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雑誌目次

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩59巻12号

2007年12月発行

雑誌目次

特集 損傷神経の再生―温存的治療法の開発

神経細胞型グルタミン酸トランスポーターによる神経細胞死防御の分子メカニズム

著者: 木山博資 ,   桐生(瀬尾)寿美子

ページ範囲:P.1325 - P.1332

はじめに

 損傷中枢神経の機能再生には,神経幹細胞などを補充することにより機能修復を目指す方法(補充再生)と,損傷後の神経細胞の変性を最小限にとどめ,中枢神経が潜在的に有する再生能を引き出すことにより機能修復を目指す方法(温存再生)がある。補充再生と温存再生はいわば車の両輪であり,損傷神経の機能修復を目指すうえで共に重要な領域である。筆者らは温存的再生の立場から,神経細胞の生存メカニズムや軸索再生促進の分子メカニズムを末梢神経系から学び,それを中枢神経系の再生に応用することを目指している。このため,確実に再生がみられるラットの運動ニューロンの軸索損傷モデルを用いて,再生の分子メカニズムの解明を目指している。このような背景のもと,損傷神経の温存再生のメカニズムの1つとして,新たなグルタミン酸トランスポーターの細胞死抑制メカニズムが明らかになった。同時にミトコンドリアに存在するチトクロームC合成酵素が,新たなアポトーシス誘導分子であることが明らかになった1)。本稿では,その背景を含めてグルタミン酸トランスポーターとチトクロームC合成酵素との相互作用が引き起こす,新たな細胞死抑制メカニズムについて紹介したい。

脊髄損傷修復と神経栄養因子―FGF-2に注目して

著者: 古川昭栄 ,   古川美子

ページ範囲:P.1333 - P.1339

はじめに

 わが国では,交通事故やスポーツ事故による青壮年層の脊髄損傷が多発する一方,変形性脊椎症をわずらう高齢者が転倒などの軽微な外力で脊髄を損傷するケースが多く,受傷年齢は二相性を示す。脊柱が損傷を受けると,骨片などによる物理的傷害や炎症に伴う急性の神経変性や軸索変性が起こり,二次性の遅発性アポトーシスがさらに病巣を拡大する。神経伝導路は途絶し,損傷部より下位の身体的機能が失われ,重篤な身体障害に陥ることになる。しかしヒトも含めた哺乳動物の中枢神経系では軸索再生が起こりにくく,いったん受傷すると機能再建は極めて困難となり,患者の悲惨な状況は一生続くことになる。これは社会的に大きな損失であり,一刻も早い機能再建法の確立が望まれている。

 中枢神経が損傷を受けると損傷部位に,NogoやMAG(myelin-associated glycoprotein)といった軸索伸張阻害因子が発現すること1,2),損傷部位局所で神経栄養因子が不足すること,グリア瘢痕の形成などによって神経軸索の伸張に拒絶的な環境が作られることが,再生を困難にする原因であると考えられている。これらの拒絶的環境を打破すべく,軸索伸長阻害因子の中和抗体,さまざまな神経栄養因子の投与や3-5)神経幹細胞,嗅球髄鞘グリア細胞,シュワン細胞などの移植6-8)が試みられている。いずれの方法でも,ある程度の軸索再生や運動機能の回復が観察されているが,嗅球髄鞘グリア細胞の移植法の効果が顕著で,特に注目されている。これらの結果は,中枢神経の軸索が再生可能であることを示す証拠として重要な知見ではあるが,臨床に応用するためにはもっと顕著な回復効果と高い利便性が必要である。

末梢神経の再生におけるソニックヘッジホッグの役割

著者: 赤澤智宏 ,   高坂新一

ページ範囲:P.1341 - P.1346

はじめに

 中枢神経系に比べて,末梢神経は損傷に対して再生能力が高いことが知られている。外傷などによる神経損傷も,手術的に「つなぐ」ことによって,機能的回路を再形成させることが可能となり,その恩恵を受けておられる方も少なくない。一方,中枢神経の損傷に際しては機能的回路を再構成するまでに,まだ数多くの問題が山積している。神経再生の分子機構について,まず末梢神経を対象として解析し,どのような分子の発現(あるいは欠損)が,高い再生能力の基盤になっているかを解明することは重要な課題であると思われる。

