基準)
著者: 野寺裕之 , 和泉唯信 , 梶龍兒
ページ範囲:P.1023 - P.1029
はじめに
長年の精力的な研究活動にもかかわらず,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)はいまなお有効な治療法を見出すことができない難病である。有用な臨床治験を行う前提として,ALSとの診断基準を満たした患者に参加してもらう必要があるが,臨床所見や電気生理学的所見にALSのみに特異的なものはなく,ALSにのみ特異的なバイオマーカーも今のところ存在しない。結論として,ALSの診断はできるだけ早期に行おうとすると,他疾患との鑑別が困難である場合が多い。他方,ALS以外の疾患を完全に否定するまでALSと診断できない場合,診断ができるのは病気の進行期になってしまい,運動ニューロンの残存数が高度に減少しているため,いかなる治療にも容易には反応しない。現在の診断基準では,治療がより有効であるはずの早期例が適切に診断できない可能性が指摘されており,新しいALSの診断基準が求められている。そのため,筆者らは国際シンポジウムを開催し,新診断基準の作成を試みたので,その背景と提唱する新基準につき述べる。
ALSの電気診断
著者: 東原真奈 , 園生雅弘
ページ範囲:P.1031 - P.1041
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)における電気生理学的検査の役割は,①ALSであることの診断への寄与(特に,早期の確定診断),②他疾患との鑑別,③障害の定量的評価による経過や治療効果の判定,などにまとめられる。ALSでは上位運動ニューロン(upper motorneuron:UMN)と下位運動ニューロン(lower moterneuron:LMN)の両者が障害されるが,UMN障害に伴う電気生理学的変化として報告されているものは,特異性および感受性の点において十分とはいえず,その臨床的有用性は確立されていない1)。これに対して,LMN障害の評価においては,電気生理学的手法は臨床徴候よりも正確であり,臨床的に障害が顕在化する前から異常を検出して早期診断を可能とする場合もあり,有用性が高い。他疾患で説明できないような広汎な領域にわたってLMN障害が認められれば,十分な信頼性をもってALSの診断を下すことができる。LMN障害の検出において,電気生理学的検査は臨床症候の延長上にあるといえ,臨床症候を確認および補完する役割を果たす。既存の診断基準においてもそのように位置付けられている2)。
ALSの診断はまた除外診断でもある。鑑別疾患としては,頸椎症性脊髄症や腰部脊柱管狭窄症などの脊椎症,平山病,慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)および多巣性運動ニューロパチー(MMN),慢性運動性軸索性ニューロパチー(CMAN),ポリオ,他の運動ニューロン疾患〔球脊髄性筋萎縮症(SBMA),脊髄性筋萎縮症(SMA)など〕,筋炎,とりわけ封入体筋炎(IBM),その他の慢性ミオパチーなどが挙げられる。ALSの診断の重大性とその患者に与える影響を鑑みると,電気診断医にはALSや上記鑑別疾患に関する十分な知識と経験に基づいた,質の高い電気生理学的検査が要求される2)。
以下,本稿ではALSにおける各種電気生理学的所見の特徴や問題点について,検査項目別に論じていくこととする。なお,近年ALSの進行度の客観的評価方法の1つとして用いられるようになった運動単位数推定法(MUNE)と,UMN障害の研究手段として用いられる磁気刺激法については,本特集の別稿で扱われるので,本稿では触れない。
ALSと運動単位数推定法(MUNE)
著者: 内藤寛
ページ範囲:P.1043 - P.1052
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の病態の中心は運動ニューロンの変性・脱落であり,運動ニューロンの数を知ることは,その病像を把握するのに有用である。しかし,下位運動ニューロンの実数を知ることは剖検をしない限り不可能で,実際の臨床評価に役立てることはできない。そこで,下位運動ニューロンにより構成される運動単位数を電気生理学的に推定する試みがなされており,運動単位数推定法(motor unit number estimation:MUNE)と呼ばれている。運動単位とは,1個の下位運動ニューロン(脊髄アルファ運動ニューロン)とその軸索,およびそれに支配されている筋線維群からなる機能的単位である。解剖学的な下位ニューロン数が正常であっても,その一部が機能していないと運動単位数は減少する。筋を支配する運動神経の軸索数(運動単位数)を,理論的に正しく,かつ再現性よく調べることができれば,運動ニューロン疾患の進行を評価できることになる。1971年以来,MUNEにはさまざまな手法が提唱され,理論的な問題点や手技上の問題点が議論されてきた。ここでは,現在実用化されている主要なMUNEの方法と,ALSへの応用について概説する。
ALSの錐体路障害の客観的指標
著者: 岩田信恵
ページ範囲:P.1053 - P.1064
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)は,上位・下位運動ニューロンをほぼ選択的に障害する慢性進行性の変性疾患である。診断のための生物学的な指標は確立しておらず,SOD-1遺伝子変異により遺伝子診断されるケース(1~2%)以外は,上位・下位運動ニューロン障害を,神経学的診察によって臨床的に診断される。下位運動ニューロン所見の補助診断としては,本特集他項にもあるように針筋電図が汎用され,臨床的に障害が明らかでない部位の下位運動ニューロン所見を,客観的に評価する手段として確立されている。El Escorial診断基準においても,1998年の改定により臨床所見に加えて筋電図の脱神経所見を診断基準に加え,clinically probable-laboratory-supported ALSがprobable ALS群に加えられた1)。
さて,上位運動ニューロン所見,すなわち錐体路障害についても,生理学的に,また神経画像的に検討がなされている。残念ながら下位運動ニューロン障害における針筋電図所見のように,診断基準の一部として確立した手法はないのが現状である。ALS患者には,病初期に下位運動ニューロンの所見が前景に出て臨床的な錐体路障害を欠くもの,下位ニューロンの障害が強いため上位ニューロンの障害がマスクされて臨床的診断が困難なケースも存在し,このようなケースでは上位運動ニューロンの補助診断手段があれば,早期の診断に寄与しうる。また,進行性筋萎縮症と臨床診断された患者の剖検で,50~75%に皮質脊髄路の障害を認めたとの報告があり2),下位運動ニューロンの障害が顕著な場合,上位運動ニューロン障害の臨床診断が困難であることを示している。ALSの早期診断は,病像が完成してしまう以前の治療的介入,治療効果の評価のみならず,患者の予後を明らかにして不安を軽減し,残された人生の計画を立て,不要なドクターショッピングを抑止することなどにより,患者のQOLを高める意味でも重要である。ALSの診断・治療において錐体路障害をできうる限り早期に,臨床的に診断されるより早い段階で客観的に診断し,定量的に経時評価しうる指標は有用と考えられる。
