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文献詳細

雑誌文献

BRAIN and NERVE-神経研究の進歩61巻2号

2009年02月発行

連載 神経学を作った100冊(26)

マーシャル ホール 神経系についての論文集(1837)

著者: 作田学1

所属機関: 1日本赤十字社医療センター神経内科

ページ範囲:P.216 - P.217

文献概要

 マーシャル ホール(1790~1857)は英国の実験神経学の祖とされている。彼の業績は延髄・脊髄を含む反射弓を明らかにしたことにある。1833年にPhilosophical Transactionに,カエルの脊髄を前肢と後肢の間で切断し,運動機能を失った後肢が刺激のたびに強く動くことを発表した1)。この論文の結論として,

1) 反射に基づく多くの事実は既に生理学者に知られていた。

2) しかしながら,この事実は感覚や随意あるいは本能などとあやまって結びつけられてきた。

3) 喉頭・咽頭の動き,括約筋,射精などは,これらと無関係と考えられてきた。

4) この運動は興奮,反射,運動が本質的に延髄あるいは脊髄の関連する部位と結びついており,大脳とは無関係である。

5) 反射はこれまでに知られている神経系の機能を補助するものである,とした。

 この研究をさらにまとめたものが1837年の神経系についての論文集であり2)(Fig.1),これはさらに1843年に新論文集として,さらに1850年にDiastaltic Nervous Systemとして出版された3)

参考文献

1) Hall M: On the reflex function of the medulla oblongata and medulla spinalis. Philosp Tr 123: 635-665, 1833
2) Hall M: Memoirs on the nervous system. Sherwood, Gilbert, and Piper, London, 1837, xix+113
3) Hall M: Synopsis of the diastaltic nervous system. Mallet, London, 1850, xii+100+viii
4) Muller J: Handbuch der Physiologie des Menshen fur Vorlesungen. J. Holscher, Coblenz, 1833-1840

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1344-8129

印刷版ISSN:1881-6096

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