文献詳細
原著
酸素吸入光トポグラフィーによる脳虚血診断法の開発
著者: 海老原彰1 田中裕一1 渡辺英寿1 小幡亜希子2 市川祝善3
所属機関: 1自治医科大学脳神経外科 2日立製作所基礎研究所 3日立メディコ
ページ範囲:P.547 - P.553
文献概要
現在,脳虚血患者に対する脳血流の評価は,SPECTや脳血管撮影などの方法で行われている。しかしこれらの従来の検査方法は,解決すべきさまざまな問題点がある。すなわち,①検査時間が長い,②検査中に患者の拘束度が高い,③リアルタイムに測定できない,④患者を病室から検査室まで移動させなければならず重症患者では検査し難い,⑤緊急時に即座に対応できない,⑥設備が大掛かりで高額である,といった点が考えられる。
近年臨床的に使用されるようになった光トポグラフィーは,その特徴として,①簡便であること,②被験者に対して無侵襲,非拘束的であること,③リアルタイムにかつ持続的に測定可能であること,④可搬性でありベッドサイドでも測定可能であること,⑤速やかに検査が可能であること,などが挙げられる1,2)。
われわれは,光トポグラフィーのこれらの特徴を利用して,脳虚血患者の脳血流状態をリアルタイムに,場所を選ばず,無侵襲で測定解析することができれば従来の検査方法の欠点を補い,脳虚血の診断や治療のうえで迅速かつ的確な対応ができると考え,光トポグラフィーによる脳虚血の評価方法を開発,検討した。
参考文献
掲載誌情報