軸索再生阻害の分子機構とその制御

著者: 山下俊英

ページ範囲:P.1347 - P.1353

Ⅰ.中枢神経の軸索再生阻害現象

 哺乳類の中枢神経系には,損傷した神経回路の修復を阻む機構が存在している。脳虚血,外傷,脊髄損傷などにより神経回路が破壊され,ひとたび神経症状が現れると極めて回復しにくいのは,部分的には神経回路の修復を抑制する機構のためと考えられる。脊髄損傷後には,損傷よりも近位部の軸索から短い側枝の形成がみられるが,これが損傷部位を超えて長い軸索枝となることはない。この点が,再生のポテンシャルを有している末梢神経との違いである。

 神経回路の再生阻害現象についての研究は,前世紀の初頭まで遡ることができる。1920年代にRamon y Cajalは,末梢神経である後根神経の軸索を切断し,その後の軸索の再生を観察した1)。脊髄外で再生しかけた軸索は,脊髄の中には侵入できなかった。また1980年代にDavidとAguayoが,脊髄損傷による欠損部に末梢神経の周囲組織をグラフトとして移植し,このグラフト内を軸索が再生することを観察した2)。これらの実験結果から,中枢神経を取り巻く環境が軸索の再生に適していないのではないかと考えられてきた。

総説

免疫再構築症候群―中枢神経合併症を中心に

著者: 大田恵子 ,   岸田修二

ページ範囲:P.1355 - P.1362

はじめに

 HIV感染症に対してHAART(highly active antiretroviral therapy)が導入されたことにより,HIV感染症の予後は劇的に改善し,日和見感染症の発症やAIDS(acquired immunodeficiency syndrome)による死亡は,少なくなった。だが免疫不全が進行した状態でHAARTを開始した際に,治療によって沈静化していた日和見感染症が悪化したり,新たに発症したりすることがある。これは,HAARTによりHIVのウイルス量が減少し,日和見感染症を起こす病原体などに対する免疫機能が急激に回復することによって,過度の炎症反応が引き起こされて出現する病態と考えられており,免疫再構築症候群(immune reconstitution inflammatory syndrome:IRIS,immune restoration disease)と呼ばれるようになった。HIV感染のない結核患者で治療開始時に病状が悪化する病態1)や,白血病に対する骨髄移植や,化学療法で白血球数の回復とともに炎症が再燃するこのような病態2,3)が知られているが,近年この症候群は主としてHIV感染症において用いられている。ここではHIV感染症で出現する免疫再構築症候群について,特に中枢神経合併症に主眼をおいて述べる。

症例報告

塞栓部位の決定に3D-CTAが有用であった直接型内頸動脈海綿静脈洞瘻の1例

著者: 森本公平 ,   長畑守雄 ,   小野修一 ,   阿部由直 ,   三浦弘行 ,   大畑崇 ,   緑川宏 ,   渋谷剛一 ,   岩崎真樹 ,   西嶌美知春

ページ範囲:P.1363 - P.1366

はじめに

 海綿静脈洞部内頸動脈瘤破裂による直接型の内頸動脈海綿静脈瘻(以下,direct CCF)はhigh flowなものが多く1),自然治癒はあまり期待できないとされる2)。治療法として現在は血管内治療が第一選択となっているが,血管内治療は経動脈的に行う場合と経静脈的に行う場合とがあり,使用する塞栓物質も離脱式バルーンやコイルなど選択肢はさまざまである3-8)

 今回,direct CCFの治療方針を決定するうえでmulti detector row CT(MDCT)によるthree-dimensional computed tomographic angiography(3D-CTA)が術前検査として有用であった1例を経験したので報告する。

