文献詳細
神経画像アトラス
中大脳動脈狭窄症におけるFAIR(flow-sensitive alternating inversion recovery)法を用いた脳循環動態の評価
著者: 田口芳治1 高嶋修太郎1 野口京2 平野恒治2 道具伸浩2 豊田茂郎2 田中耕太郎2
所属機関: 1富山大学附属病院神経内科 2富山大学放射線科
ページ範囲:P.178 - P.180
文献概要
1997年より高血圧,糖尿病に対し,近医で加療を受けていた。2006年1月某日起床時より会話の応答がおかしいことに家人が気づき,同日入院した。神経学的所見では言語は流暢性発語で,語健忘や錯誤はなく,復唱も可能であったが,言語指示の反応にばらつきがあり,保続を認めた。脳神経系に異常はなく,運動系では右上肢にバレー徴候を認めたが,他には明らかな筋力低下はなかった。
入院時に施行した頭部MRI拡散強調画像(Fig.1A)では左側頭葉と左側半卵円中心に梗塞巣を認めた。MRA(Fig.2A)では左中大脳動脈(MCA)M1に高度狭窄を認め,左後大脳動脈は右側に比べより末梢まで描出された。FAIR(flow-sensitive alternating inversion recovery)画像〔inversion time (TI) 1,500msec〕(Fig.2B)では,左MCA領域において脳回に沿う線状の高信号域(矢印大)が対側に比べ増強して認められ,左MCA皮質領域のsignal intensity(矢印小)は右側に比し低下していた。アテローム血栓性脳梗塞と診断し,入院時よりヘパリン,オザグレルナトリウム,エダラボン,低分子デキストランの投与を行ったが,右片麻痺は増悪し,全失語の状態となった。
参考文献
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