ALSの錐体路機能を客観的に評価する試みは数多く報告されているものの,まだ臨床的に利用される段階とは言えない。本稿においては,こうした試みの中で今後臨床応用の可能性が期待されるもののいくつかについて,筆者の経験を含めて紹介する。磁気刺激を用いた中枢運動伝導路の評価,神経画像検査を用いた評価,特に拡散テンソル画像を用いて臨床所見との相関を調べた評価法について概説する。
なお,錐体路という語は,厳密には大脳皮質運動野の皮質第5層にある錐体細胞より始まる運動下行路で,脊髄前角細胞または運動性脳神経核へシナプスする前までの,皮質脊髄路(corticospinal tract),皮質延髄路(corticobulbar tract)を含む伝導路を指すが,ここでは起始皮質の運動野も含めた上位運動ニューロン機能を含めて述べる。
紀伊ALS再訪―ALS-parkinsonism-dementia complexとしての新しい概念,疫学,原因についての考察
著者: 葛原茂樹
ページ範囲:P.1065 - P.1074
はじめに
紀伊半島の熊野なだに沿った山岳地帯は牟婁(むろ)地方と呼ばれ,グアム島と並ぶ筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の集積地が点在する。この地域のALSに関する最初の記載は,今から約320年前の元禄2年に刊行された本朝故事因縁集1)に出てくる「古座の足萎え」が最初とされる。明治以降の医学雑誌には,既にこの地方にALSが多発することについて記載があるが,これを疫学調査によって実証したのは,和歌山県立医科大学の木村 潔,八瀬善郎らであった2)。しかし,多発の原因は明らかにされないままALS発生は激減し始め,1980年代初頭までにグアム3)と紀伊4)の高集積地が消滅したことが報告された。しかし,筆者らは1994年以降に疫学調査を実施し,集積地ではALSの高頻度発生が続いていることを報告し5),グアム特有の疾患であるパーキンソン認知症複合(parkinsonism-dementia complex: PDC)が紀伊半島ALS集積地にも存在することを,神経病理学的検索例で初めて示した6)。
本稿では,紀伊ALSを臨床病理学的に再評価した結果,臨床表現型は3つの主要徴候の組み合わせとして出現するが,神経病理学的にはほぼ均一な所見を呈する“ALS-parkinsonism-dementia complex”という疾患概念として把握できるという根拠を述べ,病型の疫学的変遷と病因については,グアム研究と対比させながら概観してみたい。
グアム島のALSの本体に関する神経病理学的再検討
著者: 小柳清光 , 橋本智代
ページ範囲:P.1075 - P.1082
はじめに
グアム島在住Chamorro人には,かつて世界平均の数十倍の頻度で筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)が発症しており1-8),parkinsonism-dementia complex(PDC,パーキンソン認知症)9,10)もほぼ同時期に高頻度で発症していたという。グアム島のALSの発症のピークは1945~1965年頃であり,PDCのそれは1950~1970年頃と言われている。当時のannual incidence rateは,ALSでは10万人あたり170~40程度,PDCでは60~20程度で,ALSのannual incidence rateは集落ごとに250から0までの開きがあったという。ALSの発症率は1970年以降急激に減少し,1990年頃には世界平均とほぼ同等となり8),2007年の現在は,グアム島(人口およそ16万人)にただ1人,のALS患者が生存中であるという11)。一方,PDCは2000年頃も10万人あたり25~10程度を保ったままであるという8)。
グアム島のALSとは何であったのか? 1960年代に主張されたように,グアム島のALSは,ほぼ同時期にグアム島で多発していたPDCと同一の疾患であり,孤発性ALSとは異なる疾患である12,13)のか? あるいは筆者らや英国のグループがこの十数年来主張してきたように,グアム島のALSは,そもそも孤発性ALSであり,PDCとは,少なくとも神経病理学的には異なる疾患である14-18)のか,これらの疑問についての今日的解析が本稿に与えられたテーマであろう。
すなわち本稿では,
(1)グアム島のALSとグアム島以外のALSとの異同,
(2)グアム島のALSとグアムPDCとの異同,
(3)グアム島と紀伊半島のALSとPDC,
(4)グアム島のALS,PDC研究の意義,
などについて論じていく。
本稿での解析のもととなるグアム症例は,合衆国国立衛生研究所(NIH)との共同研究として筆者らが1979年から1982年までグアム島に滞在して剖検,検索した計175例(ALS:11例,ALS-PDC:5例,PDC:50例,その他:109例)である。これらの所見に基づき,文献的考察を併せ加えて論を進める。
認知症(痴呆)を伴うALSの神経心理学的検討
著者: 河村満 , 市川博雄 , 小山慎一 , 石原健司
ページ範囲:P.1083 - P.1091
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は,末期まで意識が保たれ,精神症状や認知症(痴呆)が認められないということが最も大きな特徴の1つとされてきた。しかし1964年,湯浅は認知症(痴呆)を伴うALSの臨床例を報告し,認知症(痴呆)とALSが1つの病因により起こりうることを示した1)。以来,特に本邦において症例が蓄積され,近年,Mitsuyamaら2,3)により,認知症(痴呆)を伴うALS(ALS with dementia:ALS-D)が独立した疾患単位として提唱され,認識されつつある一方で,ALS-Dは古典型ALSの一極をなす疾患群とも考えられている。また,認知症(痴呆)という側面からみた場合には,ALS-Dをfronto-temporal dementia(以下,FTD)の中で捉える立場が一般的となってきている。
本論では自験論文4,5)の検討の概略を示しながら,ALS-Dの神経心理学的事項の要点について述べるとともに,FTDとの関連について触れ,さらに神経心理学的特徴について述べることにする。すなわち,①ALS-Dでは,認知症(痴呆)症状は前頭型痴呆の病像を呈し,fronto-temporal dementia6)として捉えられる。②認知症(痴呆)先行群とALS先行群の2つのタイプがある。ALS病型としては球型が多い。③CT,MRIでは前頭葉,側頭葉前部の萎縮がみられる。SPECTでは前頭葉,側頭葉前部の取り込み低下が特徴であり,形態学的変化より早期に検出し得る点から本症の把握に重要な検査である。④認知症(痴呆)症状の特徴は錯書と病態失認にあり,これらについては以下に考察する。
さらに渡邊の古い記載(1893年,明治26年)7)を紹介し,本邦最初の失語症に関する同論文が,“ALS-Dの世界で最初の記載であるかもしれない”ということについても触れたいと思う。
認知症を伴うALSの脳血流画像
著者: 石川剛久 , 森田光哉 , 中野今治
ページ範囲:P.1093 - P.1098