経皮的骨膜下血腫吸引で消失した急性硬膜外血腫の1例

著者: 木下良正 ,   津留英智 ,   春日麗 ,   安河内秀興 ,   原田篤邦 ,   奥寺利男

ページ範囲:P.1369 - P.1372

はじめに

 硬膜外血腫は通常頭蓋骨骨折を伴い,緊急手術を要する場合がほとんどであるが,稀に血腫が消失する症例がある。われわれは骨折を伴った急性硬膜外血腫に対して,創処置時皮下血腫を除去することで硬膜外血腫の消失を促したと思われる症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

構音障害と左舌下神経麻痺を呈した皮質梗塞例

著者: 津川潤 ,   坪井義夫 ,   井上展聡 ,   斉藤信博 ,   山田達夫

ページ範囲:P.1373 - P.1376

はじめに

 中心前回に限局した脳梗塞は,さまざまな運動麻痺症状をきたしうる。典型的には,上下肢の片麻痺もしくは単麻痺の症例が多く,脳神経麻痺のみを呈することは稀である1)。舌の運動支配は,皮質延髄路あるいは皮質舌路を上位運動ニューロンとして,延髄舌下神経核に線維連絡し,下位運動ニューロンを構成している。しかし一側の舌下神経核は通常両側性の支配を受けており,一側の運動皮質が障害されても麻痺症状を示さないことが多い1)。Fisherのラクナ梗塞症候群の一型としてのpure dysarthriaは,脳神経麻痺などの他の神経局在を示さない構音障害であり,本例と臨床像は異なる1)。一方で,運動皮質に起源する皮質延髄路あるいは皮質舌路は,pure dysarthriaの責任病巣として注目されている2)。われわれは皮質の限局病変により一側の舌下神経麻痺と構音障害のみを呈した症例において,その臨床像を報告し,病変部位と症候の関連を考察する。

重度大動脈弁狭窄症を合併した頸部内頸動脈狭窄症に対し内膜剝離術を先行した1例

著者: 菅康徳 ,   小笠原邦昭 ,   斉藤秀夫 ,   小林正和 ,   井上敬 ,   近藤竜史 ,   坪井潤一 ,   小川彰

ページ範囲:P.1377 - P.1381

はじめに

 2004年に報告されたSAPPHIRE study1)により頸動脈内膜剝離術(carotid endarterectomy:CEA)high risk患者に対して,carotid artery stenting(CAS)がCEAに比して有意に周術期合併症が少ないことが報告された。以来,このような症例に対してはCASを第一選択とする施設が多い。

 しかしCASの合併症として,頸動脈洞圧迫による一過性または遷延性の低血圧がある2)。重度の心臓弁膜症や冠動脈疾患,腎機能障害では,一時的にでも血圧を下げることにより,急激な症状悪化を引き起こすことがある3)

 今回われわれは,血圧低下が禁忌である重度の大動脈弁狭窄症(aortic valve stenosis:AS)を合併した頸部内頸動脈狭窄症に対して,CASではなく敢えてCEAを,弁置換術に先駆けて施行した1例を経験したので報告する。

両側聴神経転移による難聴で発症した髄膜癌腫症の1剖検例

著者: 岡本洋子 ,   杉山博道 ,   山本徹

ページ範囲:P.1385 - P.1389

はじめに

 髄膜癌腫症は担癌患者の4~5%にみられ,その原発巣としては,固形癌では肺癌,乳癌,悪性黒色腫などに多いとされる1)。髄膜癌腫症で障害される脳神経は視神経,外転神経,動眼神経,顔面神経に多いと報告されている2)。一般に,既に悪性腫瘍の診断がついた患者に起こるが,稀に脳神経症状が初発となることもある。われわれは,蝸牛症状で発症し両側第Ⅶ・Ⅷ脳神経に転移塊を形成した,胃低分化腺癌の1剖検例を経験したので報告する。

学会印象記

第13回国際頭痛学会報告記(2007年6月28日~7月1日,ストックホルム)

