文献詳細
症例報告
小児頭部外傷後重症痙縮に対しITB(intrathecal baclofen)療法を施行した1例
著者: 松田良介1 西村文彦1 平林秀裕1 本山靖1 三島秀明1 朴永銖1 中瀬裕之1 榊寿右1
所属機関: 1奈良県立医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.313 - P.315
文献概要
1985年に重症痙縮に対し,バクロフェンの持続髄腔内投与がPennらにより開始された1)。本邦においても2002年に治験が開始され,その結果を踏まえ2006年より本薬の髄腔内投与が保険医療として認可された。ITB(intrathecal baclofen)療法により治療困難であった痙縮を改善し,QOL(quality of life)の向上が期待できるため,近年注目されている。当初ITB療法の適応とされたのは成人のみであり,小児の認可は見送られていた。その理由として,治験例の中で小児例が少なかったためであるが,その後オーファンドラッグ指定を受けた薬剤であり,海外での実績を考慮され2007年1月より小児にも適応が拡大された。当院でも頭部外傷後重症痙縮に対しITB療法を施行した。欧米では,脳性麻痺を中心に多くの症例報告がなされているが,本邦では2008年3月末時点で成人例を含めた全147例中小児は2例に施行されたのみである。今回われわれは,成人例と比較し,小児ITB療法の問題点につき検討を行ったので報告する。
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