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は,上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両者がほぼ選択的,かつ進行性に障害される原因不明の疾患である1-3)。ALSでは運動ニューロンに限局する障害を示すため,知能は通常保たれるが,一部のALS症例では特徴的な認知症を呈し,認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis with dementia:ALS-D)といわれる4-8)。特徴的な認知症を呈することから,ALS-Dに対する脳血流による評価は以前からなされており,脳血流single photon emission computed tomography(SPECT)画像所見として,前頭葉および側頭葉の血流低下が報告されている9-16)。
しかし,脳血流SPECT画像の視覚的評価では,①読影者の経験により正診率に差異が生じやすいこと,②同一読影者であっても診断の再現性に相違が生じやすいこと,③二次元で表示されるSPECT画像所見から血流変化部位を三次元的な広がりとして客観的に捉えるのが困難であること,などが問題点として指摘されている17)。特に初期の神経変性疾患を対象とする場合には,脳血流変化が軽微にとどまることも多く,血流変化を視覚的に捉え難いことも少なくない。SPECT画像判読におけるこれらの問題点を補うために,statistical parametric mapping(SPM),three-dimensional stereotactic surface projection(3D-SSP),easy Z-score imaging system(eZIS)などの,統計学的解析法を用いた脳血流画像が近年利用されるようになった17-19)。客観的かつ容易に脳血流変化を捉えることのできる統計学的解析法は,アルツハイマー病などの認知症の早期診断をはじめとする各種の神経疾患においても有用性が知られるようになり20-22),ALSやALS-Dに関する脳血流所見も報告されるようになった23-30)。
ALSの皮膚変化
著者: 尾野精一
ページ範囲:P.1099 - P.1107
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)は運動ニューロン疾患に分類され,脊髄,脳,脳幹の運動ニューロンが変性していくのが特徴である。原因は今なお不明である。平均発症年齢は55歳で,常に進行性であり,通常発症から2~3年で死亡する1)。以前より,ALS患者は末期に至るまで褥瘡の起こらないことが知られており,この理由はいまだ不明である2-4)。さらにALS患者の皮膚はなめし皮のようにしなやかであり,皮膚をつまんで離すと元の位置に戻るのに時間のかかる現象(“皮膚のつまみ現象”)がみられる5)。この現象は発症より通常,2年以上経過した患者に認められる(Fig.1)。皮膚のつまみ現象と褥瘡の起こらないことはALSに特異的と考えられるが,これまであまり注目されていない。ALS患者の皮膚病変については,1960年,Fullmerらが初めて報告した6)。FullmerらはALS患者の皮膚を光顕的に検討し,ALS患者は対照群に比較して高頻度に膠原線維の断裂,離開,細小化,さらに酸性ムコ多糖類の増加などがみられると報告した。彼らはこれらの皮膚の変化はALSに特徴的であり,この変化が著明である場合はALSの診断的価値があると結論している6)。以来,筆者のALSの皮膚の研究まで,ALSの皮膚に関する研究はほとんど見当たらない。
本稿では,主に筆者の研究を中心に,ALSの皮膚に関する最近の知見を述べることにする。
ALSの軸索イオンチャネル障害
著者: 桑原聡 , 金井数明
ページ範囲:P.1109 - P.1115
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は進行性に,上位および下位運動ニューロンに系統変性を来す代表的な神経難病である。その臨床症状の特徴として,筋萎縮とともに線維束性収縮(fasciculation)が挙げられる。線維束性収縮は古典的に下位運動ニューロン徴候とされてきたが,多くの神経原性筋萎縮性疾患の中で実際に広範な線維束性収縮を認めるものはALSのみであり,脊髄性筋萎縮症,頸椎症性筋萎縮症や軸索変性型ニューロパチーにおいて,線維束性収縮は稀にしかみられない。このことは線維束性収縮が筋萎縮性疾患の中でALSにかなり特異的に生じており,ALSにおける運動ニューロン死に関与している可能性を示唆している。
線維束性収縮は運動単位(運動神経軸索)の自発発射により生じる1)。したがって,ALSにおける軸索興奮性は増大していることが推定される。ほかに線維束性収縮を特徴とする代表的疾患として,Isaacs症候群と多巣性運動ニューロパチーが挙げられる。Isaacs症候群は軸索の電位依存性Kチャネルに対する自己抗体が原因であることが確立されており,この疾患でみられる線維束性収縮やミオキミアは,Kチャネルの機能低下に起因する軸索の自発あるいは反復発射である2)。K電流は基本的に外向き(outward)の電流であり,陽イオン(K+)が軸索外に出ることにより膜電位は過分極側に偏位する。すなわちK電流は,軸索興奮性にとって抑制性のコンダクタンスであるといえる。多巣性運動ニューロパチーにおける線維束性収縮のメカニズムは明らかではないが,病変部軸索の静止膜電位が脱分極側に偏位していることが仮説として提唱されている3)。軸索の自発発射を来す興奮性増大のメカニズムとして,①Naチャネル(特に持続性Naチャネル;下記参照)の活性化,②Kチャネルの機能低下,③静止膜電位の脱分極側への偏位,などが挙げられ,ALSにおける軸索興奮性にどのメカニズムが関与しているかが注目されてきた。
1990年代に英国国立神経研究所のHugh Bostockにより開発された,threshold tracking法を用いた軸索機能検査法は,1990年代後半から臨床応用が広まり,NaあるいはKチャネル機能を含めた軸索特性を非侵襲的に評価することが可能になった4,5)。この手法は,これまでパッチクランプなどの観血的な方法でしか得られなかった軸索イオンチャネルに関する情報を,簡便に得ることができる画期的な手法として普及しつつあり,英国,日本,豪州などの研究グループにより多くの報告がなされるようになっている6)。本稿ではこの方法を用いてALSにおける軸索興奮性の変化について,これまでに得られた知見について概説する。結論を先に述べると,ALSでは持続性Na電流の増大と,K電流の減少という2つの軸索特性の変化が存在し,相乗的に軸索興奮性を増大させて線維束性収縮の発生に関与していると考えられる。
ALSと興奮性アミノ酸
著者: 相澤仁志 , 郭伸
ページ範囲:P.1117 - P.1127