著者: 竹島多賀夫

ページ範囲:P.1382 - P.1383

 第13回国際頭痛学会は2007年6月28日から7月1日まで4日の日程で,Carl Dahlof教授会長(写真1)のもとストックホルムで開催された。本学会は隔年で開催されており毎回参加者が増えている。今回は約1,500名の大盛会であった。第12回大会が京都で開催されたこともあって,日本からの参加者がこれまで以上に多く60名以上であった。

 初日は開会式に先立って,5つの教育コースが平行して行われた。「小児期・青年期の頭痛」,「群発頭痛,三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)」,「ヒトおよび動物の頭痛モデル」,「頭痛治療の基本」,「難しい症例の診断と治療」が取り上げられ,診療と研究のホットな話題がバランスよく選ばれていた。開会式に引き続き,「Pain and Inflammatory Mechanisms」のテーマのもと会長シンポジウムが行われた。このシンポジウムは国際頭痛学会長坂井文彦教授(北里大学神経内科)と大会長Dahlof教授のお二人の司会で進められ,「Pro-inflammatory Mediators」(SD Brain),「Sensory innervation of the skull: possible role in the pathophysiology of migraine headache」(R Burstein),「Links between cortical waves and migraine pain」(A Charles),「The Role of Cortical Spreading Depression (CSD) in Migraine」(MA Moskowitz)といった内容で,最近の頭痛研究の進歩を最先端の研究者が解説した。

第16回欧州脳卒中学会(2007年5月29日~6月1日)

著者: 内山真一郎

ページ範囲:P.1392 - P.1393

 本学会(European Stroke Conference:ESC)は日本脳卒中学会総会や米国心臓学会/米国脳卒中学会(AHA/ASA)主催の国際脳卒中学会(International Stroke Conference:ISC)より歴史は浅いが,欧州連合(Euroean Union:EU)の発足・拡大とともに誕生・発展し,EU諸国のコンセンサスに基づくガイドライン(European Stroke Initiative)や主要な大規模臨床試験の開鍵結果が発表されるようになり,最近ではEU以外の諸国からの演題や出席者も増加している。今回はスコットランドのグラスゴー市で開催された(写真1)。

 グラスゴーは,スコットランドの首都であり,人口100万人弱の中規模都市であるが,古さと新しさが混在しており,多くの歴史的建造物がある中に,活発な経済・商業活動も感じられる街である(写真2)。学会期間中は天候に恵まれず,というかこれが典型的なスコットランドの天候といえるのかもしれないが,連日重苦しい雲が立ち込め,毎日のように雨がぱらついた。今年のヨーロッパは記録的な猛暑となり,この時期も東欧諸国では気温が既に30℃を超えていたらしいが,グラスゴーに限っては昼でも10℃をやっと超える程度で,肌寒く,まだ冬のようにジャンパーやコートを身にまとっている人達も少なくなかった。

神経画像アトラス

視索病変による同名性視野障害を呈した多発性硬化症の1例

著者: 大野幸恵 ,   小出玲爾 ,   蕨陽子 ,   柳下章 ,   吉田寛

ページ範囲:P.1390 - P.1391

 症 例 30歳,女性

 主 訴 物が見にくい。

 既往歴 特記すべきことなし。

 現病歴 1991年に右視神経炎で発症した。1993年に左視力低下,平衡機能障害,右上肢異常感覚が出現した。このときにMRIにて多発する脳病変を認め,髄液中ミエリン塩基性蛋白の上昇を認めたため,多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)と診断された。これまでに視力障害,複視,感覚障害などの計5回の症状再発を認めており(2005年には頸髄病変,2006年には延髄背側部病変),そのつど,ステロイドパルス療法を施行されて症状は軽快している。2007年1月,右眼の視力がそれまでに比べて明らかに低下し,また両眼視において左側の視野が見えないことに気づいた。このため当科を受診し,MSの再発が疑われて当院に入院となった。

