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文献詳細

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩60巻5号

2008年05月発行

原著

酸素吸入光トポグラフィーによる脳虚血診断法の開発

著者: 海老原彰1 田中裕一1 渡辺英寿1 小幡亜希子2 市川祝善3

所属機関: 1自治医科大学脳神経外科 2日立製作所基礎研究所 3日立メディコ

ページ範囲:P.547 - P.553

文献概要

はじめに

 現在,脳虚血患者に対する脳血流の評価は,SPECTや脳血管撮影などの方法で行われている。しかしこれらの従来の検査方法は,解決すべきさまざまな問題点がある。すなわち,①検査時間が長い,②検査中に患者の拘束度が高い,③リアルタイムに測定できない,④患者を病室から検査室まで移動させなければならず重症患者では検査し難い,⑤緊急時に即座に対応できない,⑥設備が大掛かりで高額である,といった点が考えられる。

 近年臨床的に使用されるようになった光トポグラフィーは,その特徴として,①簡便であること,②被験者に対して無侵襲,非拘束的であること,③リアルタイムにかつ持続的に測定可能であること,④可搬性でありベッドサイドでも測定可能であること,⑤速やかに検査が可能であること,などが挙げられる1,2)

 われわれは,光トポグラフィーのこれらの特徴を利用して,脳虚血患者の脳血流状態をリアルタイムに,場所を選ばず,無侵襲で測定解析することができれば従来の検査方法の欠点を補い,脳虚血の診断や治療のうえで迅速かつ的確な対応ができると考え,光トポグラフィーによる脳虚血の評価方法を開発,検討した。

参考文献

1) Watanabe E, Mayanagi Y, Maki A, Kawaguchi F, Yamashita Y, et al: Noninvasive cerebral blood volume measurement during seizures using multichannel near infrared spectroscopic topography. J Epilepsy 11: 335-340, 1998
2) Watanabe E, Yamashita Y, Maki A, Ito Y, Koizumi Het: Non-invasive functional mapping with multi-channel near infra-red spectroscopic topography in humans. Neurosci Lett 205: 41-44, 1996
3) Smilewski P, Czosnyka M, Pickard JD, Kirkpatrick: Clinical evaluation of near-infrared spectroscopy for testing cerbrovascular reactivity in patients with carotid artery disease. Stroke 28: 331-338, 1997
4) Terborg C, Bramer S, Harscher S, Simon M, Witte OW: Bedside assessment of cerebral perfusion reductions in patients with acute ischemic stroke by near-infrared spectroscopy and indocyanine green. J Neurol Neurosurg Psychiatry 75: 38-42, 2004
5) Kuebler WM, Sckell A, Habler O, Kleen M, Kuhnle GEH, et al: Noninvasive measurement of regional cerebral blood flow by near-infrared spectroscopy and indocyanine green. J Cereb Blood Flow Metab 18: 445-456, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1344-8129

印刷版ISSN:1881-6096

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