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:以下,ALS)は運動ニューロン疾患のなかで最も多く,上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが選択的に変性脱落する疾患である。多くは中年期に発症し,進行性の筋萎縮と脱力をきたす。ALSの有病率は10万人あたり0.8~7.3人で,ほとんどは孤発性である。ALSのわずか5~10%が家族性で,複数の原因遺伝子(SOD1,ALS1,sentaxin)が知られているが1-4),家族性ALSの運動ニューロン死のメカニズムは解明されていない。これに対してALSの大多数を占める孤発性ALSでは,剖検例での検討で,残存脊髄運動ニューロンには,AMPA受容体のCa2+非透過性を決定づける編集型GluR2が減少していることが明らかにされ,Ca2+の過剰な細胞内への流入が,運動ニューロン死の引き金になるという納得のゆく説明ができるようになった5,6)。ALSでは興奮性アミノ酸受容体の1つであるAMPA受容体の分子変化が,中心的な役割を果たしていることが明らかとなってきたので,ここではAMPA受容体について述べることとする。最初にAMPA受容体の特徴,次にALSをはじめとした運動ニューロン病の病態に関わるAMPA受容体の役割,最後にALSの治療の展望について述べる。
ALS脊髄前角の遺伝子発現プロファイル
著者: 山本正彦 , 田中章景 , 祖父江元
ページ範囲:P.1129 - P.1139
はじめに
運動ニューロン疾患は運動ニューロンが選択的に変性,脱落するために筋力が低下していく疾患の総称であり,代表的な疾患として筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)が挙げられる1)。ALSは脊髄,脳幹,大脳の運動ニューロンが変性する成人発症の疾患である。ALSでは運動ニューロンの脱落により進行性の脱力,筋萎縮を呈し,平均3~5年以内に呼吸筋麻痺のために死亡する。全世界での発症率は10万分の0.5~3,有病率が10万分の4~6で明らかな人種との関連性はないとされていたが,最近,アジア系,アフリカ系,ヒスパニック系では発症率が低い可能性が報告されている2)。ALSのほとんどが孤発性(sporadic ALS:SALS)であるが,約10%が家族性(familial ALS:FALS)である3)。ALS以外の運動ニューロン疾患には遺伝性疾患である球脊髄性筋萎縮症(SBMA),脊髄性筋萎縮症(SMA)などがある4)。また,FALSの約20%はSOD1変異によって起こり,モデル動物における広範な研究によって,その分子病態が解析されている。特に,運動ニューロンとグリア細胞との相互連関が1つの焦点となっている。本稿では運動ニューロン疾患の大部分を占めるSALSの病態について,われわれの遺伝子発現プロファイリングのデータを中心に紹介する。
ALSとメチルコバラミン大量療法
著者: 和泉唯信 , 梶龍兒
ページ範囲:P.1141 - P.1147
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)は,上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが選択的に障害される神経変性疾患である。運動ニューロン徴候(痙縮,深部反射亢進,病的反射の出現),下位運動ニューロン徴候(筋萎縮,筋力低下,線維束性収縮)および球症候(舌の線維束性収縮,萎縮および麻痺,構音障害,嚥下障害)を認める。感覚障害,眼球運動障害,膀胱直腸障害,褥瘡はみられず,陰性四徴といわれる。常時進行性の経過をとり,発症から死亡までの平均経過は3,4年である1)。治療薬としてはグルタミン酸拮抗剤リルゾールが生存期間の延長を示すと報告されており2),本邦でも現在使用可能な唯一の原因治療薬である。しかし,その効果もごく軽微であり,新しい治療薬の開発が切に望まれている。最近になって,わが国でもALSに対する新しい治療法としてエダラボン,メチルコバラミンの治験が始まった。ここではALSに対するメチルコバラミン大量療法の効果について自験例を中心に述べる。
ALSの嚥下障害対策―喉頭気管分離術/気管食道吻合術の有用性と適応基準
著者: 箕田修治
ページ範囲:P.1149 - P.1154
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic latpral sclerosis:ALS)では数年の経過で,嚥下障害と呼吸障害が前後して出現するため,それぞれの障害に対して迅速な対応が必要となる。嚥下障害は栄養摂取および誤嚥による窒息や肺炎など,直接生命予後に関連する。そして,誤嚥性肺炎から患者を守るために大きな労力を必要とする。日本では,嚥下障害や呼吸不全が出てくると気管切開を行う場合が多い。さらに,気管切開による人工呼吸器を装着するALS患者は,日本ではALS患者全体の30~40%であるが1),欧米では多くて3%であり,多くの患者は非侵襲的陽圧呼吸器を選択する2)。このように,日本ではALSの嚥下・呼吸障害の対策としては気管切開術が一般に広く普及した方法であり,定期的な喀痰吸引によるコントロールで誤嚥性肺炎をある程度防ぐことができる。しかしながら,①気管切開後に嚥下障害は悪化すること,②誤嚥の増悪による頻回の喀痰吸引は患者本人の苦痛,介護者や医療スタッフの負担を増すこと,③それでもなお誤嚥性肺炎のリスクを伴うこと,誤嚥性肺炎のリスクから経口摂取を断念せざるを得ず,食の楽しみを失ってしまうこと,など問題点も多い。このような患者に対して,さらなる対策として気道と食道を完全に分離することで誤嚥を防止する誤嚥防止術がある3)。日本神経学会によるALS治療ガイドラインでは,栄養管理の中で,嚥下障害が進行した時には,食物道とともに同時に呼吸道を形成する気管分離・食道吻合術や喉頭摘除術の選択も行われる4),との簡単な記載があるが,アメリカ神経アカデミー学会のALS治療指針では,気管切開による人工呼吸器装着についての記載はあるものの,誤嚥防止術についての記載はまったくない5)。実際,多くの神経内科医は誤嚥防止術の詳細について,十分な知識をもっておらず,ALSをはじめとする神経難病における誤嚥防止術の有用性や,患者・家族の満足度を評価した研究はごく少数である6,7)。
筆者らは神経難病患者に対する誤嚥防止術として,喉頭気管分離術または気管食道吻合術(喉頭気管分離術/気管食道吻合術)を施行し,その有用性について検討してきた8,9)。喉頭気管分離術/気管食道吻合術は,ごく一部の病院で嚥下障害のため誤嚥性肺炎を繰り返し起こす重症心身障害児,脳血管障害患者や成人神経難病患者に試みられている程度である10-12)。ここでは,ALS患者における有用性,誤嚥防止術の適応基準とアルゴリズム(手段決定の手順)について述べる。これは,そのほかの神経難病患者についても同様に適用できるものである。
ALSと意思伝達―スキャン型文字入力における言語的戦略
著者: 森大毅
ページ範囲:P.1155 - P.1162
はじめに
コミュニケーション障害の支援は,IT(情報技術)に課せられた重要な使命の1つである。筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の場合は,病状の進行とともに構音障害が起こり,さらに人工呼吸器を必要とする段階まで進んで,発声能力を完全に失う例も多い。しかしこの段階に至っても,今日では,残存する随意運動能力を有効利用し,PC(パーソナルコンピュータ)などの支援機器の助けを借りて意思伝達を行うことが可能となっている。
わが国では,五十音表を利用したコミュニケーション装置が一般的に利用されている。近い将来の有望な技術の中には,視線による文字入力装置1)がある。これは,五十音表上の文字を見つめることにより直接的に選択を行うものであり,眼球運動が残存している多くの患者に適合することができるものと期待されている。