Neurological CPC・133

胸腺腫に末梢神経障害を合併した後,BOOP,myokymia,てんかんを発症し,抗VGKC抗体の高値を認めた62歳男性例

著者: 橋本明子 ,   國本雅也 ,   清水潤 ,   村山繁雄 ,   横地正之

ページ範囲:P.1395 - P.1405

 司会 第6回Neuro CPCの2症例目は,国立国際医療センター神経内科の症例です。

 橋本明子先生から臨床と全身一般病理のところまでお話しいただいた後に,清水先生から末梢神経の病理,村山先生から脳病理についてコメントをいただきます。

 橋本先生,よろしくお願いします。

連載 神経学を作った100冊(12)

Giovanni Alfonso Borelli "De Motu Animalium" (1680~1681)

著者: 作田学

ページ範囲:P.1406 - P.1407

 Giovanni Alfonso Borelli(ジョバンニ・アルフォンソ・ボレッリ)(1608~1679)はナポリで生まれた。ローマで数学を学び,メッシーナ大学で教えた後,1656年にピサ大学の数学教授に任じられた。ここで,顕微鏡で有名なマルチェロ・マルピーギとの親交を深めたという。彼はメディチ兄弟が1657年に創設したAccademia del Cimentoの有力な人物として活躍した。しかしこのAccademiaは1667年に閉鎖され,レオポルド・メディチが1675年に亡くなると,イタリアのルネッサンスは終焉を迎えるのである。その後はメッシーナ大学,ローマへと移り,ローマではクリスチーナ女王が1674年に設立したAccademia Realeに加わった。

 ボレッリの研究の集大成である,「動物の運動について」は彼の生前にはついに出版されることはなく,彼の死の翌年から翌翌年にかけてクリスチーナ女王に捧げるかたちで,ローマで上梓された1)。第2版は1685年に出版され,これは東京の野間図書館にある2)。筆者所蔵の第3版は1710年に(Fig.1),さらに第4版は1734年に出版された3,4)。本書の英訳は1989年に第4版からなされ,誰でも読むことができるようになった5)

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あとがき フリーアクセス

著者: 内山真一郎

ページ範囲:P.1410 - P.1410

 時の流れは早いもので,今年も年の瀬がすぐそこまで近づいてきたが,「脳と神経」と「神経研究の進歩」が合体して本誌が刊行されてからちょうど1年になろうとしている。Index Medicus掲載誌であり,査読により受理された原著や症例報告を掲載し,読者は神経内科医と脳外科医が半数ずつを占めることを特徴としていた「脳と神経」と,権威のある神経学の専門誌として総説や原著を掲載し,原稿執筆依頼が名誉であると評価されていた「神経研究の進歩」が合体すると聞いた当初は,神経学という共通の領域の雑誌ではあるものの,かなり異質な両誌の融合がうまくいくのか懸念もあった。しかし,出版社や両誌の編集委員たちの努力と,何より高いクォリティーと話題性のある論文を投稿していただいた執筆者の方々のご努力により,購読数も伸びているようであり,順調な船出に胸をなでおろしている。今後もpeer review journalとしての旧「脳と神経」と,神経学のオピニオンリーダー誌としての旧「神経研究の進歩」の長所を生かした神経学の総合誌として,幅広い読者に愛される雑誌として発展することを願っている。

 Peer review journalという側面からコメントを述べさせていただくと,査読していて目に付くのは英文抄録に問題がある投稿論文が多いことである。非常に優れた内容で書かれた論文であるとの印象を持って読んでいたところ,英文抄録になると,途端にこれが同一人物の書いた文章かとびっくりするほど低レベルだったり,あまりにもラフで短すぎたりする原稿が少なからず見受けられるのである。海外の読者にとって,本誌の論文をコンピュータ検索して内容をチェックする唯一の手段は英文抄録であり,このような英文抄録では海外の読者に自分の論文が引用される機会をみすみす失うことになる。本誌は英文誌ではないので,せめて英文抄録は共著者も協力し,native speakerにも必ず校正してもらい,投稿規定内で最大限の字数を使い,内容が十分に伝わるように努力していただきたい。

基本情報

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1344-8129

印刷版ISSN 1881-6096

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