これに対し,長い歴史を持つスキャン型の文字入力は,既に広く利用されている技術である。介護者が,五十音表が印刷されたコミュニケーションボードを手に「あ,か,さ,た,な……」と指で文字を追って患者の意思を確認することは現在でもよく行われているが,これをPCが代行するのだと思えばよい。PCが人に取って代わることの素晴らしい点は,応用範囲が広いことである。スキャン型のコミュニケーション装置を利用して,目の前の介護者とだけでなく,日本中の友人とeメールを楽しんでいる患者も多い。
スキャン型の文字入力にはいくつかの種類がある。これを,ユーザーに求められる残存能力の少ない順に列挙する。
(1)自動スキャン(1スイッチ)
(2)手動スキャン(1~2スイッチ)
(3)二次元手動スキャン(4~5スイッチ)
ところで,スキャン型の文字入力は,視線やキーボードなどによる直接入力方式に比べ,はるかに時間がかかるという欠点を持つ。上述した順序は,入力速度が遅い順でもある。コミュニケーションボードの例で挙げたような方式は,自動スキャンに相当する。自動スキャンは,どこか1カ所でも運動能力が残っている部位があれば適用できるという特長があるが,その反面,あらゆる文字入力方式の中で最も遅いものの部類に入る。
無論,自動スキャンにおいても,正確なタイミングでスイッチ操作ができるならば,カーソルの移動速度を上げることで原理的にはいくらでも速く入力することができる。しかし,ALS患者は筋力が低下しているため,健常者に比べてスイッチ操作タイミングははるかに不正確となる。2スイッチやジョイスティックによる手動スキャンを利用できる場合は,タイミングの正確さは不必要となるが,1スイッチしか使えない場合には,カーソルの移動速度を大幅に下げざるを得ない。ALS患者の場合,カーソルのステップ間隔は500msから2,000msの間に設定されているのが一般的である。これは,日常会話における平均発話長を10モーラとすれば,1発話を入力するのに平均45秒から180秒の時間を要することを意味する2)。こうした低速さが,スキャン型文字入力のユーザーにとって最も不満な点であり,ほかに代替手段がない場合に,やむを得ず利用する方式であると位置付けられるゆえんである。
スキャン型の文字入力の低速さを改善する可能性はいくつかある3)。カーソルの移動速度を上げるのが単純な方法だが,当然正確さとのトレードオフになる。古くから研究されている高速化法は,文字の配置を入れ換える方法4)である。スキャンが開始する列または行の近傍に,高頻度で使われる文字を配置すれば,カーソル移動の待ち時間を減らすことができる。この方法の問題点は,五十音表の場合とは異なり規則性なく配置された文字の中から,入力したいものを探さなければならないところである。理論上は高速でも実際にほとんど使われていないのは,こうした困難さのためである。
根本的な速度向上のためには,自然言語の性質を利用することが有効である。POBox5)を採用した携帯電話では,辞書を利用した予測入力によって,1文字ずつ入力するよりも少ないキー操作回数で単語の入力が行えるが,これは自然言語の冗長性(文字の選り好み)のためである。Windowsプラットフォームでは,POBoxに基づいた文字入力支援プログラムPeteを利用することで,スキャンによる単語予測入力が可能である。
本稿では,筆者らによるスキャン型文字入力の効率改善をねらった最近の試みを紹介する。いずれも自然言語の性質を利用したものであるが,POBoxとは違った視点に立脚しており,原理的には併用も可能である。第Ⅱ節で紹介するのは,スキャン時のカーソルを複数用いる方法である。この方法では文字が一度に2つずつ選択されるのであるが,一体どちらの文字がユーザーの意図した文字かを決定するために,言語の確率モデルが用いられている。Ⅲでは,スキャン法による文字入力の自動誤り訂正方式を紹介する。この方式は,複数カーソルに基づいた方法を発展させたものであり,通常のスキャン型文字入力と同程度の正確さで,飛躍的に高速な入力を可能にするものである。
ALSとミクログリア―非細胞自律性の神経細胞死
著者: 山中宏二 , 山下博史
ページ範囲:P.1163 - P.1170
はじめに
進行性の運動ニューロン死をきたす神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の大半は孤発例であるが,約10%は遺伝性に発症する。遺伝性ALSのうちSOD1優性変異が最も多く,総ALS患者の2%を占める。現時点で,運動ニューロン死の原因は不明であり,有効な治療法はない。
1993年の遺伝性ALS家系におけるSOD1点変異の発見を機に,変異SOD1(Cu/Zn スーパーオキシドジスムターゼ)トランスジェニックマウスがALSの病態を再現するモデルとして樹立されALS研究は著しく進展した。SOD1ノックアウトマウスは運動ニューロン変性をきたさないことから,変異SOD1蛋白が酵素活性と関係ない未知の毒性を持つこと(gain of toxic function)が運動ニューロン変性の原因と考えられている1,2)。現在の研究の焦点は,①変異SOD1の毒性の解明,②変異SOD1が毒性を発現する細胞群の同定,である。後者に関しては最近の研究結果により,ALSにおける神経細胞死は非細胞自律性に起こることが示されている。それを踏まえて,運動ニューロンのみではなくミクログリアをはじめとしたグリア細胞のALS病態への積極的な関与が解明されつつあり,ALSにおけるグリア研究が進展している。本稿では,ALS発症や進行に関する細胞群の同定やALSにおけるミクログリアの関与に関して,最近の研究成果を概説するとともにその詳細を紹介する。
ALSでみられるユビキチン化封入体の構成蛋白
著者: 長谷川成人 , 新井哲明
ページ範囲:P.1171 - P.1177
はじめに
前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration: FTLD)に出現するタウ陰性ユビキチン陽性封入体の構成成分として,TAR DNA-binding protein of 43 kDa(TDP-43)が同定された1,2)。これをきっかけにして,それまで長い間不明であった筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)の変性運動ニューロンに出現するユビキチン陽性封入体の構成蛋白質も,同じTDP-43であることが明らかになった1,2)。本稿では,ALSにみられるユビキチン陽性構造物について概説するとともに,FTLD,ALSのユビキチン陽性封入体におけるTDP-43の同定の経緯を説明し,ALSとFTLDの関係やALSにおけるTDP-43の蓄積の意義について考察したい。
近位軸索損傷モデルにおける運動神経細胞変性と治療
著者: 渡部和彦
ページ範囲:P.1179 - P.1186
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(ALS)における運動ニューロン死には,活性酸素・窒素種の関与や,細胞体内のニューロフィラメントの蓄積と軸索輸送の障害,ミトコンドリアの障害,グルタミン酸と興奮毒性の関与,ユビキチン・プロテアソーム系の機能障害など,さまざまな病態メカニズムが指摘されているが,その一次的な病態は依然として解明されていない1)。ALSのうち,約10%を占める家族性ALSの病因の一部(全体の2%)にCu/Zn superoxide dismutase(SOD1)遺伝子変異が知られて以来,ヒト変異SOD1トランスジェニック・マウス,ラットがALSの病態解明と治療法の研究に大きく寄与している。しかし大多数を占める孤発性ALSの病因はなお不明であり,変異SOD1マウスがその理想的なモデルであるとは言い難い。一方,運動神経損傷により運動ニューロン死が惹起されるが,その一次的病因はALSとはもちろん異なっているものの,運動ニューロンが死に至る像はよく類似しており,これまでに軸索損傷実験の報告が多数蓄積されている2,3)。このうち成体運動ニューロン死のモデルとして,成体げっ歯類の近位軸索損傷,すなわち末梢神経引き抜き損傷がある。本動物モデルの運動ニューロン変性パターンは新生仔と異なって比較的長期間の経過をたどり,これまでに活性酸素・窒素種の関与や,細胞体におけるニューロフィラメントの蓄積が報告されており,ヒトALSとの形態学的,生化学的類似点が多い。本稿では,成体ラットの末梢神経引き抜き損傷モデルを用いた運動ニューロン損傷の解析と治療法のアプローチについて概説する。
RNA干渉によるALSの治療戦略
著者: 横田隆徳
ページ範囲:P.1187 - P.1194
はじめに
RNA干渉(RNAi)は2本鎖RNAによって配列特異的に遺伝子の発現が抑制される現象で,1998年にFireとMelloらによって報告され,2006年のノーベル医学生理学賞に選ばれた。RNAiはいかなる遺伝子に対してデザインできて,その標的遺伝子の発現抑制効果は他の核酸医薬であるアンチセンス核酸の103~7倍,リボザイムの102~5(自験)高いと言われている。しかもその配列特異性も高く1塩基の違いの認識も可能であり,医療分野におけるその臨床応用については,その発見当初から大きく期待されていた。Small interfering RNA(siRNA)を用いた遺伝子治療の研究は既にウイルス性疾患,悪性腫瘍などで急速に進んでいる。ここでは,ALSへのsiRNAおよびshort hairpin RNA(shRNA)の核酸医薬としての開発の研究現状と問題点について概説する。
ALSと神経栄養因子―新規神経栄養因子・神経再生因子としてのHGF
著者: 船越洋 , 大谷若菜 , 角山圭一 , 中村敏一
ページ範囲:P.1195 - P.1202
はじめに
神経栄養因子の歴史は,神経成長因子(nerve growth factor: NGF)の発見に始まる。NGFは増殖因子の中でも初めての因子としてRita Levi-Manacling女史により発見され,生化学者S. Cohenの協力のもと液性因子(NGF)の精製に成功する。Rita Levi-Montalcini女史はこの発見によりS. Cohenとともにノーベル医学生理学賞を受賞している。これをきっかけに現在まで多くの神経栄養因子が同定されているが,神経栄養因子の基本生物活性は,NGFで初めに同定された神経細胞生存促進活性と神経突起伸張活性である。
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)は,運動ニューロンとその軸索の変性を主病態とする致死性神経変性疾患で,家族性ALS(FALS)と孤発性ALS(SALS)に分類される。前者は約10%で,原因遺伝子としてsuperoxide dismutase-1(SOD1)1)およびALS22)が同定されているが,残り約90%はSALSに分類され,原因不明である。米国では大リーガーの鉄人と呼ばれたLou Gehrig選手がこの疾患に罹患して,あっという間に亡くなったことから,ゲーリック病とも呼ばれている神経変性疾患の中でも最も重篤な疾患の1つであり,この疾患を克服できたら他の神経変性疾患も順次克服できるものと考えられている。特に孤発例が大部分を占めるALSはその治療法開発に難渋しており,現時点で有効な治療法がないのが実情である。原因は依然明らかではないものの,FALSとSALSは最終的に運動神経細胞とその神経線維の変性が起こる点で共通している。そこでFALSとSALSに対する治療戦略には,両者の共通病態である神経細胞死抑制と,神経ネットワークの再建にアプローチすることが有利と考えられている。神経栄養因子が神経疾患,中でもALSで特に注目されるのは,この点に理由がある。
本稿では,FALSとSALSの共通病態改善に有望として注目されている神経栄養因子の基本活性と,最近になり明らかとなった新たな生物活性,ならびに最近top journalsに掲載され世界的に注目されている,新しい方法による神経栄養因子臨床試験(clinical trial)の代表例について紹介する。加えて従来の神経栄養因子活性と異なる,独自の活性を持つ新しい神経栄養因子・神経再生因子としての肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor: HGF)について,ALS治療貢献への可能性について紹介する。
総説
精神神経疾患の転帰はニューロイメージングによって予測可能か?
著者: 小林伸久 , 加藤元一郎 , ヘイフト典子
ページ範囲:P.1203 - P.1210
はじめに
臨床と教育の実践の場において,認知神経科学はどのような情報を提供しうるであろうか。この問題に対しては,賛否を含めいくつかの問題が指摘されている。例えば,非侵襲的な構造的および機能的ニューロイメージングは,小児の脳の発達とその異常に関する新しい知見を与えることができ,さらに教育と臨床の実践の向上に関しても新たな情報源となるという見解がある。しかし一方で,教育または医学と神経科学とを安易に結びつけることには,リスクが伴うとする意見も多い。すなわち,この見解の中では,認知神経科学の研究結果とヒトの教育・医療行為とを直接的に結びつけているという潜在的な欠点がみられると指摘されている1)。この立場からは,教育・臨床の実践と神経科学との関係は,「遠すぎる橋(a bridge too far)」と呼ばれている2)。
近年,特に欧米を中心として読字障害の研究が盛んに行われ,教育や臨床の場に大きな影響を与えているが,この障害に関して,「遠すぎる橋」という問題を解決すべく神経科学領域から期待されている課題には,次のようなものがある。①読みや計算のような根本的能力の基礎を成す神経過程の解明とそれらの障害を病態生理学的に理解すること,②学習障害に対する治療的介入の効果を科学的に評価しその転帰を予想すること,そして,③学習上の問題と神経精神障害のリスクがある個人を早期に特定し,早期介入の可能性を探ること,の3点である。以上の議論は,読みとその障害,およびそれらと教育・医療に関する問題に焦点を当てているが,同様の議論が他の領域の疾患や障害についても可能であり,実際にニューロイメージングを利用した治療や転帰に関する研究が進んでいる。
本稿では,まず,うつ病,強迫性障害,統合失調症,注意欠陥多動障害,側頭葉てんかん,アルツハイマー病などのいくつかの精神神経学的疾患において,機能的・構造的ニューロイメージングの技術が臨床的に有用な道具として使用できるか,特に治療効果や転帰予測という問題に関して有用な情報を提供しうるかという点について解説し,その後発達性失読に関する最近の研究について述べたい。
症例報告
脊椎前腔血腫による気道緊急と環椎後頭骨脱臼を呈した1生存症例
著者: 竹内誠 , 加藤宏 , 松崎英剛 , 高里良男 , 正岡博幸 , 早川隆宣 , 大谷直樹 , 吉野義一 , 八ツ繁寛
ページ範囲:P.1211 - P.1214
はじめに
頸部外傷では,脊椎前腔血腫により気道閉塞をきたす恐れがある。また,環椎後頭骨脱臼(atrantooccipital dislocation;以下AOD)はその多くが致死的で,長期生存例は稀である。今回われわれは,緊急気道確保を要する高度な脊椎前腔血腫を伴ったAODの1生存例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
学会印象記
8th International Conference, AD/PD参会記(3月14日~18日,ザルツブルグ)
著者: 河村満
ページ範囲:P.1218 - P.1219
今回で8回目となるAD/PD学会は,モーツアルトの街ザルツブルグで開催された(写真1)。AD/PD学会はその名のとおり,アルツハイマー病(AD)とパーキンソン病(PD)に関する最新の研究成果を発表し,討論する学会である。今回は,2,300名ほどが参加したそうであるが,日本人の若い研究者の参加が少ない反面,韓国からの発表・参加が多いと,第5回の学会長を務められた水野美邦先生(順天堂大学)から伺った。
この学会で私は,PDの前駆病態としても最近注目されているRBD(レム期行動異常症)のMIBGと認知機能障害について発表した(Movement Disorders 22: 746-754, 2007)。今学会への参加をとおして,欧米では,ノン・モーター症状,RBDなどのPDの前駆病態が広く研究されている一方,ADに関しては私たちのような生理心理学的アプローチの発表はまったくみられず,彼我の違いを感じた。しかし,概して,欧米はメマンチン,ガランタミン,リバスチグミンといったAD治療のオプションが多く,そのことはうらやましく思う。
連載 神経学を作った100冊(10)
Matthew Baillie The Morbid Anatomy, 1797
著者: 作田学
ページ範囲:P.1220 - P.1221
ベイリー(1761~1823)はちょうどモルガーニの著書(本誌59巻9号参照)が出版された時に生まれ,モルガーニのわだちをたどり,近代的な器官病理学を打ち立てた。
彼はスコットランドに生まれ,グラスゴー大学で学んだ。とはいえ,ほとんどの医学知識を叔父のハンター兄弟(ウイリアムとジョン)から学んだ。18歳の時にロンドンに出て,Castle streetにあるハンターの解剖博物館に勤め,経験を積んだ1)。
書評
「カラー版 神経科学-脳の探求-」―加藤宏司,後藤 薫,藤井 聡,山崎良彦●監訳,ベアー,コノーズ,パラディーソ●著 フリーアクセス
著者: 工藤佳久
ページ範囲:P.1217 - P.1217
20年以上も前になるが,コールドスプリングハーバーで毎夏行われていた,神経科学に関する3週間のサマーコースに参加したことがある。ここでは,文字通り朝から晩まで(時には翌日まで),みっちりと神経科学の講義が行われていた。3人の責任講師の他に,3日ごとに著名な研究者が参加し,その専門分野についてみっちりと講義してくれた。受講者によりよく理解させるにはどうすればよいか,講義に使われるスライドや資料の作成,解説の方法にはそれぞれの講師の工夫と努力がなされ,実にわかりやすいのである。
自分自身が民間研究所から大学に移籍して神経科学の講義を担当することになったとき,何とかしてあのときと同じような講義をしたいと思った。そのためによい参考書が欲しいと探し求めていた折,Neuroscience meeting のbook storeで出合ったのがこの本の初版である。10年以上前であった。
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あとがき フリーアクセス
著者: 中野今治
ページ範囲:P.1224 - P.1224
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の神経症候は進行性の筋萎縮と筋力低下であり,神経病理所見は下位運動ニューロンと上位運動ニューロンの選択的変性である。このことには誰しも異論を挟まないであろう。
しかし,脊髄前角の変化ひとつを取り上げてみても,ことはさほど単純ではない。脊髄前角のニューロンを詳細にマッピングした研究は,大型ニューロンのみでなく,中型と小型のニューロンも脱落することを示している。しかも,罹病期間が長い症例ほど,その傾向が強い。また,大型ニューロンが高度に脱落していても罹病期間が短い症例では前角の萎縮は目立たず,萎縮は経過の長い症例で初めて明らかになる。つまり,ALSでみられる前角の萎縮は,大型ニューロンのみでなく,中型・小型の神経細胞とその突起(大部分は樹状突起)も脱落していることを意味している。さらには,ALSの脊髄では皮質脊髄路のみでなく,前側索が変性することが従来から指摘されている。これも中型・小型ニューロンを起始細胞として脊髄内で終始する線維路(propriospinal tract)や網様体脊髄路の変性によるものと推測されている。中型・小型ニューロンの変性は,臨床像に反映されないことからほとんど注目されていないが,ALSの病態機序に迫るための手がかりとなる重要な所見である。
基本情報
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68巻1号(2016年1月発行)
特集 シャルコー・マリー・トゥース病
67巻12号(2015年12月発行)
特集 視床と高次脳機能
67巻11号(2015年11月発行)
増大特集 ギラン・バレー症候群のすべて—100年の軌跡
67巻10号(2015年10月発行)
特集 非・日常生活の脳科学
67巻9号(2015年9月発行)
特集 酵素補充療法
67巻8号(2015年8月発行)
特集 神経難病の終末期医療
67巻7号(2015年7月発行)
増大特集 神経疾患と感染症update
67巻6号(2015年6月発行)
特集 脳と「質感」
67巻5号(2015年5月発行)
特集 NCSE(非痙攣性てんかん重積状態)
67巻4号(2015年4月発行)
増大特集 大脳皮質vs.大脳白質
67巻3号(2015年3月発行)
特集 中枢神経の血管炎
67巻2号(2015年2月発行)
特集 「食べる」を考える
67巻1号(2015年1月発行)
特集 ニューロトキシコロジー
66巻12号(2014年12月発行)
特集 Orthopaedic Neurology—神経内科と整形外科の狭間で
66巻11号(2014年11月発行)
増大特集 神経症候学は神経学の“魂”である
66巻10号(2014年10月発行)
特集 分子を撃つ 神経疾患治療の新しい水平線
66巻9号(2014年9月発行)
特集 痙縮の臨床神経学
66巻8号(2014年8月発行)
特集 神経系の悪性リンパ腫update
66巻7号(2014年7月発行)
増大特集 アミロイド関連神経疾患のすべて―封入体筋炎からアルツハイマー病まで
66巻6号(2014年6月発行)
特集 ミラーニューロン
66巻5号(2014年5月発行)
特集 アセチルコリンと神経疾患―100年目の現在地
66巻4号(2014年4月発行)
増大特集 タッチ・ビジョン・アクション
66巻3号(2014年3月発行)
特集 神経筋疾患の超音波診断
66巻2号(2014年2月発行)
特集 糖尿病の神経学revisited
66巻1号(2014年1月発行)
特集 日常生活の脳科学
65巻12号(2013年12月発行)
特集 プロテイノパチーの神経病理学
65巻11号(2013年11月発行)
増大特集 Close Encounters―臨床神経学と臨床免疫学の遭遇と未来
65巻10号(2013年10月発行)
特集 神経系の発達メカニズム―最近の話題
65巻9号(2013年9月発行)
特集 Common diseaseは神経学の主戦場である―現状と展望
65巻8号(2013年8月発行)
特集 こころの時間学―現在・過去・未来の起源を求めて
65巻7号(2013年7月発行)
増大特集 あしたの脳梗塞
65巻6号(2013年6月発行)
特集 見せる・仕分ける―脳機能解析の新手法
65巻5号(2013年5月発行)
特集 てんかん―新しいパースペクティブ
65巻4号(2013年4月発行)
増大特集 Antibody Update
65巻3号(2013年3月発行)
特集 次世代シーケンサーによる神経変性疾患の解析と展望
65巻2号(2013年2月発行)
特集 血液脳関門研究の進歩
65巻1号(2013年1月発行)
特集 Corticobasal Syndrome
64巻12号(2012年12月発行)
特集 The Border-Land of Dementia
64巻11号(2012年11月発行)
増大特集 痛みの神経学―末梢神経から脳まで
64巻10号(2012年10月発行)
特集 辺縁系をめぐって
64巻9号(2012年9月発行)
特集 高次脳機能イメージングの脳科学への新展開
64巻8号(2012年8月発行)
特集 線条体の基礎と臨床
64巻7号(2012年7月発行)
増大特集 顔認知の脳内機構
64巻6号(2012年6月発行)
特集 睡眠と覚醒の脳内機構
64巻5号(2012年5月発行)
特集 神経疾患のバイオマーカー
64巻4号(2012年4月発行)
増大特集 パーキンソン病の新しい側面
64巻3号(2012年3月発行)
特集 アカデミアから新規治療の実現へ―トランスレーショナルリサーチの現状
64巻2号(2012年2月発行)
特集 生物学的精神医学の進歩
64巻1号(2012年1月発行)
特集 iPS細胞と神経疾患
63巻12号(2011年12月発行)
特集 神経心理学と画像解析の融合
63巻11号(2011年11月発行)
増大特集 筋疾患update
63巻10号(2011年10月発行)
特集 緩徐進行性高次脳機能障害の病態
63巻9号(2011年9月発行)
特集 脳卒中の最新画像診断
63巻8号(2011年8月発行)
特集 日本人の発見した神経症候
63巻7号(2011年7月発行)
増大特集 神経筋接合部―基礎から臨床まで
63巻6号(2011年6月発行)
特集 ニューロパチー
63巻5号(2011年5月発行)
特集 神経系と血管内リンパ腫
63巻4号(2011年4月発行)
増大特集 てんかんの新しい治療
63巻3号(2011年3月発行)
特集 サイバーナイフ治療
63巻2号(2011年2月発行)
特集 続・日本人の発見した神経疾患
63巻1号(2011年1月発行)
特集 血管腫
62巻12号(2010年12月発行)
特集 頸部頸動脈狭窄症の診断と治療
62巻11号(2010年11月発行)
増大特集 歩行とその異常
62巻10号(2010年10月発行)
特集 ブレインバンク
62巻9号(2010年9月発行)
特集 視神経脊髄炎(NMO)update
62巻8号(2010年8月発行)
特集 辺縁系脳炎
62巻7号(2010年7月発行)
増大特集 アルツハイマー病―研究と診療の進歩
62巻6号(2010年6月発行)
特集 改正臓器移植法の問題点とその対応
62巻5号(2010年5月発行)
特集 神経画像のピットフォール―見落としと読み過ぎ
62巻4号(2010年4月発行)
特集 傍腫瘍性神経筋疾患update
62巻3号(2010年3月発行)
特集 神経回路解析法の最近の進歩
62巻2号(2010年2月発行)
特集 ニューロリハビリテーションの最前線
62巻1号(2010年1月発行)
特集 神経救急
61巻12号(2009年12月発行)
特集 Somatotopy再考
61巻11号(2009年11月発行)
特集 前頭側頭葉変性症
61巻10号(2009年10月発行)
特集 片頭痛の予防療法
61巻9号(2009年9月発行)
特集 脳血管障害治療の進歩
61巻8号(2009年8月発行)
特集 神経・筋疾患の分子標的治療
61巻7号(2009年7月発行)
特集 脳腫瘍研究の最前線―遺伝子解析から治療まで
61巻6号(2009年6月発行)
特集 脊椎・脊髄外科の最近の進歩
61巻5号(2009年5月発行)
特集 Restless legs syndrome
61巻4号(2009年4月発行)
特集 大脳基底核―分子基盤から臨床まで
61巻3号(2009年3月発行)
特集 Microneurography(微小神経電図法)の臨床応用
61巻2号(2009年2月発行)
特集 神経系の再興感染症と輸入感染症
61巻1号(2009年1月発行)
特集 脳神経倫理
60巻12号(2008年12月発行)
特集 痙縮
60巻11号(2008年11月発行)
特集 脳卒中と遺伝子
60巻10号(2008年10月発行)
特集 若年者の脳卒中
60巻9号(2008年9月発行)
特集 知・情・意の神経学
60巻8号(2008年8月発行)
特集 脳硬膜動静脈瘻
60巻7号(2008年7月発行)
増大特集 学習と記憶――基礎と臨床
60巻6号(2008年6月発行)
特集 Crow-深瀬症候群(POEMS症候群)
60巻5号(2008年5月発行)
特集 「痛み」の研究と治療の最前線
60巻4号(2008年4月発行)
増大特集 神経系の発生とその異常
60巻3号(2008年3月発行)
特集 特発性正常圧水頭症(iNPH)―最近の話題
60巻2号(2008年2月発行)
特集 がん治療と神経障害
60巻1号(2008年1月発行)
特集 日本人の発見した神経疾患
59巻12号(2007年12月発行)
特集 損傷神経の再生―温存的治療法の開発
59巻11号(2007年11月発行)
特集 手根管症候群をめぐって
59巻10号(2007年10月発行)
増大特集 ALS―研究と診療の進歩
59巻9号(2007年9月発行)
特集 パーキンソン病の認知機能障害
59巻8号(2007年8月発行)
特集 パーキンソン病の分子遺伝学―最近の知見
59巻7号(2007年7月発行)
増大特集 情報伝達処理におけるグリアの機能と異常
59巻6号(2007年6月発行)
特集 職業性神経障害の新しい展開
59巻5号(2007年5月発行)
特集 脳画像最前線
59巻4号(2007年4月発行)
増大特集 最近注目される脳神経疾患治療の研究
59巻3号(2007年3月発行)
特集 分子イメージング
59巻2号(2007年2月発行)
特集 進行性多巣性白質脳症の新しい展開―PMLが治る時代へ向けて
59巻1号(2007年1月発行)
特集 高次視覚研究の最近の進歩